都心部のお寺ほど、お墓は低価格競争をやめた方がよい
先日、東京ビッグサイトで行われたエンディング産業展に出かけてきました。
こちらはほーりーが顧問を務めるアンカレッジがブース出展したためですが、おかげさまで多くの方にお会いすることができました。
エンディング産業展全体に対するレポートや気が付いたことは、こちらをどうぞ。
エンディング産業展に皆勤賞のほーりーが、今年感じた6つの変化
それでアンカレッジはもともとお寺の住職が作った会社ということもあり、お寺に特化して樹木葬を作っています。
そして今回のエンディング産業展ではお墓の社会動向についても多方面にお話させて頂いたのですが、その中でも多かった話題に、お墓の価格はいくらが適正なのかというものがありました。
なんか、先日宿坊でも似たような記事(宿泊料はいくらが適正なのか)を書きましたが、「適正価格」は、分野を問わず注目が集まるものですね。
都心部のお寺ほど、お墓は低価格競争をやめた方がよい
アンカレッジは基本的に、安売り路線は推奨しない会社です。これは以下の理由があります。
低価格では、公営墓地や機械式納骨堂に勝てない
まず、第一の理由として、樹木葬は低価格路線に向いていません。
アンカレッジのお墓のデザインは、庭苑の雰囲気を損ねないように墓石をプレート型にし、石の体積を減らすことで求めやすい価格を実現しています。
その意味で言えば、従来型の一般墓よりはかなり安価になっていますが、永代供養墓というジャンルで、公営墓地や機械式納骨堂と比べると、さすがに勝つことはできません。
つまり都心部で安売り勝負をしようとしたら、税金投入 or 億を超える巨大な投資が必要になるわけです。なのでその両方が難しい場合、価格を下げることより、価値を上げる方へと努力した方が理にかなっています。
そしてそのための方策が、買っただけで終わりにしない、仏教や仏事、供養に手厚くつながるお墓ということです。
低価格ではお参りしたいお墓を作れない
仏教や仏事につながるお墓。これを実現するために必要なのは、まず何よりもお墓に繰り返しお参り頂くことです。
そしてそのためには怖くない、雰囲気の優しいお墓を作る必要があります。これはお寺社会に深く接していると感覚がマヒしますが、一般の人間にとってお墓とは怖いものです。墓地があるからお寺に入れないとか、夜はお寺のそばを通らないなんて方もいるほどです。
宿坊研究家のほーりーは、お寺に泊まって幽霊が出ませんか? って、何度も聞かれたことがありますし。
また、お参りしたくなるお墓の要素として、いつ来ても同じではなく、四季折々に変化に富んでいることは重要です。機械式ではお参りされないとまで言うつもりはありませんが、樹木葬の方がお参りを喚起する雰囲気作りには優れているでしょう。
(逆に機械式納骨堂がお参りにアドバンテージを持つのは、新宿などのターミナル駅から徒歩で行けるというような、圧倒的なアクセスの良さが提供できる場合です)
低価格では、仏教が伝わらない
繰り返し、お寺に足を運んでお参りして頂く。しかしこれだけで仏教や仏事の大切さが伝わるわけではありません。
アンカレッジの樹木葬では、住職やお寺の方に、お墓購入者としっかりコミュニケーションを取って頂くことをお願いしています。
これはほーりー個人の意見ですが、これまでお寺と馴染みのなかった人間にとって、お坊さんとの個人的なふれあいを経ずして、仏教に価値を感じることは難しいです。
しかしコミュニケーションを密にするなら、薄利多売方式では一人一人としっかり話すことが難しくなります。
例えば先日、これまでに作った1~3期区画の92%が販売され、第4期開眼法要が行われた安詳寺では、住職のにこにことした親しみやすさや供養について丁寧に語る真摯さが、お墓を購入された方の選択理由にもなっていますし。
92%のお墓が売れた、安詳寺の樹木葬開眼法要に行ってきました
これだってお墓の価格を半額にして、倍の人数が押し寄せたとしたら、住職がパンクしてしまうわけです。
別に暴利を貪ろうとか、できるだけ高くしてやろうなんてつもりはありません。当然ながら求めやすくするための努力は大切でしょう。しかし安さを前面に出すことが、ベストな結果になるわけではないというのが、アンカレッジの選択です。
ということで、、、
お墓を安売りしない意義について、何より大きなメリットは売る側が価値を上げるための努力をすることです。この部分はアンカレッジの伊藤社長が特に鋭敏で、常に少しでも良いお墓になるように様々な挑戦を繰り返しています。
エンディング産業展のミニセミナーでも、失敗の哲学を語られていました。
仕事のうち6割は安パイの事業をこなしながら、4割は成功率50%くらいのものにチャレンジしていく。そして半分失敗しても残りが上手くいけば、新しい事業を作ることができます。
アンカレッジはお寺から生まれた、お寺をより良くするための会社ですし、お寺を盛り上げる試行錯誤が実を結べば、それはお寺にもお墓を購入した方にも還元されていくでしょう。
さらにお墓を安売りしないもう一つの意義は、金額だけで全てを決めない、お寺とつながりたい、供養をしっかりしたいといった、お寺の価値観と最初から相性の良い人が集まることも挙げられます。
今の世の中、日本人に100%どこかのお寺の檀家さんになって、葬儀法要を強制することは不可能です。なのでやはり、多少金額が高くてもお寺に共感する人にアプローチする方が、お寺にとってもやりやすいと思います。
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