ほーりーは浄土真宗のお坊さんにも、超人であってほしい
先日、京都・西本願寺の伝道院で行われたお坊さん講習会で、講師をさせて頂きました。
こちら、西本願寺の通りをはさんだ向かい側の路地にあり、前から面白い洋館があるなと思っていたのですが、重要文化財なんですね。
建築界で初めて文化勲章を受章した、伊東忠太設計。日本と西洋の建築技法がダイナミックに融合した頃の建物で、建築好きなほーりーとしてはめちゃくちゃワクワクしましたよ。
内部は通常非公開ですので、ここぞとばかりに探検してしまいました~。んー、ファンタスティック!
それはともかくとして。
今回お話させて頂いたのは、『お寺を盛り上げる7つのアクション』です。これまで700人以上のお坊さんにお話させて頂き、音声付き電子書籍の特別版も作ったほーりーの代表作。最近だと月刊住職やお坊さん倶楽部でも、アレンジ版を連載しています。
なのですが、実はこの講演。浄土真宗のお寺で話すのは、ちょっと抵抗があったのですよ。
こちらの内容は、お寺のコミュニティ作りを7つのステップで解説したもの。基本的にはどの宗派でも通用します。
実際に、日蓮宗、臨済宗、真言宗、浄土宗の公式な僧侶研修会でお話ししましたし、超宗派のお坊さんが集まる仏教会や、まさかのキリスト教の教会でも依頼を受けました。なのでかなり汎用的な内容と言ってよいと思います。
ですが浄土真宗だけは、個人的にちょっと引っかかりがありました。それは一番最後の7つ目のアクション「前例のないことに挑戦する」で、私はお坊さんには超人であってほしいと訴えていたためです。
ほーりーはお坊さんに、超人であってほしいと願っている
これは私の勝手な意見ですが、仏教はより良い生き方をするための教えだと認識しています。
そしてそれを柱にしたお坊さんであれば、生きることのスペシャリストでなければ嘘だと思っています。
常人と一線を画した存在であり、宗派によっては人知を超えた力も説かれていますが、そうした超人性や聖性があってこそ僧侶であるというのが私の考えです。
ですが私のつたない浄土真宗の理解では、こうした一般の人とは異なるステージにいることを否定した上で、僧侶が成り立っているように感じます。
ある意味で普通の人と同じ立ち位置にいる、他の宗派と比べてみても特殊な成り立ちのお坊さん。
だとすると、こうした浄土真宗のお坊さんに「超人たれ」と言うことは、あんまり響かないのではないか。そんな風に思ってしまうのです。
ほーりーがこれまで浄土真宗のお寺でした講演
そんなわけでほーりーはこれまで浄土真宗の研修会で、「お寺を盛り上げる7つのアクション」を話すことを避けていました。
東本願寺や大阪の南御堂、長崎の本願寺別院で依頼された時は『お寺は外からこう見える~浄土真宗編~』を講演させて頂いています。
これはお寺のコミュニティ作りという方向性は同じですが、浄土真宗の特殊性に合わせて大きくカスタマイズしたものです。
まあ、逃げの姿勢でこちらにしたわけではなく、これはこれでむしろ思い切って踏み込んだ内容ですが。
また、以前に西本願寺で話した時や、鹿児島別院の布教会に登壇した時も、そのショートバージョンと言える『小さな階段をたくさん作る』にしました。
しかーし、今回。西本願寺の研修担当の方からは『お寺を盛り上げる7つのアクション』でご指名がありました。さらにご丁寧にも私が抵抗を感じた最後のアクションを、一番しっかり語ってほしいとの注文付きです。
もともとここでは「法話が心に届かない」→「教えは何を話すかよりも、誰が話すかの方が重要」→「お坊さんには超人であってほしい」→「前例のないことに挑戦しよう!」という論法で語っています。
そしてお坊さん側もこの「法話が心に届かない」という問題意識を強く持っていたとのことで、今回はお寺を盛り上げる7つのアクション、浄土真宗寺院(しかも、本山)で初お披露目となったわけです。
やるか。やるしかねぇ。ほーりーも前例のないことに挑戦するゾ。
ほーりーは浄土真宗のお坊さんにも、超人であってほしい
上で述べた葛藤は別として、一方でほーりーの心の中には、浄土真宗のお坊さんにも超人であってほしいという想いがあります。
それがなければ、さすがに7つのアクションでは受けませんでした。
引っかかっていたのは単純に言葉のチョイスの気もしますし、真宗のお坊さんであっても人生の先達的な役回りは他の宗派と違いはありません。
多くの人が人生相談したり、お葬式などをお願いするのは、やはりお坊さんは一般の人とは違うと世間が認識しているからです。
さらに言えば、一般の人と同じ立ち位置(と言い切ってしまうと、ちょっと語弊があるかもしれませんが)に立つお坊さんだからこそ、他を圧倒する人間的存在感には他宗派よりもこだわってほしいです。
そこでほーりーは、「根性はロジックだ!!」という話を最後にさせて頂きました。私は「勇気」や「根性」「情熱」などは、何もしなくても勝手に湧いてくるものではなく、極めてロジカルに発揮できるものと考えています。
ほーりー自身がそうしたものを無尽蔵に出せる人間ではないので、いろいろと工夫を重ねた結果でもありますが。
こうしたことは私がわざわざ語らなくても、お坊さんであれば仏教の中からいくらでも見つけることができるでしょう。
そしてそれを「経典にはこう書かれています」と口で説くのではなく、自分で実行してその姿勢を周りに見せることで仏教を伝えてほしいのです。
仏教は背中で語ってほしいとほーりーはよく言いますが、一般の人が怯むような難易度の高い人生に自ら飛び込めないお坊さんに、私たちはわざわざ人生をリードしてほしいとは思わないわけです。
ということで、、、
私が言っていることは、別に浄土真宗の教えが目指す生き方像では、きっとないでしょう。お坊さん大好きなほーりーが、過剰に抱きすぎる期待の暴走かもしれません。
ですがお寺に詳しくない一般の人で、宗派の区別がつく人は少数派です。僧侶と言えばそれだけで、通常とは異なる人と考えています。
なので特別な存在から降りた浄土真宗のお坊さんだからこそ、私は(真宗の世界観を知らない人も)お坊さんは人間的にもやっぱりすげえと思われる生き方をしてほしいと、今回の7つのアクションに込めてみました。
実際に日本で浄土真宗のお寺が一番多いのも、こうしたお坊さんの姿を歴史上多くの方が受け止めてきたからでしょう。あそこの住職についていっても、人生なんのいいこともないよとみんなが思っていたとしたら、絶対に今の状況にはなっていなかったはずです。
そんなわけで次回以降、もしもまた浄土真宗寺院から講演のご依頼があったとしたら、『お寺を盛り上げる7つのアクション』を話すかは分かりません。
ですがお坊さんは「生きることのスペシャリスト」であってほしいというメッセージは訴えていきたい(これは浄土真宗のお坊さんだけにということではありませんが)ですし、『お寺は外からこう見える~浄土真宗編~』と合わせて、これらが何かのヒントになれば生意気ながらも嬉しく思います。