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檀家数減少時代に収入を支える、石垣型のお寺設計

先日、神戸で行われた浄土宗兵庫教区さんの研修会で、講師をさせて頂きました。

この研修会。テーマは「寺院の危機が叫ばれる中、いかに僧侶はあるべきか」です。2日間の日程で4人の講師が前に立ちましたが、私が受けた依頼は「これからのお寺の存続策を話してほしい」というどストレートなものでした。

寺院の危機が叫ばれる中、いかに僧侶はあるべきか

事前の打ち合わせ時には、以下の本が手渡されもしましたし。



 寺院消滅

 鵜飼秀徳 著

 Amazon 楽天ブックス で購入

大きく話題になった、これからお寺がどんどん消えていくだろうという現状と未来予測をルポルタージュした本です。講演内容のリクエストがここまで明確で分かりやすいと、私も腹をくくるしかありません。

そんなわけで今後のお寺はどうやったら収入が得られるかという、いろんな方からまた「お寺が金儲けとは何事か」と怒られそうなテーマで講演を引き受けてしまいました。

ただ、ほーりーとしても単にお寺にお金稼ぎしてほしいと思っているわけではありません。なので収入を得られつつそれが仏教を伝える役にも立つような、布教と経済が両輪で回るモデルを話しますと回答しています。

それも自分の首が締まりそうだなと思いつつ、複数並べてという条件まで付けて。だって「うちの寺は宿坊なんてやるつもりないからな~」ってお坊さんに、90分間宿坊開設のメリットを話しても、お互いに無益ですし。

ということで今回はひとつひとつが短くなっても、「あ、これなら使えるかも」というものが見つかるようにと、5つのモデルを幕の内弁当的に話すことにしました。

人口が減り、檀家組織も失われていく中、ほーりー一人が語れることなんてたかが知れてるとは思いますが、私にとってもお寺の収入アップは重要テーマです。寺院全体なんて巨大なものは手に負えないとしても、私が大好きなお寺が一つでも多く次世代につながるなら、こんなに嬉しいことはありません。

そう考えると、やる気出てきた。ということで今回の講演は『檀家数減少時代のお寺の方策』というタイトルを付けました。

資料の大部分を一から作り、必要に応じて取材も重ね、ベータ版が出来上がったところで知り合いにレビューして頂き、ようやく出来上がった苦心作ですよ~。

檀家数減少時代のお寺の方策

檀家数減少時代のお寺の方策

まず、前提として。

ほーりーは様々な宗派の方から話を聞いたり、資料を頂く機会がありますが、お寺の統計情報を見るとだいたいは、檀家さんからのお布施が全体収入の80%を占めています(調査方法やアンケート項目などにより、数字のばらつきはありますが)。

もちろん檀家さんはとても大切な存在です。ですがほーりーの感覚として、お寺社会のような巨大なものが、ほぼ檀家さんのみで成り立っている構造にはバランスの悪さを感じます。

円グラフにしてみると、分かりやすいでしょうか。

お寺社会の収入構造

このグラフから檀家さんが減っていくのであれば、一本柱の弱点が如実に表れます。

そんな中でほーりーがお坊さんと話をしていて思うことは、「檀家さんが減っていく。それを補う何かはあるか?」と、考える方が非常に多いということです。

これ自体は悪いことではありません。ですが、私が今回の講演でお話させて頂いたことは、「檀家さん減少を補える何か」が現れることは、まずないでしょうということでした。

石垣型のお寺設計

上の資料では「魔法の策」なんて表現をしていますが、例えば宿坊をあちこちのお寺で開いたら、すぐに供給多寡になるじゃないかというような言葉はその典型です。

なので、それでは何をすれば良いか? 私が提案させて頂いたのは、石垣型のお寺(あるいはお寺社会)設計でした。

石垣型のお寺設計とは何か?

石垣型のお寺設計。聞きなれない言葉でしょう。今回の講演で私が作った言葉なので、当然と言えば当然です。

ほーりーの本名は「堀内」です。誕生日は4/6(城の日)。お寺や神社も好きですが、お城も大好きほーりーです。で、石垣を見る機会も多いのですが、あれっていろんな大きさの石を積み上げることで強固に作っているんですよね。

なのでその石垣になぞらえ、大きなものから小さなものまで、様々な収入源を組み合わせていけば、変化に負けない強固な体制になっていくのではと私は考えています。

種を明かせばそんなに目新しい概念でもないですが、お寺社会はこれが苦手です。

なぜ苦手なのか? 理由のツートップは以下のものです。

〇新しいことを始めると、叩かれやすい同調圧力(お金に関しては、特に)
〇宗教法人として税金が免除されているため、「無税」の範囲に発想が閉じ込められる

その結果が、檀家さんからのお布施が8割という状況になっているというのがほーりーの分析です。

なので今回は、石垣パーツとなり得るヒントとして、「宿坊」「仏前結婚式」「企業セミナー」「信徒創造」「祈願・祈祷寺化」について現状や先行事例をお話させて頂きました。

これら一つ一つはこのブログでも過去にまとめていますが、またそれぞれ書いていけたらと思います。

ということで、、、

偉そうに語ってしまいましたが、石垣型設計はほーりー&株式会社寺社旅が苦心していることでもあるんですよね。

会社を辞めて独立してから5年。その間に当てにしていたいろんな収入源が、ぶっ飛んだり大きく落ち込んだりもしていきました。

本当に時代の変化の速さには、翻弄されっぱなしですよ。

しかしそんな時に役に立ったのが、収入源の多様化です。あっちが消えたけどこっちがあるから何とかなったとか、新たなもの作りにチャレンジしていたおかげで、思ってもみないところから収入が生まれたなんてこともたくさんあります。

石垣型設計のメリットは

〇個々は小さくても全体で成り立つ
〇一つが崩れても、他でカバーできる
〇それぞれが相互に作用することで、収入が大きくなる

という点です。

石垣型設計のまとめ

そしてこれは、布教にも共通して言えます。いろんな入り口があればどこかから人は入ってくるし、その相乗効果で仏教が伝わりやすくもなるでしょう。

今回は5つのモデルで話をさせて頂きましたが、お寺社会全体を考えるならまだまだ数は足りません。ほーりーが思いつかないようなことも含めて、10個でも100個でも作り上げる人が必要です。

そして日本中のお寺がもっともっとバラエティ豊かになったとき、ほーりーがお寺を巡る楽しみはさらに増していきます。なので、ぜひぜひお坊さんの皆さま。いろんなことに、チャレンジイットでよろしくお願いいたします。

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