hasunohaで人の悩みに答えるお坊さん達が悩んでいること
いつもお世話になっている、人生相談サイトhasunohaさん。悩みへの回答者が全員がお坊さんというすごいサイトです。
私もお坊さん達のミーティングに、(なぜか)顔を出させて頂いたり、寺社コンのバナーも貼ってご紹介頂いたり、エンディング産業展で宿坊研究会と共同出展したりしていますが、このhasunohaがここに来て大ブレイクとなってきました。
直近の主なきっかけは、2つの質問がバズった(インターネット上で大拡散された)こと。
うん。ひとつはきっと、人類誕生からの問題です。そしてもうひとつは次々と生まれる新しい社会の流れとどのように向き合うか。ここにお坊さん達が、真っ向からぶつかって答えています。
そしてインターネット上で広まった結果、テレビ番組『スッキリ!!』でも取り上げられ、ここ数日だけでこれまでの3年間分に匹敵するくらいの質問が殺到しているとのこと。とんでもないお祭り状態になっています。
ちょっと画像の文字が小さいので抜き出すと、
皆様に大変ご好評をいただき、ご質問が通常時の100倍以上殺到しております。
回答が追いついておりません。お坊さんから丁寧にご回答いただくため同時間帯での質問受付数を制限させていただいております。大変申し訳ございません。
と、書かれています。
共同代表の井上広法さんも、緊急で回答僧を募集されていました。
hasunohaは、ちょっと奇跡のようなサイトです
お坊さん相談サイトはhasunoha誕生以前の4~5年前、タケノコのようにポコポコ生まれていました。しかし、生き残ったのはhasunohaくらいです。
私の知り合いで一代で巨万の富を手に入れ、現在は1年かけて世界一周の旅に出ているビジネス界のスーパーサイヤ人のような元社長さんも、一時期このサービスに乗り出しましたがうまくいきませんでした。他にも大手からベンチャーまで有料・無料問わずさまざまな僧侶相談サイトがリリースされましたが、後追いしてみるとほとんど消えています。
あ、老舗のお寺ネットは頑張っていますね。昔ながらの掲示板形式ですが、久しぶりに覗いてみたら、まだ現役なのに驚きました。こちらは正確には分かりませんが、10年くらい続いているんじゃないでしょうか。
ちなみに私がアドバイザーを務めさせて頂いている全国寺社観光協会さんも、お坊さんによる人生相談コンテンツを作ろうというアイディアが出ていましたが、私は即座に「やめた方がいい!」と言ってしまいました。私の肌感覚では僧侶相談コンテンツを成長させるのは、そのくらい難しいことです。
お坊さん相談サイトを成長させるのは難しい
そう、ここ大切。僧侶相談コンテンツを成長させるのは、ものすごく難しいです。まず何が難しいかと言えば、回答者を集めること。そしてそれ以上に難しいのは、質問者を集めること。現在、お祭り状態のhasunohaさんも、決して最初から回答者も質問者もいたわけではありません。
地道な努力と、地道な仲間集めと、地道な広報と、地道な試行錯誤と、地道な継続と、地道な挫折と、地道なプチ成功を繰り返しながら、ようやく華が開いているのです。それでも関わっている人のほとんどがボランティアですし、中核にいる人に至ってはようやく赤字垂れ流しが終わったかなと言うごっつい精神状態悪い状況です。
そんな無理ゲーをひたすら繰り返してきたお坊さん達ですが、やはり相談サイトで仏さまの教えを書いていると、「いや、それは解釈間違っている」とか、「そんなこと、うちの宗派では言っていない」という、同じ宗派のご意見番的お坊さん達におびえています。
上は、hasunohaで回答するお坊さん達のミーティングの様子。
実際にこの会議では、悩みに対して真正面から答えたいが、どうしても周りの(偉い)僧侶の目が怖いという意見がバンバン出ていました。私がミーティングに出たのは一年以上も前ですが、ネームバリューが上がった今ではその恐怖も強まっているかもしれません。
でも、僧侶研修会に講師としていろいろ呼ばれた経験上、私は(自分のコマ以外で)たくさんお坊さん達の講義も聞いてきました。そこで感じたことは、同じ宗派で同じ教えを聞いて育ったお坊さん達でも、同じお経の同じ言葉を違う形で解釈しているなんてざらなんだということです。この点について言えば、どの宗派も共通です。
今、やるべきことはhasunohaにみんなで乗っかること
で、あれば、まずは周りのお坊さん達も、戦場のようなフィールドで身体を張るお坊さん達の「その行動」に、敬意を持つことが必要ではないでしょうか。そしてこうしたお坊さん達が動きやすい環境を作ることが、社会でのお寺の存在意義さえ左右していきます。
実際に人生相談は、お坊さんにとっても簡単にできることではありません。例えば、大阪・應典院の秋田光彦住職が書いた『葬式をしない寺』には、以下のような事例が紹介されています。
数年前、浄土宗では門末寺院すべてに「お寺は悩みの相談室」というプレートを配布して、門前に掲示するようお達しを出したのですが、逆に「相談に来られても困る」「対処法がわからない」と返上する寺院が相次いだといいます。
もちろん、これを持ってお坊さん達にダメ出しするつもりは私はありません。先日、長野の僧侶研修会で講義をさせて頂いた後も夜中の2時までお坊さんと語っていましたが、
「お寺の仕事が忙しい毎日で、ふらりと来た檀家さんが3時間も話をしていったら、それだけでその日はもちろん、しばらく先までの予定が狂ってしまう」
なんてことを、切実に訴えられていました。お坊さんだけが無尽蔵に時間があるわけではないですし、住職や副住職、檀家さんの数やお寺の周囲の環境によっても、それぞれ事情は異なります。
ですが、hasunohaに集まるお坊さんだって、それは同じことです。それでも悩みに向き合いたい意志があり、時間を割いて回答する行動があり、それが集まって一般の人にお坊さんが頼りになる存在だと認知されて、悩みを吐き出してもらえているのです。
現在、最も回答している丹下覚元さんなんて、1856件も悩みに回答されていますよ。尋常じゃないです。下手な仏教法話より、この数字を見た方がよっぽど仏教を感じる人もいるでしょう。
そして他にも、hasunohaはシステム開発面でお坊さん以外の技術者も関わっています。私は元システムエンジニアなので分かりますが、これだって簡単なことではないのです。井上さんと同じく共同代表を務める堀下剛司さんは、もともとYahooに務められていた方です。そうした方が裏方になって頑張るのも、やっぱりお坊さんを支えたいという想いが強いからです。
そのくらいhasunohaは、お寺社会全体にとっても大きな影響を与えうる力を秘めています。
そして今、hasunohaは生みの苦しみの時期を終え、育ての苦しみに入っています。質問が大量投下されている大ピンチ状況の今こそ、ほんのちょっとでも手を貸すことができれば、
「いや~、俺もhasunoha育てるのに一役買ったぜ」と言えますよ。
丹下さんは異常レベルですが、回答数10件未満のお坊さんだってたくさんいます。そのくらいなら、ちょっと試しにでもできるお坊さんもいるのではないでしょうか?
ということで、hasunohaさん応援記事を投下しておきます。