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戦国グッズで名を上げた男が、命を賭けて移住した名護屋城跡がやばい

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先日、佐賀県に行ってきました。その目的の一つは、名護屋城跡を見ることです。

名護屋城(名古屋城ではなく)、ご存知ですか? 私はまったく知りませんでした。しかし前からお世話になっていた田中秀樹さんが名護屋城に惚れ込んで唐津市に移り住んだと聞いたので、これはただごとじゃないと注目していました。

ちなみに場所で言うと、この辺りです。いや~、行くの大変だった。

田中秀樹という、世界で一番戦国時代を考え続けている男

田中秀樹さん

名護屋城について語る前に、田中さんの紹介から。この方、戦国武将について語らせたら日本でもトップクラスの有名人です。2004年12月には日本初の戦国ブランド『もののふ』を設立し、その後に続く戦国グッズブームに火を付けてしまったくらい、熱い人生を送っています。

この辺は以下の本が詳しいのですが



 しあわせな仕事の見つけ方、つくり方 ~共感・応援の時代の仕事道~ (ワニプラス)

 久米 信行 著

 Amazon 楽天ブックス で購入

「資金もなければ、流通のことも、クリエイティブな世界のことも全く素人だった田中さん」が、「戦国ブランドを立ち上げたい」と想いだけでスタートしたのが『もののふ』です。戦国武将のオリジナルTシャツを作ったところからスタートし、一年半後には会社を辞めて独立、バスツアーや戦国イベントなど様々な展開で歴史業界をリードしてきました。

戦国のことはもののふに聞けとまで言われた所以です。

上で紹介した本を読むと

朝も昼も夜もずっと戦国の文化や意匠のことを考えて、考えて……。どうしてもブランドを立ち上げたいと、その思いを抑えることができなくなった。

世界で一番戦国のことを考えているのは自分だ

正直いって、あまり深くは考えていなかったんです

という言葉がどんどん出てきます。「宿坊」と「戦国」の違いはあれ、やっていることは私とほとんど変わりません。

そんなわけでいつもいつも刺激を頂いている方です。そんな田中さんが飛び込んだ名護屋城を、今回はどうしても見てみたくなって行ってきました。

田中秀樹、名護屋に飛び込む

もともと田中さんは長崎出身の九州男児ですが、時代を牽引したもののふブランドに区切りをつけ、決して人口が多いとは言えない(というか、過疎化が進む)唐津の町に「地域おこし協力隊」として飛び込んでいきました。それを最初に聞いた時、「ええ~、なぜ?」と(失礼ながら)思ったものです。

しかし田中さんほどの男がすべてを賭けるからには、名護屋城には何かがある。もはや「田中秀樹が移住した」という事実だけで、名護屋に日本最高の何かがないわけがないのです。

そんななか、突如現れたのがこれでした。

この動画。田中さんが名護屋城のPRを地道に続けていたら、ポニーキャニオンから連絡が来て、とんとん拍子で出来上がってしまったそうですよ。すげぇ。

他にも田中さんの活動は新聞やネットでも盛んに紹介され、名護屋城が外部の目に止まる大きな流れを生み出し続けています。

というかですね。田中さん一人で千万円以上の経済効果は余裕で果たしていますよね。私のブログ読者は寺社好きが主な方ですが、歴史とも親和性は高いですし。他にもデイリーポータルでも紹介されていましたしね。

ですが地元では「いろんなキーマンへのPRより、草刈りの方が評価されちゃうんですよ」なんて話もされていました。もちろん草刈りだって必要ですが、田中さんのような圧倒的な発信スキルを持つ人の評価が草刈りというのは、かなりもったいない話です。

ちなみに田中さんが携わる「地域おこし協力隊」とは、過疎地域の活性ミッションを担う期間限定の公務員制度のこと。私は昨年この地域おこし協力隊の講師も務めましたが、仕組みなど詳しくは以下の記事をご覧下さい。

Amazonで派遣僧侶になるなら、地域おこし協力隊と組めばいいじゃない

車の中で、ちょっと「地域おこし協力隊あるある話」も聞いちゃいましたが、田中さんみたいな人間はできるだけ自由に動かした方が、地域にとっても良い効果をもたらすはずですよ。

そして、ほーりーは見た。日本最強の戦国パラダイスを

ということで唐津駅で待ち合わせをして、田中さんの車で名護屋城まで連れて行って頂きました。戦国最強の男がマンツーマンでガイドしてくれる、めちゃくちゃ豪華なツアーです。

最初に訪れたのは、佐賀県立名護屋城博物館。ここの展示はすごい充実しています。

佐賀県立名護屋城博物館

名護屋は歴史上、たった7年だけ輝いた土地でした。天下を取った豊臣秀吉が、次に目指したのは朝鮮の地。ここに第二の大阪城とも呼べる巨大な城(黄金の茶室付き)を建てたのが名護屋城の始まりです。

そして日本中から戦国武将が集まります。これは歴史好きなら胸の高鳴りが抑えられない、豪華ラインナップです。展示されていた陣屋跡の分布図を見るとこんな感じです。

名護屋城と陣屋の分布図

徳川家康、伊達政宗、前田利家、石田三成、加藤清正、上杉景勝、直江兼次、真田昌幸、結城秀康、小西行長、長宗我部元親、宇喜多秀家……。

これだけの戦国武将が集結した場所なんて、他には関ヶ原くらいではないでしょうか。有力大名のお墓がたくさん建てられた高野山より、メンバーが豊富です。

田中さんの弁によると、「名護屋城の天守閣に立った秀吉は、大阪城でも味わえなかった満足を感じたはず。この城ではそのくらい、各大名を動かすことができた」とのことです。

戦国クリエイターとして、ここなら何でもできる。大河ドラマで戦国時代が取り上げられれば、関係する武将がいない年もない。こんなに創作意欲が掻き立てられる場所は他にない。それが田中さんがこの名護屋城を拠点に定めた理由でした。

名護屋城を歩いてみれば、その歴史の濃さに震えが走る

名護屋城跡

名護屋城博物館で全体像を学んだあとは、いよいよ実際の城跡を歩きます。私は「堀内」ですからね。お寺や神社だけでなく、お城も大好きなんですよ。誕生日も城の日(4月6日)ですし。

そんなわけで全国あちこちのお城も歩いているのですが、ここはちょっと見たことのない巨大スケールです。現在のひなびた風景からは信じられませんが、秀吉の時代にここは20万人が住む巨大都市でした。この規模の街は他に京都と大阪しかなく、日本でも有数の街が秀吉の号令によってあっという間に出来上がってしまったのです。

現代で三大都市と言えば、東京、大阪、名古屋ですが、この時代は京都、大阪、「名護屋」だったのですよ~(ちなみに江戸はまだ田舎)。

また、このお城は石垣も特殊です。城郭作りの技術は本来、各大名にとって秘密中の秘密でした。

しかしここでは大名についてきた職人達に腕を競わせ、建造スピードを早める手法が取られました。なので石垣にもいろんな技術が使われており、田中さんの語り口調もどんどん熱がこもっていきます。

さらに秀吉が大名を集めてたびたびお茶会を開いたり、能楽や焼き物が盛んに披露されたり、日本の最先端と言ってよいほど文化も発達していきました。戦地への足がかりにする簡素な出城と思っていたら、ほとんど都と言っても良い場所で、奈良の飛鳥や島根の出雲、長野の諏訪のような独自の一時代を築いた地域と認識を新たにしました。

あと、名護屋城バーチャルアプリが用意されていたので、いろいろ遊んできました。

名護屋城アプリ

しかし名護屋城にはタブーがある。それこそが、可能性を秘める最大の理由

こんなに素晴らしい史跡が、なぜほとんど知られずに手付かずのままなのか。それはひとえに「負の遺産」とされていることが大きいです。

先述した佐賀県立名護屋城博物館。ここは佐賀県日韓交流センターも兼ねていますが、説明書きには日本人から見ればやり過ぎなくらい違和感バリバリの記述も多かったです。向こうから見たら海を超えて攻めてきた拠点でもあったわけですし。

韓国で守り神として建てられるチャンスンもありました。

チャンスン

まあ、それが良いか悪いかここで論じる気はありませんが、関係する多くの方に重しが乗っかっている状況なのは間違いありません。そしてこの閉塞を打破するには、やはり外部のパワーを入れるのが一番早いんですよね。

堅苦しい感情のいざこざは置いといて。名護屋城跡、めちゃくちゃ楽しいし。こんなにワクワクできる場所で歴史を学ぶことは、けっして悪いことじゃない! そしてそのワクワクを日本で一番感じているのは、間違いなく田中さんなわけです。

古くなったタブーのあるところには、大きなチャンスが眠っています。私は墓石業界の関係者に『タブーを超える7つのアクション』という講演をしたことがありますが、この名護屋を可能性の塊と見るのはこうした理由もあるのです。

ネガティブな業界ほど、アイディアひとつでひっくり返る。

そしてせっかくなので、田中さんの想いを一つ。

上の方で紹介した本で、一番心に刺さったのは以下の言葉です。

戦国時代というと戦いの時代という印象が強いと思うが、戦いばかりではない。極限の時代だからこそ、とんがった文化と様式美が生まれ、同時に人の生き方に通じるようなやさしくていいエピソードがたくさん生まれた。それが、まだ、人々に伝わっていない。その時代に生きた武将たちの美意識やエピソードを発信したい

戦国時代を見つめて、見つめて、見つめ続けてきたからこその境地です。私も宿坊研究会を始めた当初は「本堂の隅に縮まって眠る」イメージを壊すところから始めたかった。なのでこの気持ちはとても共感できます。

ということで、田中さん。名護屋城を戦国の聖地とすべく、ますます頑張ってくださいませ~。

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