恋愛に悩む人に贈る、ほーりーが好きな百人一首の和歌5選
過去に小説で2度の賞を頂いたことがある、元文学青年のほーりーです。巡り巡って寺社コン(寺社好き男女の縁結び企画)なんて行っている関係上、カップル誕生率を高めるための恋愛研究も行っています。
それで思うのですが、私は恋愛に悩む人は百人一首を読んでみると、これまでとは違った視点が得られるんじゃないかと考えています。最近は『ちはやふる』も流行っていますしね~。私も大好きですが、熱い漫画ですよ。
ちはやふる 末次由紀 著 |
まあ、ちはやふるはおいといて。
ほーりーが好きな、恋の和歌
百人一首は名前の通り、100人の歌人から一人一首ずつで選んだ詞華集です。そのうち43首が恋の歌と言われています。つまり半分近くが恋愛成分なのですが、そこには現代に通じるメソッドもたくさん含まれています。
そんなわけで、今回はほーりーおすすめの恋歌です。
筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる
読み方:つくばねの みねよりおつる みなのがわ こいぞつもりて ふちとなりぬる
陽成院(ようぜいいん)が詠んだ歌で、ほーりーは百人一首の中ではこの歌が一番好きです。意味は「あるかないかのほのかな恋だったものが、積もり積もってとても愛おしくなっている」というもの。
筑波山は男体山と女体山の2つに分かれた山ですが、上流では小川だったものが麓まで流れるうちに大きな川となる。そんな情景が恋に例えらえています。
いや~、寺社コンでも最初っからビビビッと見える大河のような恋を探す人がいるんですが、生まれたての恋愛感情ってもっと草の根をかきわけないと見つからない、繊細なものなんですよ。
ちなみに私が妻と付き合い始めてから最初にデートした場所も、筑波山だったぜ。
しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで
読み方:しのぶれど いろにいでにけり わがこひは ものやおもふと ひとのとふまで
平兼盛(たいらのかねもり)が詠んだ歌で、これはかわいいな~と思います。古語に詳しくなくても、意味が分かりやすいですし。
一応解説しておくと、「隠してたつもりだった恋だけど、人に言われて顔に出ていたことに気がついた」という歌です。
いや、うん。このくらいで良いんですよ。完全に隠しきっちゃうと恋愛って逆に進展しないので。
花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
読み方:はなのいろは うつりにけりな いたづらに わがみよにふる ながめせしまに
こちらは春の歌ですが、百人一首でも最も有名な歌の一つです。作者は小野小町。意味は「桜の花が色あせてしまった。ちょうど私の美貌が衰えたように」です。
世にふるの「世」は「時間の経過」と「男女の仲」という2つの意味があり、恋愛に思い悩む間に後戻りできないほどに歳を取った己の姿を和歌に詠み込んでいます。
絶世の美女と言われた小町さえ、時間は無情に過ぎていく。逆説的に今を全力で生きることを教えてくれる名歌ですね。
由良の門を 渡る舟人 かぢをたえ ゆくへも知らぬ 恋の道かな
読み方:ゆらのとを わたるふなびと かじをたえ ゆくえもしらぬ こいのみちかな
曽禰好忠(そねのよしただ)の和歌。流れが速い由良の門で船をこぐ櫂をなくした舟人のように、恋の行方が分からないという意味です。
「ゆくへも知らぬ 恋の道かな」という下の句がかっこいいので、それだけで好きです。恋愛の海に飛び込むと、誰もが漂流者みたいなものですからね~。
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ 砕けてものを 思ふころかな
読み方:かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもうころかな
作者は源重之(みなもとのしげゆき)。百人一首は失恋や悲恋の歌が多いんですよ。やっぱり順風満帆の時より満たされない気持ちの方が、人の心を打ちやすいのかもしれません。そしてその中でもこの歌はダイナミックです。
「岩に当たって砕ける波は、びくともしない相手にぶつかる自分の恋心みたいだ」という想いにふれると、平安時代も今も恋愛に悩む気持ちは変わらないなと気持ちが楽になりますね(ならないですか?)
ということで、、、
百人一首はまだまだ素敵な和歌がありますが、とっつきにくいのも事実です。そんな方にお勧めなのが、この漫画。
これはひとつひとつの歌にストーリーをつけて描いたものですが、よくある学習漫画的なものではなく、一つ一つがすごく美しい話しなので、普通に恋愛漫画としてもレベル高いんですよ。
私も何度も読み返しちゃいました。1~4巻(&外伝的なものが2巻)ありますが、それぞれ1話完結なので1巻だけ読んでも楽しめますよ。
恋愛に悩んでいる方は、平安時代から自分を客観視してみてはいかがでしょうか? 恋愛相談もよく受けるほーりーとしては、意外とこうしたものにふれることも恋に役立つと考えています。
超訳百人一首 うた恋い。 杉田 圭 著 |
あと、万葉集も面白いですが、その話はまたいつか。