全国の仏像を回った仏像ガールさんの旅エッセイ。厳選13か所が紹介されています。
でかける・感じる・きっと出会える 仏像の旅 仏像ガール 著 |
日本全国の仏像巡りを始めた仏像ガールさんが、
旅の中で出会った様々な仏像を紹介した本です。
一冊目の 仏像の本 が仏像全般の入門書的な位置付けだったのに対し、
こちらは個々の仏像に焦点を絞った旅エッセイになっています。
紹介されている仏像は北海道九州まで、全部で13箇所。
数はそれほど多くありませんが、
その分一項目ずつゆっくり丁寧に感じたことを書かれています。
仏像ガールさんが本拠地とされた鎌倉の覚園寺では、
お薬師さまと目があった瞬間、
目にいっぱいの涙をためているように見えたのだとか。
また、夕日に照らされたお堂の美しさで有名な兵庫県・浄土寺の阿弥陀三尊。
こちらでは日中からじっと日が落ちるのを待ちながら、
いよいよ夕光が差し込み光の加減で仏様の表情が移ろっていく様子を、
つぶさに観察されています。
生涯に十二万体の仏像を彫ったと云われる
江戸時代の遊行僧・円空が修行をした洞窟跡ではその息づかいを感じ取り、
岡山に73体残された文英という仏師の石仏には、
地元の方の仏様へ祈る心に想いを走らせています。
他にも京都・三十三間堂のような超メジャー所から、
蔵王権現や磨崖仏など、珍しい仏様まで。
仏像ガールさんは仏像ナビゲーターとしてはすでに活動を辞められた方ですが、
その感性は今読んでも独特なところがあったような気がします。
女性的というか、母性的とでもいうのでしょうか。
仏様をまっすぐ見られるこうした仏像への接し方は
多分男の私には多分真似のできないものなので、
それだけに本書は新たな視点をふやしてくれるものでした。
でかける・感じる・きっと出会える 仏像の旅 仏像ガール 著 |