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自死自殺の相談2団体に取材して伺った、僧侶組織だからできること

円東寺増田住職

 先日、これからコロナ不況で、多くの方が亡くなるだろうという(当たってほしくない)予想をしました。

これから自死自殺者が3万人に戻るので、お坊さんにお願いしたいこと

 内容をまとめると、以下の通りです。

 ○バブル崩壊(1991~1993)後、しばらくは社会にまだ余裕があった
 ○しかし5年後の1998年、企業の倒産が相次ぎ自死自殺者が激増して3万人を超えた
 ○今回のコロナウイルスによる不況は、この現象の再現になる可能性がある

 実際問題、この危機意識は人によって大きく異なります。収入があっという間に半減~ゼロになったという人もいれば、給料自体は(直近では)何も変わらないので、一律で支給される10万円を臨時収入のように感じている人もいるでしょう。

 ほーりーは小さいとは言え、会社(株式会社寺社旅)の経営者でもあります。なので感覚的には前者ですし、これからいつ事業破綻するか分からないくらいの危機意識を持っています。

 コロナに横面はたかれたほーりーが行っている危機管理手段

 もしもコロナ不況で年間1万人自死者が増え、それが10年続くとしたら10万人です。はっきり言えば、それは肺炎で亡くなる人数よりはるかに大きなものとなります。

 そこでこの問題について、少しでも考えをまとめておきたいと最近は各種データや本なども読み漁っています。また、せっかく知り合いに自死自殺者対策を行うお坊さん団体がいたため、今回は取材も申し込んでみました。

 ここではそこでお聞きした話を元に、ほーりーの考えをまとめてみます。

自死自殺の問題に、僧侶組織だからできること

『認定NPO法人 京都自死・自殺相談センター Sotto』の金子宗孝さん

 まずお話を伺ったのは、浄土真宗本願寺派総合研究所の活動をきっかけに生まれた『認定NPO法人 京都自死・自殺相談センター Sotto』で、開設当初から相談員を務める金子宗孝さんです。この方はお坊さんではありませんが、Sottoの最前線で活動されている中心人物でもあります。

 コロナウイルスの影響について話を伺うと、「現時点ではパンデミックによる失業で、生きるか死ぬかまで追い詰められた相談は受けていない」とのことでした。ただし先行き不安や孤独感、デマによる混乱などはしばしば話題に挙がり、これからの影響は計り知れないようにも感じているとのことです。

 そして印象に残った言葉は「日本の自殺対策は、社会の一員として再機能させることを目的としている」というものでした。

 もちろん、自死の選択を迫られるほど苦しんでいる人が、はつらつと社会復帰できるなら、それは本人にとっても喜ばしいことでしょう。しかしそのゴールに無理に追い立てられてしまっては、悩みを抱えた人にはかえってプレッシャーになります。

 お金で苦しんでいる人も、お金だけで苦しんでいるわけではありません。仕事ができずに家にいることに対して周りから理解されない孤独や、頑張ってもうまくいかない絶望、自己肯定意識の低下などは、目の前の問題に向かう意欲さえ失わせます。 

 そこでSottoの相談員が共通して心掛けていることは、「変化を強いないこと」だそうです。まずは寄り添い、しんどさを認めてあげることは、大きな拠り所になっていきます。これはまさに行政などとは異なり、お寺から生まれた相談組織だからこそ成し得た方針かもしれません。

『自死・自殺に向き合う僧侶の会』の共同代表・円東寺の増田俊康住職

 続いて関東を中心に50名以上のお坊さんが参加している、『自死・自殺に向き合う僧侶の会』の共同代表・円東寺の増田俊康住職のお話です。

 Sottoさんは電話とメールによる相談活動が中心ですが、こちらは手紙による相談を受け付けられています。

 手紙を出すということで、相談者にとってはその分ハードルが上がるかもしれません。そこでまずその利点を伺うと、文字として書くことは悩みの整理につながるとの回答でした。

 増田さんへの取材ではっとさせられたのは、「人間は会社の倒産だけでは死なない」という言葉です。

 死ぬかどうかまで追いつめられる人は、問題が複雑に絡み合っています。失業が原因で離婚したり、居場所がなくなり家に引きこもったり、さらにはそこからアルコール中毒を誘発したりと、問題が連鎖して膨れ上がっていきます。

 それは車の渋滞のようなものと表現されていましたが、些細なブレーキが次のより大きなブレーキを生み、気が付くと身動き取れなくなってしまうということなのでしょう。そのため相談を受けることも交通整理のようなもので、手紙は一つ一つの問題を本人が解きほぐす上で役立つとのことでした。

 また『自死・自殺に向き合う僧侶の会』は名前の通り、お坊さんのみで構成された団体です。

 東日本大震災時の放射能問題もそうでしたが、今回のコロナウイルスも目に見えない脅威です。人間は見ることができない、分からないものに対して非常な恐怖を覚えます。

 しかし宗教は見えないものに支えられることを説いたものでもあります。先が見えない不安な時代こそ、お坊さんは力になれるのではとお話しされていました。

ということで、、、

 お二人の話を聞いて感じたことは

 ●経済死は遅効性
 ●自死自殺の原因は複合的
 ●お坊さんによる相談は、行政とは異なる役割がある

 と、いうものです。 

 そしてYahooニュースを見ていたら、コロナ不況から死に追いやられたことを示唆する記事がありました。

聖火ランナーのとんかつ店主、火災で死亡 生前は延期や新型コロナ影響を悲観

 自死自殺とは断定されていませんが、以下のように報じられています。

新型コロナウイルスの感染拡大で大会は延期されたうえ、店も営業縮小に追い込まれ、先行きを悲観するような言葉を周囲に漏らしていた。遺体にはとんかつ油を浴びたような形跡があり、警視庁光が丘署は出火の経緯を慎重に調べている。

 これから数年かけて、このようなケースは徐々に増えていくかもしれません。

 もちろんお寺も激動の時代を迎えるはずなので、お坊さんであればこうした慈善活動を行うべきだなどというつもりはありません。

 ですが、それでもこの問題に関心を持ち、お寺から社会の希望になる動きが少しでも大きく広がって頂けたらありがたいというのが、ほーりーの考えです。

 なお、両団体とも協力者は随時募集されていますので、ご興味ある方はそれぞれ連絡してみてくださいませ。

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円東寺増田住職

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