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お坊さんバブルで仏教が消費されることを危惧する方へ

井上広法さん

今年はちょっと、近年に見ないほどお坊さんがもてはやされた年でした。

そしてお坊さん達から、あんなのが広まったら仏教が廃れるというお話もたくさん聞いた一年でした。

様々なお坊さんがお茶の間に出て話題となった、テレビ朝日のぶっちゃけ寺。番組自体は去年始まりましたが、2015年4月6日にゴールデンタイムに進出し、お寺社会では今年一番賑わいを見せたテーマかもしれません。

白川密成さんのエッセイ『ボクは坊さん。』の映画化も大きな反響を呼んでいます。祖父の死をきっかけに若くしてお寺を継いだ一人の人間物語として共感を呼び、高野山の開創1200年に合わせて大々的に宣伝されました。

また、もうちょっとバラエティ色に富んだところだと、10月に始まった仮面ライダーゴーストの舞台にもお寺が選ばれています。主人公の天空寺タケルはお寺の跡取りで、撮影にも実際のお寺が使われています。さらにイケメンお坊さんとの恋に揺れる英会話講師を描いた漫画『5時から9時まで』も同じく10月にドラマ化され、山P(山下 智久さん)の僧侶姿がそそられると(それぞれお坊さん社会ではなく、一般の人たちに)人気を博しました。

なんかもう、いろんなところでこれまでありえなかったお坊さんブーム到来です。10年以上もお坊さん達を追いかけ続けている私としては戸惑ってしまいますが、こういう時は素直に「何も知らずにキャーキャー言いやがって、にわかどもめ」と、意味のない優越感に浸っておくのが先行者の特権ですね♪

そして「あんなのが広まったら仏教が廃れる」というお坊さんは、こうした社会の空気をしっかりと感じておかないと、それこそ仏教が廃れることになっていきます。

それはともかく私の今後の予想ですが、これから3年以内には、一度お坊さんブームが弾けます。期間限定の映画やドラマはともかく、まだしばらく続きそうなぶっちゃけ寺がいつ終了するかが、ひとつの指標となるでしょう。

坐禅や写経などの仏教体験やパワースポット、仏像ブーム、坊主バー、御朱印ガールなど、これまでアーリーアダプターにもてはやされてきたお寺コンテンツが、もっと広く薄い大衆層まで伝わったのが、この2015年です。

これまで織田無道さんやオネエ住職など、僧侶としてよりも「キャラを立てたタレント」としてテレビではお坊さんが活躍されていましたが、ぶっちゃけ寺に出演されているお坊さんは基本的に皆さんスタンダードな僧侶ばかりです。

私はぶっちゃけ寺を仕掛けた井上広法さんを始め、出演されているお坊さんともちょこちょこお会いしています(昨日も出演経験のあるお坊さんと、90分くらい電話してました)が、話が面白い方はいてもそれは芸人のような笑いを取る面白さではありません。

テレビ番組の制作、それもゴールデンの番組なんてものすんごいリサーチが働いていますから、ぶっちゃけ寺が続いているのはまさしくお坊さんブームが世に受け入れられている証拠と見てよいでしょう。

お坊さんバブルは弾けるけれど、、、

で、ここから本題ですが、お坊さんバブルは弾けます。ですが、はじけた時に慌てる必要はありません。そこでバブルとは何かを俯瞰するために、日経平均の長期推移をグラフにしてみました(出典:株価データ倉庫)。

日経平均の推移

日経平均の最高値は1989年12月29日。この後、日本は失われた10年とも20年とも言われますが、日経平均はバブルが始まる前よりははるかに高い値を保ち続けています。

あと、もう一つ。私がよくお寺と見比べるサッカーからも、Jリーグ開始以来のJ1試合入場者数の推移をグラフ化しました。(出典:J. League Data Site)。

Jリーグ入場者数

Jリーグも開幕当初は熱狂的な社会現象になりました。そして、急激に落ち込んでいます。最近になって入場者数がバブル頂点まで追いついたように見えますが、参加チームは10から18チームまで増えていますし、観客席の空いているスタジアムは散見されます。

ですがこれも(グラフでは見えませんが)、Jリーグが始まる前の日本リーグ時代、スタジアムはどこも閑古鳥が鳴いていました。その水準と比べれば、サッカーは遥かに日本に根付いています。

私がお坊さん講習会で講師をさせて頂くと、「お寺を開くのはいいけど消費されて終わるのではないか?」というご質問を頂くことがあります。

消費されて、いいと思います。バブルに振り回されてはいけませんが、消費されても何もブームが起きなかったときよりも、はるかに多くのものがお寺には残ります。ついでに言えばバブルに浮かれる心から最も遠く離れたところにあるのが仏教でしょうし、お坊さんが仏教を土台に生きているのであれば、振り回されることもないでしょう。

なのでせっかくお坊さんバブルが起きているのですから、今はそのバブルを活用することと、はじけた時に慌てないことを心がけておくと良いんじゃないでしょうか。

そういう意味でも、先日行われた美坊主コンテストは最高ですね。

美坊主コンテストを痛烈に批判する人が見ようとしないもの

実際に最近は、お葬式や法事で子供たちがお坊さんに積極的に話しかけてくるというお話を聞きます。仮面ライダーに出てくるお坊さんが本当のお坊さんとは異なっていたとしても、子供たちにとってはお坊さんが興味の対象となるのです。そして生で会話した経験はお坊さんバブルが弾けても、なくならないでしょう。

バブル時の基本は無理な拡大戦略を取ることではなく、追い風に乗って後々にまで通用する土台を作っておくことです。そういう意味ではお坊さんバブルとは異なりますが、宿坊創生プロジェクトもインバウンドのバブルに乗った戦略と言えます。

あと、最後にぶっちゃけ寺。こんな記事を書きましたが、もちろん終了してほしいわけではありません。笑点やサザエさんみたいにご長寿番組になったら、お坊さんバブルではなくお寺のイノベーションに変わっていきます。なので出演されているお坊さんには、ますます頑張ってほしいですね。

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