堀直人さんの『まちを編集する』を聴いて
先日、NPO法人北海道冒険芸術出版代表理事・堀直人さんの講演
『まちを編集する~『北海道裏観光ガイド』から考える地域問題の解決~』
を聴講しました。
堀さんは北海道江別市生まれ。デザイン事務所などでデザイナーとしての経験を積み、
2010年に北海道の観光を見直そうと編集集団「NPO法人北海道冒険芸術出版」を設立。
「北海道裏観光ガイド」の出版や「札幌ブックフェス」の実行委員長を務められた方です。
堀さんのテーマは本を使った街の活性化ですが、
寺社と連動した地域起こしにも通じるものがあるのではと、
聴きに行くことにしました。
その講演ですが特に面白かったのは、
堀さんが感じている「編集」というものの概念でした。
これまでの時代、街を作ることはものを作ることだった。
しかしこれからはお金がなくなり、ものが作りにくくなる時代。
すでにあるものの見方を変えることで新しい価値を生み出すことが大切とのこと。
そしてそのために必要な技術が編集なのだということです。
つまり『編集』は雑誌やWebのレイアウト製作など、
一般に言われているもののみに限らず、
ありとあらゆるものに通用するということ。
そして今後その技術はますます価値を増していくというお話です。
これはお寺や神社にも言えることかもしれません。
というより、歴史や文化のバックボーンが半端なく厚い寺社は、
まさに今あるものをどう現代の人に表現するか。
それだけでもものすごいパワーを発揮できます。
私は寺社に古くからある伝承などを掘り起こし、
それを現代に通じる形に構成し直す方法を黄金文脈と読んでいますが、
これもまさに編集そのものでしょう。
堀さんは北海道の定番以外のスポットを扱った裏観光ガイドを発行したり、
札幌の100店舗以上のお店にミニ書店をおいたミセナカ書店というイベントや、
地域の方から募集した素敵な景観を
トレーディングカードゲームにして子どもたちと遊んだりと、
様々な形で街の魅力を作りあげています。
北海道と言えば、ウニやいくら、キタキツネ、ラベンダーなどが浮かびます。
しかしそれは北海道のごくごく一部。上澄みでしかないと堀さんは語られていました。
今語られている寺社の魅力も、きっとまだまだごく一部。
国宝建築や名勝庭園、平安時代の仏像もいいですが、
他にも埋もれた魅力は山ほどあります。
堀さんの講演を聴いて、私ももっともっと宝探しがしたくなってきました。
寺社にはまだまだ見えない魅力がたくさんある。それを探していきたいと思います。