企画作りの達人3人が使う、3つの円が重なる図
以前、コミュニティデザイナーとして著名な、山崎亮さんの講演を聞いてきました。この時に出てきたスライドで、私がすごく共感した図があります。
山崎さんは人と人とのつながりをデザインして、町の活性や住民の問題解決を行う専門家。上の図は講演では「私たち=住民」、「地域=行政」を指していました。
行政が住民にやってほしいことは「防犯・防災」「道路清掃」「地域福祉」「社会教育」など。一方の住民は「音楽イベント」「チャレンジショップ」「コミュニティカフェ」「ガーデニング」などをやりたいと思っています。
例えば、落ち葉を使ったアートフェスティバルがあります。単なる落ち葉拾いは労働ですが、お祭りにしてしまえば町がきれいになる上に、住民も楽しんで参加できる。お互いが希望することを充足し、それをどのように実現させていくか。それが山崎亮さんの考えるコミュニティデザインなのだとおっしゃられていました。
そしてこの図を見た時、私も似たものを描いていたので驚きました。私の『タブーを超える7つのアクション』という講演では、私が大切にしている企画作りの3要素を以下の図で説明しています。
山崎さんとは使い方も中の要素も異なりますが、3つのマルを重ねた位置に企画があるという考えは同じです。二つの要素を満たす場所に書いた「ありきたり」「まがいもの」「きわもの」は、山崎さんの図に影響受けて書き足しました。
(あと、余談ですが山崎亮さんは京都・東本願寺でも講演されたことがあり、私が東本願寺で講演させて頂いた時、担当された方が山崎さんのことを何度も引き合いに出されていました。私がお寺サイドに寄った話をしたことで山崎さん講演の理解も深まったそうで、私とは比べ物にならないような方ですが、共通要素はいろいろあったようです)
この企画の3要素。例えば寺社コンで表せば、「本物=寺社体験」「役立つ=出会いがない人のご縁つなぎ」「意外性=寺社での婚活イベント」ということになります。
で、先日、これまた違う言葉を当てはめて、似た図を描いている方を発見しました。
愛知県三河地方の仏壇職人都築数明さん。このブログをご覧になっているお寺クラスタの方であれば、ウルトラマンを木魚にした人と言えば伝わるかもしれません。
この都築さんが名古屋芸術大学の授業で使う資料がfacebookに上げられていて、やはりこの3つのマルが重なる図が出てきました。
私はこの講義を受けたわけではないので図からの想像ですが、ウルトラ木魚では技術を持った「職人」が、「歴史」を経て伝えられた木魚を、ウルトラマンという「流行」と組み合わせて作ったということでしょう。
(ウルトラマンが流行の枠に収まるかは難しいですが、木魚の歴史から見れば流行の範囲に入れてもいいのかな、、、)
私の図と対比させれば「職人=本物」「流行=意外性」が近そうです。「歴史」と「役立つ」はちょっと異なりますが、この辺がお互いの個性になったかもしれません。
また、山崎さんの図と比べても、「地域が求めていること=役立つ」「私たちがやりたいこと=意外性」は似ています。「私たちがやりたいこと」と「本物」は異なりますが、こうした対比も面白いです。
企画作りの本質は、複数の異なる視点を充足させること
そしてここで言いたいことは、3者が選んだ言葉がどうということではありません。この3つのマルが重なった図にあります。
それぞれの円にどんな言葉を入れるか。これはその人の立ち位置や企画の目的、あるいはセンスによっても変わっていきます。ですが異なる視点から何か3つの要素を見たそうとすれば、以下の点で企画が洗練されます。
○客観的に見つめることで、思い付きだけの企画から脱却できる
○複数の要素を満たすことで、競争相手が少なくなる
○3方からの視点を取り入れることで、別クラスタの利害を共通化できる
もしも企画作りに携わる方で、なかなか良いものが作れないという方がいたら、まずは3つの円を紙に描いてみてはいかがでしょうか?
山崎さんのやり方でも、私や都築さんの図でもいいですし、自分でしっくりくるものを創り出しても良いでしょう。きっと企画の力強さが変わっていきますよ。