一定の条件はあるものの、メリットが多い寺社の資産運用
ひとつ前のレポート記事(お寺事業の勉強会レポート)と開催した順番が前後しますが、先日、東京・表参道で、『宗教法人の資産運用』をテーマに勉強会兼食事会を開催しました。
今回は講師として、宗教法人に特化したファイナンシャルアドバイザーをお呼びしています。金融業界は制限の多い業界なためお名前は出せませんが、仮にミスターXさんとしておきましょう(途端に怪しい感じになりますが、別に怪しい人ではないですよ)。
そんなXさんですが、普段の業務でお寺など宗教法人に特化して資産運用のお手伝いをされています。ほーりーも最初にお会いした時は、そんな仕事もあるんですねと驚いたものですが、珍しい知識を持たれている方です。
そんなわけでこの日は参加された方も、すごく不思議なメンバーでした。
資産運用に詳しいお坊さんや、ほーりーが投資家セミナーで講演した時にお会いした方、さらに投資業界では名の知られたとある有名人まで来られて、いったいどこでこの集まりを知ったのだろうという感じです。
なんか最初に想定していたものより、めちゃくちゃカオスな場になりました(特に有名投資家さんがすごくて、ちょっと圧倒されてしまいました)。
一定の条件はあるものの、メリットが多い寺社の資産運用
それはそれとして、まずはみんなで自己紹介してXさんのお話しです。宗教法人は資産保全を目的としたものであれば、運用を行うことが可能です。
この「資産保全が目的」という点がポイントで、必然的にリスクの高い商品は除外されます。また一度に多額の商品を購入したり、短期で売買を繰り返すようなトレードも認められません。
こうした投資はどこからハイリスクと見なされるかはケースバイケースですが、日経平均やS&P500などに連動するインデックス型投資信託や格付けの高い債券など、価格変動の小さな商品が中心となるでしょう。
そして宗教法人が資産運用を行う最大のメリットは、運用益が非課税となることです。
お坊さんや神主さんが個人で投資する場合、まず寺社から受け取る給料に所得税、住民税、社会保険料が徴収されます。そこから実際の投資に入りますが、この運用益にも20.315%の税金が課されます。しかし宗教法人の場合には、これらが非課税になります。
もちろん先に述べた「資産保全が目的」と認められる範囲に限られるので、そこの判断は税理士に相談するとよいとのことです。
また実際に資産運用を始める場合ですが、Xさんが相談を受ける場合は、まずお寺の資産状況を把握するところから始まります。そしてお坊さんにヒアリングしながら運用方針を固めていき、その計画に沿って運用を開始します。
さらに期間ごとに利益(あるいは損失)がどの程度積み上がったか運用状況をチェックしながら、必要に応じて計画修正も行います。こうしたことをお寺の方と二人三脚で行っていくのがXさんの役割です。
専門家の手を借りない場合も、基本的には同じ流れです。できるだけ保守的で無理のない計画を立て、あとは淡々と積み増していくのが良いでしょう。制度の中身は異なりますが、運用方針の基本的な考えとしてはNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の解説本なども参考になります。
あとは檀家さんから理解を得られるよう、本堂の修繕や改築といった計画を数十年単位で立てていくなど、お寺のビジョンも必要となるでしょう。ここ数年で金融知識は多くの方が持つようになり、一昔前よりは理解が得られやすくなっていますが、それでもお寺から突然「これから資産を運用します」と言われて、不安を覚えない方は少ないと思います。
うん。ほーりーもこうしたブログ記事を書きながら、変な方向に行ってしまうお寺や神社がないかハラハラしています。勉強会でも過去に問題となった宗教法人の失敗事例が、いろいろ話されていましたし。資産運用は欲張りすぎると取り返しのつかないことにもつながるので、あくまでローリスクを心がけてくださいね(そしてもちろん、すべての結果は自己責任ですよ)。
ということで、、、
今回の『宗教法人の資産運用』ですが、日程が合わずで参加できないけど内容について教えてほしいとか、またいつか開催してほしいといったメールも何通か頂きました。こうした知識はお坊さんの研修会だけではなかなか得られず、ずっと前から相談先を探していたなんてご意見も頂いています。
まあ、今回は単発的な企画なので次回開催はお約束できませんが、機会があればまた行えたらと思います。他にもほーりーでよければ、聞かれれば分かる範囲でお答えしますし。
これからも物価上昇が続く可能性は高く、資産運用はお寺や神社にとってますます大切になっていきます。そんなわけでほーりーも、知識を深めていきたい分野です。