100年後はご先祖様と向き合う人が増えるけど、ダークサイド編
先日、私たちの孫世代以降から、ご先祖様を大切にする人が増えていくよという記事を書きました。
100年後はご先祖様と向き合う人が増えるけど、お寺が笑えない理由
簡単にまとめると
○ご先祖様が人生に与える影響を小さくすることは社会的コミットなので、大切にしないと若者だけ批判するのは変な話
○100~200年経つと、SNSで「あなたのご先祖様はこんな人」と、私たちが今せっせと投稿している写真や動画を子孫が見るアプリが登場
○ご先祖様が大切にされる時代は来るけど、そこにお寺が関われるかは未知数
というものです。
先祖代々のお墓を受け継ぐ人が減っている、家庭から仏壇がなくなったという目の前の事象だけ見て、ご先祖様が大切にされなくなったと嘆いていると、いざご先祖様が敬われる時代が来てもお寺はノータッチになりかねないと思います。
これから発達する個人の行いや評判が、生活に反映する時代
そしてここまではほんわかした予測話ですが、もう少しエグい未来も考えられます。これからは食べログのように、個人を評価するサービスが増えていきます。
最近話題になったのは中国人がこれから急速に品行方正な国になるだろうというこの記事ですが、ざっと引用すると
個人の信用度によって個人の「できること」に大きな格差がつく。公開される信用度が高ければ、生活の様々な面でメリットを享受できる反面、例えば「公共料金の支払い遅延を繰り返すと、航空機や高速鉄道に乗れなくなる」「レンタル自転車の返却規定違反を繰り返すと、賃貸契約を拒否される」といった事態が現実化しようとしている。
悪いことをしようとしてもできない(リスクが高すぎる)社会、人を騙そうとしても騙せない(割が悪すぎる)社会をデジタル的につくり上げ、「ルールを守り、真面目にコツコツやったほうが結局はトクだ」という仕組みで、社会をがんじがらめにする。そうすることで否応なく人に「良い行動」をさせる。やや極端に言うと、そういう壮大な試みが、いま全土で進行中だ。
という仕組みが着々と出来上がっているそうです。
信用・信頼をモラルやルールではなく、技術で担保しようという話です。最近話題になっているブロックチェーン(ビットコインなどに使われている技術)にも通じますね。
ここまで行かなくても日本だって、SNSのフォロワー数により、異なるサービスが提供されるキャンペーンは行われていますし、ネット上の影響力を総合的に評価、公表する仕組みも生まれています。
例えばこの美容室。『SNSフォロワー1000人以上限定クーポン』を発行しています。21600円が6000円になるという超大幅割引です。ほーりーも5000人近くからフォローされているので使えますね。問題はカットしてもらう髪が少ないことですが。
また、ブラックリスト的な個人情報の共有はカードローンや保険会社など一部に留まっていますが、過去に犯した犯罪情報を検索しても出てこないようにするかの訴訟など、せめぎ合いは続いています。
家系が評価される時代もやってくる
そしてこれらも100年後にデータとして溜まれば、あっという間に「あなたの結婚相手のご先祖様はこんな人たち」という信用調査ができてしまいます。新社会の家柄制度復活です。
いやいや。大げさですぜ。ほーりー。そんなこと、倫理的に許されるわけないじゃんって方。今だってキラキラネームは採用面接で落とす、なんて言っている企業がありますよ。
名前を付けたのは親であって、本人じゃないのに。就職とか結婚とか、そんなシビアな場面ではデータがあれば活用するのが人間です。
まあ、そういうわけで良い面でも悪い面でも私たちの次の世代は、ご先祖様を身近に感じる場面が増えてくるんじゃないかなと思います。
ということで、、、
こんなことだけ書いて終われば救いのない話(まさしく、ダークサイド編)ですが、私はむしろこれからのお寺は積極的にご先祖様との関係を作り直す仕組みも構築していくべきではと思います。
だって、100年後にはご先祖様の情報が残されるために、苦しむ人だってたくさん出るかもしれませんし。さすがに「お前のひいおじいちゃん、バイト中に冷蔵庫に入ってお店を潰したんだってな」なんていじめられたら、かわいそうすぎますよ。
10代前に性犯罪者がいたからあなたとの結婚はやめますなんてことも、現実的には起こり得ます。
もちろんそれは命のつながりとか、ご先祖様への感謝とか、それらを全部なくしましょうなんて話ではありません。しかしご先祖様が忘れられるより、むしろリアルに目の前に迫り過ぎてしまったときにどうすべきか。
お寺はこれから100年かけて、用意していくべきではないでしょうか。