世界で最も雪が降る越後妻有で生まれたアートイベントに、お寺活性のヒントを探ってきました。
旅の図書館で越後妻有のアートイベント『大地の芸術祭』を手掛けるNPO法人越後妻有里山協働機構事務局長・関口正洋さんのお話を伺ってきました。
新潟県の越後妻有地域(新潟県十日町市・津南町)は3万人以上が住む地域では、世界で最も雪が降るとのこと。そんな環境ですから、
・人がいなくなる
・土地、建物、田んぼが放棄される
・祭りがなくなる
・将来のことを考えなくなる
といった状況が続いていたようです。これは説明せずとも日本各地で聞くことでしょうが、それだけに根の深いものでもあります。
その中で生まれた「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。もともとは新潟県知事が提唱した「ニューにいがた里創プラン」から始まり、アートディレクター・北川フラム氏をアドバイザーとして2000年にスタートします。
ウェブサイトを見ると、
過疎化・高齢化が進む越後妻有の地域再生の契機として、 地域資源の発見や地域の知恵の学習、住民との協働、 空間を息づかせる制作という、アートがもつ力を信じ、 この地域づくりが企画されました。 |
と説明されていますが、地域活性からアートという手法にたどり着き、生み出されたということのようです。
しかしそこからがすごい。大地の芸術祭は2000,2003,2006,2009,2012(そして今年の2015)と3年ごとに開催されていますが、2012年には44の国と地域のアーティスト310組が参加し、作品数は367点、来場者数は50万人に迫るなど、巨大なイベントへと成長しています。
アートによる地域活性の先駆的事例としても注目されていますが、受賞歴とか見るとすんごいです。
・「ふるさとイベント大賞グランプリ(総務大臣表 彰)」(2001年) |
しかし、そもそもこのアートイベントはなぜここまで成長したのか。私が知りたかったのは、うまくいく地域といかない地域は何が違うかということです。そして関口さんのお話で面白かったのは、地元の方が巻き込まれた過程のエピソードでした。
最初は200の集落に説明に伺っても話は聞いてもらえず、また決めたことも翌日にひっくり返るなど、協力はほとんど得られなかったそうです。しかしそれでも続けていると、だんだんと世話焼き体質な方が、危なっかしくわいわいやっているよそ者を放っておけなくなり、気がつけば協力者が増えていったとのこと。
まずは自分たちでやる。そして続ける中で巻き込んでいく。これはお寺や神社と何かを行いたい場合も同じですね。
そして地元の方も動き出すようになると、今度はそこに喜びが生まれる。畑仕事ができなくなってきたおばあちゃんたちが、作品を作るための針仕事を手伝いながら笑っている姿が紹介されましたが、一度動き出せば中の人も外の人もそれぞれ自分の関わり方を作り上げていく。この持続力と巻き込み力。これがきっと、何をしていくにも大切なのでしょう。
私も2015年は放っておけないほど、危なっかしい人を目指していきたいなーと思います。ということで、世話焼きな方がいたら、ぜひちょっかい出しに来て下さい。