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山口県・二尊院が宿坊を開くために奮闘中。ほーりーも行ってきました

01.宿坊
 

山口県の向津具半島に、二尊院というお寺があります。ムカツク半島。何か怒っているわけでも、食べ過ぎて胃もたれしているわけでもありません。

もともと、向こう側の國(むかつくに)という言葉から、この名前は生まれたそうです。名前からして別世界感が漂いますが、グーグルマップで示すとこんなところです。

いや~。本州の最西北端。本気で向こう側です。ご多分に漏れず、こちらも山口県の過疎地域として指定されています。ほーりーをお呼び下さる方はほとんど過疎地ばかりですが、それだけ人口減少地域で宿坊に対する期待は高まっているのでしょうね。

二尊院とはどんなお寺なのか?

山口県・二尊院

二尊院は平安時代に開かれ、1200年の歴史を有する古刹です。この地には安禄山の乱から逃げ延びた中国(唐)の楊貴妃が、海を渡って流れ着いたという伝説が残されており、二尊院の境内には楊貴妃の墓もあります。

さらに本堂の前には中国の陝西省(せんせいしょう)にあるものと対で、大理石で作られた像高3.8mの楊貴妃像が立っていました。

二尊院の楊貴妃像

楊貴妃と言えば、クレオパトラや小野小町と共に世界三大美女に挙げられると共に、玄宗皇帝を骨抜きにして国を傾けた悪女としても伝わります。が、二尊院に貼られていた新聞の切り抜きによると、それは後世の創作部分が多いとのこと。

本来は控えめな女性だったのではないかと、書かれていました。

楊貴妃の伝説

二尊院はこうした楊貴妃伝説が伝わることから、縁結びや安産などで信仰されてきたお寺です。ご本尊の釈迦如来と阿弥陀如来(寺名の由来でもある二尊)も楊貴妃の菩提を弔うために安置された像で、重要文化財に指定されています。

二尊院の宿坊建設現場がこちら

この山口県の隠れた名刹・二尊院。こちらの方とはもう何年もメールでやり取りしたり、以前に東京で奥さんにお会いしたりしていたのですが、2020年1月オープン予定で宿坊を開設する準備に入られました。現在は建設工事中で、その現場がこちらです。

二尊院の宿坊建設中

田立智暁住職と一緒に、工事現場を見学中。完成した暁には、眼下に漁港が広がるノスタルジックな眺めになりそうです。少し大げさに言えば、映画のワンシーンと説明しても通用しそう。

二尊院の田立智暁住職

ちなみに現代ではあまり使われなくなった木造建築の技法で建てられているそうで、大工の方もこんな建て方は久しぶりとのこと。若い職人に技術を伝える上でも貴重な機会になっており、宿坊が始まる前からいろんな方面に波及しているのを感じます。

ほーりーが二尊院で話をしてきたこと

そして今回。午前中に境内をぐるっと見学させて頂き、午後は住職&奥さんとほーりーの3人で、宿坊のコンセプトについて話し合いました。

二尊院とのミーティング

山口県に行く前に事前にネットミーティングでも確認していたのですが、二尊院の住職と奥さんはそれぞれにやりたいことが異なります。

住職:仏教者として祈願祈祷に力を入れたい
奥さん:地域活性・まちづくりに動き回りたい

なのでこの両者の目指す方向を両立させたり、逆に普段は話しづらいそれぞれのやりたくないことを第三者(ほーりー)のいる場で口に出してもらうことにより、意志を共有していきます。

特に意見が異なったのは、外部の方にどの程度スタッフとして入って頂くかでした。奥さんの方がどちらかと言えば推進的で、周りもどんどん巻き込みたい派。住職はオペレーションが確立する前に人を呼ぶと、収拾がつかなくなるリスクを感じていました。

(ある意味で、とてもバランスのいい組み合わせですね)

なのでほーりーからの提案としては、最初はできる限りミニマムに運営してはどうかということです。食事は出さない素泊まり方式、あるいは朝食は朝粥程度で、告知も主に日本人向けのみ。

それでもきっと、やってみて乗り越えるべきハードルはたくさん出てくるでしょう。しかしそれを着実にこなして(大まかにでも)マニュアルにまで落とし込めば、混乱は少なくなるのではという話になりました。

また、単なる民宿ではなく、お寺の宿としていくにはどのようにすればよいものか。こちらは半日程度でなんとかなるものではありませんが、それでも大きな方向性を描くための話し合いにも時間を使いました。

そのたたき台にしたのが、『宿坊の宗教性を高める82の提案』です。外観から内部装飾、おもてなしや仏教体験、ちょっとした小道具や経営上の指標など、ほーりーが日本中の宿坊を泊まり歩いて見つけたものをぎゅぎゅっとまとめた極秘資料です。

宿坊の宗教性を高める82の提案

名前の通り提案が82個ありますが、パワーポイントで140ページ。必要なものをチョイスするだけでも宿坊がパワーアップしていきます。

特に最初はミニマムでという話もしたので、それではどのように宿坊の単価を上げるかという課題に直面します。なので例えば写経ひとつとっても、どうしたらプレミアム感が生まれるか。このアクセスの難しい「向かつ国」まで来て頂けるか。そんな意見も三人でバンバン話していきましたよ。

二尊院のプロジェクトでは、外部資金も獲得!

さらにこの二尊院の宿坊開設プロジェクトでは、月末に山口県が主催するソーシャルビジネス事業化支援事業『ぶち-CONやまぐち2019』でのプレゼンテーションも控えていました。

こちらも制作中のスライドを見せて頂きながら、修正点をミーティング。ほーりーの意見がどの程度役に立ったかは分かりませんが、その後に見事「準グランプリ(創業支援金100万円)」を受賞したとのお知らせも頂きました!

二尊院の宿坊が準グランプリ

また宿坊とはちょっと異なりますが、二尊院の境内には隣接して楊貴妃の里という広場があります。こちらの管理は⻑門市が⾏っているのですが、住職がUターン帰省した2007年頃には、ほとんど活⽤されていなかったとのこと。

そして税金で作ったのに何も使われずに荒れているという悪評が二尊院の評価まで落としたり、そもそも地域から活力が失われてきていることに危機感を感じた住職が、地元の有志と⼀緒に2010年に「フューチャー⻑門」という団体を⽴ち上げ、毎年秋に『楊貴妃炎の祭典』を開催しています。

今年はそこに愛媛県石鎚山の熟練山伏の方々を招致するためのクラウドファンディングも企画され、無事に目標金額をクリアしました。

楊貴妃炎の祭典クラウドファンディング

ちなみに2017年にほーりーが紹介させて頂いた、この楊貴妃炎の祭典のモニターツアー記事はこちら。山伏修行のことが書かれていますが、きっとこうした体験も宿坊に取り入れられていきそうですね。

山口県二尊院で、山伏体験(滝行・火渡りなど)モニターツアー実施

クラウドファンディングは主に地元の方から支援を頂きながら、ネットワークを作る力にもなっています。宿坊も建物の建設費用はそれなりに多額になるため、またクラウドファンディングを通して資金獲得と仲間づくりにはげみたいとのことでした。

ということで、、、

一日みっちり話し合い、夜は住職たちの知り合いのお店で打ち上げというか、発起会。

二尊院の田立智暁住職と奥さん&ほーりー

逆境だらけの過疎の町ですが、鳥取の光澤寺や熊本の了廣寺、青森のおおま宿坊 普賢院などの例もあります。

そして今回は山口県のお隣、島根県の宿坊・清水大師寺さんと二尊院さんとをおつなぎさせて頂きました。清水大師寺のある大田市も過疎地域として指定されていますし、参考になる事例はたくさん聞けると思います。

二尊院の住職・奥さん&地元の観光関連の方で早速泊まりに行ってきたそうなので、この山陰宿坊ラインもまた、面白い話が広がっていきそうですね。

ともあれこれからの、二尊院宿坊プロジェクト。未来につながるお寺の活動として、目が離せませんよ!

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二尊院の田立智暁住職

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