宿坊は地域とさらに強固に結びつくと感じた、お寺ステイサミット
先日、岐阜県高山市で行われた『第一回 OTERA STAYサミット 2024』を取材してきました。こちらは日本各地で宿坊の開設や運営支援を行っている株式会社シェアウィングさんが企画したもので、高山善光寺を会場にして開催されています。
その内容は高山善光寺の宿坊内覧と、高山の古い街並みや寺町を散策するツアー、そしてOTERA STAYの現状と展望や、宿坊住職たちによる活動発表という密度の濃い一日になりました。
各地の宿坊の動きを伝えるこのブログでは、特に後半部分のトークセッションに焦点を当ててお伝えします。
宿坊を起点に地域との連携を深めるOTERA STAYの展望
まず最初にお話しをされたのは、佐藤真衣社長です。シェアウィングは以下の目標を掲げながら、宿坊について取り組まれています。
「地域産業」「歴史資源」そして「人」の3者が交わり好循環を生み出すことで、世の中を変えていく。これがシェアウィングのビジョンです。
そして現在は13寺院と提携し、今後は宿坊という点を増やしながら行政などとの連携も深める活動を目指されています。実際にこうしたモデルは和歌山県那智勝浦町で「デジタルノマド」を学ぶ研修会を開催したり、山梨県身延町で街づくりの社団法人が設立されるなど、先行事例が出来上がってきていることがお話しされました。
宿坊住職達が語る地域への想い
続いて和歌山県・大泰寺の西山十海住職、京都府・正暦寺の玉川弘信住職、山梨県・法源寺の横山瑞法住職、長崎県・国昌寺の作元功照住職も登壇されました。なお、最初の3人はそれぞれ宿坊を運営されており、最後の国昌寺さんは宿坊を開設準備中です。
一人ずつどのような取り組みをされているか、どんな想いで宿坊を営まれているかお話しされていましたが、ここでも大きなキーワードになっていたのは「地域」でした。
まず西山住職の講演は、タイトルからして「地域連携型」の文字が入っています。宿坊を拠点にしながら、地元の木材を使ってサウナを始めたり、近くにある熊野古道の活性化などにも焦点が当てられています。
また玉川住職のお話しには、過疎化が進む地域の現状が紹介されていました。こちらは料理に焦点が当てられ「オーベルジュ宿坊」とも呼ばれていますが、地元の食材なども大切にされています。
そして横山住職のお話しは、もっとストレートです。「寺よりもまず地域」とでかでか書かれ、「宿坊がやりたかったわけではない・・・」と添えられていました。地域の未来を考えて、それが宿坊につながったという想いが、下のパネルだけでも読み取れますね。
最後の作元住職はこれまで観光ガイドや海の体験インストラクター、ドローンでの撮影など、地元対馬を盛り上げるための様々な活動を行われています。宿坊はこれらをまとめる最後のピースになると、熱く語られていたのが印象的でした。
他には会場となった高山善光寺の宿坊についても、泉雪菜副住職と佐藤社長で立ち上げ時の経緯がお話しされました。その中では地元の方を招いたワークショップで昔よく来ていたお寺に来られて喜ばれたなど、ほっこりとするエピソードも紹介されていましたよ。
と、いうことで、、、
終わった後はシェアウィングさんの打ち上げがあり、ほーりーもお呼ばれしたので参加してきました。高山の郷土料理やお酒を頂き、二次会は高山善光寺に戻って語り合い、気が付いたら夜中の1時過ぎになっていました。
場所によって様々な事情はあるでしょうが、お寺はやはり地域と共にあってこそとほーりーは考えています。そして宿坊はこうした地域との関係を新たに結ぶ上でも、さらに重要になっていくでしょう。
今回のOTERA STAYサミットでは、佐藤社長もそれぞれの住職達もそうした想いを強く持たれていて、宿坊の未来を改めて感じた一日になりました。