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宿坊がもしも100軒増えたなら

01.宿坊
 

山の中の大陽寺

宿坊を開くことは今後のお寺にとって、
切り札のひとつになる
と私は考えています。

檀家は急激に減少し、お葬式や法事がなくなっていく現代。
新たな収入源を作ることはこれからのお寺にとって必須
です。

またお寺を仏教と人とをつなぐ場と考えるなら、
お寺と縁のない人が気軽に足を運べる宿坊は、
社会に与えるメッセージとしても大きなものがあり
ます。

お寺によってはほとんど使われていない
遊休施設を抱えたところもあります。
それらの有効活用も果たせるかもしれません。

埼玉県秩父の山奥にある大陽寺と、鳥取県八頭にある光澤寺
この二つは宿坊の新たなスタイルを切り開く
可能性のあるお寺として注目しています。

大陽寺が宿坊をオープンさせたのは2006年。光澤寺は2012年。
江戸時代から続いている宿坊から見れば、
どちらもまだ始まったばかりです。

そしてこの2ヶ寺の共通項は、住職がゼロから宿坊を立ち上げたこと。
さらにどちらも都会から離れた過疎の町にあるという点
です。

大陽寺に至っては半径5km人が住んでおらず、
最寄りバス停からは徒歩2時間という恐ろしい環境ですが、
むしろその大きなマイナスをプラスに変えて、
日経新聞の初心者におすすめの宿坊ランキングで全国一位になりました。

また光澤寺もオープンから半年と経たないうちに、
NHKを始め各種メディアが取材に訪れ、全国から宿泊者が集まってきています。

地方のお寺ほど疲弊は進んでいるというお話もありますが、
宿坊はこうした過疎の町にも活用できるリソースです。

光澤寺は宿坊を核に地域活性や都心部に住む方への墓地販売など、
新たな戦略も生み出しています。

しかし宿坊は当然ながら宿でもあるため、
全てのお坊さんに進められるわけではありません。

他人が24時間生活空間にいる状態は、好き嫌いや向き不向きもあります。
また旅館業や簡易宿所の認可取得など、初期投資もかかります。

(この辺の初期投資をなるべく抑える方法は、様々なところで議論中ですが)

それでも全国に8万近くあるお寺のうち、100軒でも宿坊を始めたならば、
お寺の新たな経済モデル確立はもちろんのこと、
お寺が人の心に寄り添う場としても、
もっと大きな役割が生まれてくるでしょう。

何より、旅する側にとっては宿坊が増えれば、
さらにワクワクが増しますしね。

もしもお寺の新たな一歩に悩みを抱いているお坊さんがいれば、
宿坊を検討事項に入れてみませんか?

宿坊研究会では宿坊を開いたお寺の住職を紹介することも可能です。

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山の中の大陽寺

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