電話してもつながらない。お寺に昼休みを設けた本光寺の働き方改革
ほーりーが現在、縁切り寺プロジェクトでご一緒させて頂いている千葉県市川市の本光寺。これまでも境内を全面禁煙化したり、お寺に多数の案内看板を立てたりと、様々な試行錯誤を行っているお寺です。
せまいと思われた本光寺の境内が、参拝者に広いと喜ばれだした理由
そしてこちらは去年から、お寺に昼休みも設けています。今回はこの話が面白かったので、まとめてみました。
本光寺の昼休みは11時30分から12時30分まで。この時間は寺務所が閉まり、電話も録音メッセージに切り替わります。
そして17時以降、翌朝9時も寺務所を閉めて録音メッセージ対応です。これはお店や企業のサポートセンターなどでは当たり前にあるものですが、お寺での導入は勇気がいると、お坊さんの間で話題になっていました。
本光寺は24時間365日お参り可能なお寺です。一方でお寺を常時開いておくには人的対応が可能な時間を明示しないと中の人がつぶれます。
本光寺自体は町の小さなお寺ですが、寺務員さんも数人働いています。そこで働きやすい環境作りも住職の使命であると、こうした時間設定に乗り出されたようです。
お昼ごはんを食べている途中に電話があると、そのまま食事が中断しがちですしね。これがラーメンとかだと、電話が終わったころにはずるずるのびて泣きたくなります。
そんなの仕事なんだから我慢しろとか言われそうですが、食べ物の恨みは怖ろしいんですよ。
昼休み中は電話がかからない。働きやすい職場にとって、侮れないポイントではないでしょうか。
緊急で檀家さんが亡くなったときの対応は?
本光寺の尾藤住職が他のお坊さんにこの話をすると、「緊急で檀家さんが亡くなったときはどうするの?」という質問がよく来るそうです。
これには葬儀会社との連携が欠かせません。夕方以降に流れる録音メッセージでは、急ぎの連絡用に葬儀会社の電話番号が案内されます。
また夜間に対応が必要なものは、病院から亡くなられた方のご遺体を移すことです。葬儀の打ち合わせは翌日でも間に合いますが、病院では少しでも早くベッドを空けるように求められがちです。
ほーりーが連載を続ける月刊住職にも、この手の記事が載っていましたな。
このため本光寺にはご遺体の安置室が設けられており、急ぎの場合のために葬儀会社の方に鍵が預けられています。そしてお寺の人間はノータッチのまま、夜間に移すことが可能になりました。
また、お寺にご遺体が安置されることに対して、最初は住職のご家族も少し抵抗があったようです。しかしあっという間に慣れたとのことで、こちらも問題にはなりませんでした。
さらに住職としては枕経に行かなくてよく、ご遺族の方もお寺に来られるのでそこで葬儀の打ち合わせが可能と、効率的にもいいことづくめです。しかもご遺体が安置されている間は毎日お経をあげることもできるので、亡くなられた方もお寺という空間で安心して眠れるかもしれません。
スタートした時の周りの反応は?
そしてもうひとつ気になるのは、この昼休みや夕方以降のメッセージ対応をスタートしたときの檀家さん達の反応です。
お寺によってはいつ電話しても、ツーコール以内に出ないとどやされるとか、怖い話も聞いたことがあります。まあ、これまた極端な例かもしれませんが、立派なパワハラですね。しかし本光寺の場合は、これもそこまで大きな抵抗はなかったとのお話でした。
人手不足や働き方改革が叫ばれる昨今、総代さん達に話しても、「まあ、お寺も大変な時代だからね」とのことで、ご理解頂けたとのことです。
この辺は本光寺、人に恵まれているなと思います。尾藤住職は物腰柔らかく丁寧に説明される方なので、そうした人徳的な部分も大きいでしょうが。威圧的な檀家さんがたくさんいるお寺ほど、もうそんな時代じゃないんですよということが伝わってほしいですね~。
ということで、、、
本光寺では現在、縁切りの神様がお祀りされていることもあり、月替わりの縁切り法要も行っています。
そのテーマは『有給休暇取得祈願法要』や『定時退社促進祈願法要』、『休日出勤回避祈願法要』など、働き方に関するものも多々あります。
こちらはその有給休暇取得祈願法要で、参拝者が書いて割ったかわらけです。
もちろん、働くことは大切です。しかし忙しさが持つ優越感や、休むことへの罪悪感、そしてコンビニの24時間稼働問題に代表されるような、現場の疲弊を無視していつでも相手に対応を求める空気と縁切りしようと、本光寺は頑張っています。
ほーりーも今、そのために本光寺の寺務効率化をちょいちょい提案してみたり。
みんなで良い力の抜き方も、模索していきたいですね。ということで、本日はここまでで終了。シャッターも閉めて、お疲れ様でした~☆