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技術革新が進む木造建築の普及で、寺社の聖域性は増していく!

モクコレ

2年ほど前にお寺や神社は木造建築を広める上で、旗振り役を担えないかという記事を書きました。

木造建築の旗振り役を担えば、寺社は日本をリードできる!

概要をまとめると

○日本は国土面積の66%が森林という、世界でも恵まれた森林大国
○宿坊に泊まった人ががっかりする要因の一つに、建物が木造ではないことがある
○木材の技術革新は近年になって大きく進み、耐震や耐火性能を増してきた
○寺社が木造建築を積極的に導入すれば、神仏と向き合う場として多くの人に喜ばれる
○国産の木材需要が高まると、里山保全や経済活性、再生エネルギーの導入にもつながる

というものです。

そして、その中でも大きなキーワードの一つにCLT(Cross Laminated Timber)があります。直訳すれば「直角に張り合わせた板」ですし、日本語では『直交集成板』とも呼ばれています。

まあ、名前の通り複数枚の板を繊維方向が直角に交わるように重ね合わせて作られた部材ですね。そしてその実物を見てみたかったので、今回は東京ビッグサイトで行われた『モクコレ』というイベントに出かけてきました。

建築業界の関係者か、ほーりーみたいな変な人間でないと興奮しないかもしれませんが、その写真がこちらです。

板材の木目方向が交互に並んでいるのが、分かりますでしょうか?

CLT(Cross Laminated Timber)

木造建築が普及すると、寺社の聖域性は増していく

このCLT。今はまさに伸び盛りの技術です。林野庁が展示していたパネルによると、以下の3つをメリットに上げられていました。

CLTのメリット

補足していくと、CLTはヨーロッパで先行して広がっています。日本は木の文化・ヨーロッパは石の文化などとも言われますが、その分だけ日本では木造は古くて劣っているというイメージから抜け出せていないのかもしれません。

しかし森林資源の活用先進国として知られるオーストリアでは2000年に法律改正されて9階建てまでCLTで建設することが認められていますし、日本と同じ地震国のイタリアでも普及は進んでいます。

そして遅ればせながら日本でも規制緩和が続き、竣工軒数が少しずつ増えてきました。いや~、このパネルを見た時が、モクコレ行って一番嬉しかったかも☆

CLTの竣工軒数

木造建築のは安全面とコストについて

木造建築について議論される時、一番大きな話題になるのは安全性とコストです。安全性については地震と火事の心配がなされますが、まずは地震から。

兵庫県にある防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス)では、2015年度から2016年度にかけて各種の実験が行われ、CLTの耐震性に一定の知見が得られています。そしてこのデータは日本の木造建築普及に関して、大きな追い風になりました。

また火災については木材自体は燃える性質を持つものの、厚みを持った柱は表面が炭化すると内部に酸素が供給されずに燃えづらくなります。鋼材であれば500~800℃で飴のように曲がるものが木材の場合は1000度を超えても倒壊しないなど、実は耐火性能にも優れています。

しかしネックとなるのはコストです。需要が大きいとは言えないため、まだまだ鉄筋コンクリート造りよりも高くなりがちです。

ただこれも以下の理由で、だんだんと価格低下の兆しがあります。

○鉄筋コンクリートと比べて軽いため、基礎工事を簡素化できる
○建築現場にユニット化して持ち運べるので、工期が大幅に短縮できる
○木材活用が喚起されており、需要増加により生産や流通が効率化される

そして安全面やコストで一定の評価が得られれば、次に気になるのは機能性です。こちらは鉄筋コンクリートと比べて以下のような優位性を持っています。

○断熱性に富み、夏は涼しく冬は暖かい
○木の香りには、リフレッシュ効果が高い
○適度に音を吸収することで、かん高く反響しない
○カビやダニの発生を抑え、アレルギーを起こしにくい
○見た目に優しく、洗練された美しさがある

他にも木造と鉄筋コンクリートの学校を比べた時、インフルエンザによる学級閉鎖率に差が出ていたという調査も紹介されていました。

ということで、、、

モクコレ会場では、木造中大規模建築に関する提案や事例紹介も多数行われていました。

住友林業の木造建築

またCLTを活用して建てられたお寺の紹介もありました。

そもそもここに来て木造建築に注目が集まった背景には、里山の荒廃があります。日本の山林は戦後に植林された木々が伐採期に入っていますが、それらが使われずに放置されているのが現状です。

間伐が行われないと、背の低い若木には日光が当たりません。老木だけでは二酸化炭素の吸収量も少なく、土砂崩れも起こりやすくなります。

その意味で林業の復興は経済活性のみならず、自然環境の保全も含めて期待が込められています。ただそれには当然ながら、国産材の需要が増えることが前提です。

ほーりー的にはそこに入り込めば、木造建築が寺社の魅力を高めることはもちろん、社会へのメッセージとして多くの人を救う場と認知されやすくなると思っています。これは本堂のような大きな建物だけでなく、境内のトイレなどでも同様です。

まあ、当面は(あるいは自分の代では)建物を建てる予定はないというお坊さんや神主さんの方が多いでしょうし、そんな方には木から生まれたお酒(世界初!)も蛇足で紹介しておきます。まだ開発中らしく、一般販売はされていませんが、木からアルコールができるなんて知りませんでした。

木から生まれたお酒

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