スマホ依存は治さなくていいという『流されない練習』
東京・目黒区にある五百羅漢寺の佐山拓郎住職。むかーし、ほーりーがテレビ番組の仏像特集でガイド役として出演した時、この五百羅漢寺の案内役として出てこられたのがこの佐山さん(当時はまだ、住職ではなかった)でした。
それから数年経ってひょんなところで再開し、いつの間にか作家デビューされて法話をまとめた本まで出ました。その処女作『流されない練習』を頂いたのですが、こちらが面白かったので紹介します。
流されない練習: 他人・感情・情報と“上手に付き合う”コツ 佐山拓郎 著 |
この流されない練習。「他人」に流されない、「感情」に流されない、「情報」に流されない、「常識」に流されないの4章立てで成り立っています。こうした日常的に流されやすいものについて、一度立ち止まって考えてみようということが、本書のテーマです。
例えばスマホ依存。一日中スマホをいじっていることに、警鐘を鳴らす人がいます。ですが佐山住職は、そんなの気にせず、堂々と使えばいいじゃんと主張しています。
例えば家族。親子関係は美化されすぎる風潮があるが、追い詰められるなら憎んでも、逃げ出しても良いと述べています。
例えば決意。一度これをやると決めたとしても、そこに固執しなくて良いと語っています。
こんな感じで、自分の意思とは反対に向かいやすい圧力が、一つ一つまとめられていました。
そして佐山住職はもともとゲームや漫画大好き人間なのですが、ドラクエ、タッチ、こち亀、ドリフなどから拾い上げたネタを、ところどころにぶち込んでいきます。
いや~、世代がほーりーと一緒なので、めちゃくちゃ分かりやすいです。
そして当然ながらお坊さんが書いた本なので、仏教の話も出てきます。
仏教は「感情を捨てろ」なんて言ってない。佐山住職の解釈だと、喜怒哀楽を目一杯感じ、そのなかで楽しいことを追い求めるのが仏教とのこと。
これなんて、テンプレート的な仏教解説から見れば、えぇえ~って思ってしまいますが、嬉しいことも悲しいことも自由に表現して良いそうです。
「いい加減を目指せ」「気持ちは揺れるものと心得る」「自分勝手な時間を作る」と、よく言えば自然体、悪く取れば適当なさじ加減をこの本では大切にしていました。これもまた、流されない上で大切な極意なのでしょう。
ということで、ゆるいお坊さんが書かれた『流されない練習』。ぴりぴりと張り詰めた空気を日々求められている方には、気づきの多い本になりそうですよ。