集中力測定メガネJINS MEME(ジンズミーム)と僧侶がコラボ
寺社とビジネスを融合させる寺社ビズ活動の一環として、昨年末からお坊さんによるマインドフルネス研修プログラムを手掛ける、株式会社インナーコーリングの顧問になったほーりーです。
そんなわけで現在、絶賛マインドフルネス研究中なわけですが、今回はこのインナーコーリングとメガネ大手の株式会社ジェイアイエヌによるビジネスソリューション発表会が行われたので参加してきました。
集中力測定メガネJINS MEME(ジンズミーム)
今回、テーマに掲げられたのはJINS MEMEというメガネです。
この製品、視力補正を目的とした通常のメガネと異なり、眼の動きやまばたき、身体の傾きなどを測定することで集中力の状態を解析します。度を入れることで通常のメガネ機能もプラスできますが、ほーりーのような裸眼人間は素のレンズで使います。
現在、近未来のキーワードになってきているIoT(Internet of Things = モノのインターネット)の流れを汲んだメガネですね。
IoTってなんやねんという方には、こちらの本がオススメです。コンピューターでなかったものにコンピューターを組み込む分野で30年間研究開発を続ける坂村健氏の本です。
IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書) 坂村 健 著 |
まあ、本を読むのが面倒くさいという方は、これからの社会はあらゆるものにコンピューターが組み込まれてくぞとでも認識しておいてください。古くは「どこでもコンピューター」とか「ユビキタス」なんて呼ばれていたものの進化系です。
コンピューターが小型化・低価格化していく未来において、商品にバーコードを付ける程度の感覚で、チップやデバイスが埋め込まれることが当たり前になるのです。
あ、ちなみにこれもおすすめ。「WIRED」創刊編集長をつとめたケヴィン・ケリー氏の著書です。
〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則 ケヴィン・ケリー 著 Amazon で購入 |
そしてその結果、これからは以下の技術革新が起こります。
○モノが状況を判断する
○モノが状況を記録する
そして世界中のモノがインターネットで汎用的につながります。まあ、こうしたつながりまで考えると話しが広がり過ぎるので、今回は「判断」と「記録」の2点に絞ります。
メガネが集中力を測定するなんて、眉唾物だよ、、ね?
JINS MEME(ジンズミーム)に関して言えばメガネが人の集中力を「判断」し、その推移を「記録」します。で、こんな話を聞くと、「集中力なんてどうやって測定するのよ? 科学で人の心とか判断しようとすると、痛い目にあうよ」とか、そんな意見が聞こえてきそうです。
もちろんひとことで『集中力』と言っても、意味するものは様々です。科学的に測るからには集中力を何かの形で定義することが必要です。そこでここでは東北大学の川島隆太教授が研究する眼電位をもとに、眼の動きから集中力を割り出します。
川島教授と言えば、大ヒットした脳トレゲームを監修し、様々なワークショップから写経が一番脳の活性に良い効果があったと報告して、写経による脳トレ本なども出された方。
ここでまたマインドフルネスに関わってくるとは、本当に時代の先端を歩まれまくる先生ですね。私、大ファンです。
般若心経脳ドリル 写経と読誦―元気脳練習帳 川島隆太 監修 Amazon で購入 |
そして眼電位とはプラスに帯電している黒目(角膜側)とマイナスに帯電する網膜の電位差のことで、眼の動きによって変化します。この動きを捉えることは重度の身体麻痺者が補助器具を操作するのに用いられるなど、様々な場面での活用が期待されています。
今回のJINS MEMEでは、この目の動きやまばたき、そして加速度や角速度を測定するセンサーにより姿勢や動きも加えた上で、総合的に集中力を数値化しています。この辺も大阪大学の中野珠実先生によるまばたきの研究など、様々な理論が使われています。
そういう意味では、『集中力』を身体動作に置き換えて定義した一つの形と言うことはできるのではないでしょうか。少なくとも機械に心を覗かれるとか、そんな怪しい黒魔術じゃないわけです。
集中力により、マインドフルネスが数値化される
と、ここまで前提をいろいろ書いてようやく本題に結びつきますが、ほーりーが顧問を務める株式会社インナーコーリングでは、この集中力測定メガネを用いることで、マインドフルネスの可視化を試みています。
上の写真はその実演。瞑想時の集中力を、「調身」「調息」「調心」の3つでグラフ化しています。ちなみに一番左が今回の研修プログラムを作ったチーフコーチの井上広法さん。ぶっちゃけ寺やhasunohaでもおなじみの、あちこちで大活躍しているお坊さんですね。
「数値が高いですね」とほめられたとたんにピューッとグラフが下降していくのも、ぶっちゃけ寺で鍛えた笑いの力が発揮されています。
本人の名誉のために。ちゃんと、持ち直しましたよ。
マインドフルネスの課題は、怪しさを取り除くこと
今回は上の集中力測定実演に先立ち、井上広法さんと京都・妙心寺春光院副住職の川上全龍さんの対談もありました。
川上さんと言えば同性の結婚式を行うお坊さんとして、世界中から注目されている方。マインドフルネスにも深い造詣があり、ご自身のお寺や海外などで指導もされています。
いや~、前からいつかお会いしたいと思っていたので、思いがけず会うことできてラッキーです。
川上さんによるとアメリカでのマインドフルネス市場は1000億円もの規模があり、急拡大に伴って(ポンポン出てくるので)ポップコーン老師と揶揄される怪しげな先生がたくさん誕生したそうです(一昔前のヨガのように)。
一方、日本ではまだ1億円にも満たない市場でこれからの成長が見込めるものの、しっかりとした知識や基準を普及させないと日本版ポップコーン老師が普及を阻害するでしょうとおっしゃっていました。
その意味でこうした客観的な測定機器は、現在の日本に漂うマインドフルネスのスピリチュアル的な怪しさにメスを入れることができます。それはビジネス現場に広めていくには絶対に必要なものです。
ブラック企業による違法残業問題を受けて、残業削減が社会的なテーマとなってきています。また日本の一人当たりGDPは先進国中では下位に低迷し、仕事の効率が悪い(集中力だけの問題ではありませんが)ことも指摘されています。そしてこれからの人口減少社会では、単純に人の手が足りなくなっていきます。
そうした中で1日の集中時間が15分増えれば、1年(250日換算)で62時間も集中した時間が増えます。マインドフルネスの普及により、これが一人一人に底上げされれば大げさでなく日本の仕事改革につながっていきます。
というか、日本全体の仕事効率化を図らなければ、これからの世界情勢を鑑みると本当にまずいです。残業、減らそうぜ!
マインドフルネスにより、日本を進化させていく。これは社会的にも意義ある活動として、ほーりーも力を尽くしていきますよ。