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VRやARが進化すれば、増上寺と寛永寺が賑わう

このところ、VR(仮想現実:Virtual Reality)やAR(拡張現実:Augmented Reality)が広がってきましたね~。先日、奈良・興福寺にお参りしてきましたが、VRの体験コーナーがありました。

興福寺のVR

あまりに人気で、私が行った時には整理券の配布も終了していましたよ。とほほ。とは言え、あれこれ出かけていると、こうしたVR体験コーナーをよく目にするようになってきました。

スカイツリーでは、子供たちが大はしゃぎでしたし。

東京スカイツリーVR

一方、VRに比べて馴染みの薄いARですが、ポケモンGOで一気に言葉が広まりました。写真は私の部屋に現れたピカチュウ(サンタバージョン)です。

キーボード上のピカチュウ

いや、キーボードがほこりだらけとか、いらん突っ込みはいーから。VRだときれいなキーボードの上にピカチュウが出るでしょうが、ARはこうした現実感あふれた感じになるのです。ちなみにこの写真を見て、慌てて掃除しましたよ。

話を戻して先日出かけた佐賀県の名護屋城址でも、こんなアプリがありましたね。

名護屋城アプリ

VRとAR、定義もいろいろありますが、大ざっぱに言うとこんな感じです。

VRとARの比較

仮想に現実が入り込むのがVR、現実に仮想を写しこむのがARなのデス。

古地図ブームは、VRやARの先駆けだった

少し前ですが、江戸の古地図を見ながら東京を散策する本が流行りました。



 東京時代MAP―大江戸編 (Time trip map-現代地図と歴史地図を重ねた新発想の地図-)

 新創社 (編集)

 Amazon 楽天ブックス で購入

私もスマホに現在地と古地図を重ねて表示させるアプリをいくつか入れています。

VRやARはけっして最近急に生まれた言葉ではありません。それが一気に取りざたされるようになったのは、技術コストが大幅に低下して普及の道筋が付き始めたためです。

『古地図』として紙媒体で、時代を超えた旅行ニーズはすでに実証されています。VRやARの技術革新と普及が進めば、こうした時代を超えた姿を楽しむツールとして、新たな市場が生まれるはずです。

VRやARの技術的な見通し

今はまだ野暮ったい双眼鏡みたいなもので遊ぶツールですが、これからこの分野の開発競争は劇的に進んでいくことが予想されます。

例えばドラゴンボールのスカウターみたいなものができたら、だいぶコンパクトになります。グーグルグラスは販売終了してしまいましたが、ウェアラブルデバイスはこれから次々と生まれれてくるでしょう。

まだまだSF的な話ですが、コンタクトレンズにこうした機能が盛り込まれたら、世界が一変します。スマホを見ながらポケモンを探す必要すらなく、視界にそのままポケモンがいるのです(その時はきっと、歩きレンズに対する議論がYahooニュースをにぎわせているでしょう)。

「WIRED」創刊編集長をつとめたケヴィン・ケリー氏の著書、『〈インターネット〉の次に来るもの』によると

安価で潤沢になったVRは、経験の生産工場になるだろう。生身の人間が行くには危険過ぎる環境―戦場、深海、火山といった場所―をおとずれることもできる。



 〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則

 ケヴィン・ケリー 著

 Amazon で購入

と、述べています。時間を超えることも同じですよね。先に紹介した名護屋城址のVRアプリ(これは、ARって気もしますが)では、すでに失われたお城の姿を、石垣の上に再現することができています。

名護屋城址VRアプリ

タブレット上なのでまだまだこんな感じかって思うでしょうが、もしもこれがメガネやコンタクトレンズに入ってきたら、現実にお城があるのと体感的に変わらなくなりますよ。ソフトウェアは出来上がっているので、後はハードの進歩を待つばかりです。

VRやARが進化すれば、増上寺と寛永寺が賑わう

そしてこうした次世代のVR・ARを考えた時、東京で一番ほーりーが面白そうと感じるのは増上寺と寛永寺です。

東京と京都のお寺の違いは何か? この問いによく出される答えの一つが、古建築が残っているかどうかです。京都には多くの国宝・重要文化財級建築が残っていますが、空襲で焼け野原になった東京では江戸時代以前の建物は数えるほどしかありません。

ですが、それは決してなかったわけではないんですよ。あったものが、失われたのです。そしてこのVR・ARはかつてあったものを取り戻すことが得意です。

で、東京で失われた古建築と言えば、その最高峰の一つは増上寺の徳川将軍霊廟です。

増上寺・徳川将軍霊廟

昨年、増上寺では英国ロイヤル・コレクション所蔵の「台徳院殿霊廟模型」長期貸与を受け、宝物展示室をオープンしました。これは二代将軍・徳川秀忠の御霊屋(おたまや)として建てられた建築群の1/10スケールで作られた精巧な模型で、日光東照宮のプロトタイプになったと言われる往時の姿を今に留めています。

もしもこれがバーチャルでも、当時のスケールで目の前に現れたら。実際に建物があったのは現在のザ・プリンスパークタワー東京が建っているあたりなので、いろんな権利関係が必要かもしれませんが周りに芝公園も広がっていて空間は残っています。

新しいものを積極的に取り入れることにかけては定評のある増上寺。すでに一部でAR境内案内も公開していますし、さらなる展開に注目です。

一方、もう一つ面白そうなのが上野にある寛永寺。こちらも過去の境内はほとんどが上野公園になっています。現在は根本中堂や開山堂(両大師)、清水観音堂、不忍池辯天堂などが点在していて、往時の姿が非常に分かりにくくなっています。

ですが初代歌川広重の『東都名所上野東叡山全図』レリーフを見ると、さすが徳川家が篤く信仰したお寺だけあって、壮麗な風景が描かれているんですよね。

初代歌川広重の『東都名所上野東叡山全図』

こうしたものも、これからどんどん蘇ってきたらすごいことになるわけです。

ということで、、、

東京には他にもかつてあった名建築や壮大な伽藍が多数ありますし、こうした場所での寺社巡りはどんどん楽しくなっていきます。それは歴史や信仰にふれる一助にもなりますし、経済活性にもつながります。VRやARは失ったものが大きい寺社に、有利に働く技術です。

こうしたものは百聞は一見に如かずなので、ビックカメラやヨドバシカメラのVR体験コーナーにでも行って、動きを確認しておいた方がいいですよ。本気の技術者を除けばまだまだ一部のミーハー的遊びに過ぎませんが、これからの進化を考えると今のうちからふれておきたい技術です。

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