一泊2~3万円以上の宿坊が、どんどん増えている
ブーム、ブームと言われながら、宿坊はここ十年ほど数を減らしてきました。宿坊が閉じられる理由は主に2つで、一つは宿泊者減少、もう一つは後継者不足です。
宿泊者が減った宿坊は講中や信仰団体の縮小、高齢化による参拝旅行の短縮・日帰り化など、定期的な宿泊が見込める既存顧客がいなくなってきたことが影響しています。そして個人客へのシフトも上手くいかず、宿坊市場の成長に乗ることができませんでした。
また、人気はあったけどお寺の方が引退し、跡を継ぐ人がいなくて閉じた宿坊も複数あります。現時点でも住職が高齢で、これからどうなるかとほーりーがハラハラしているところは少なくありません。
さらに言えば新規に開設される宿坊も10年間で数軒レベルしかなく、人気とはうらはらに宿坊の絶対数は減っていました。
が、2017年の上半期に限って言えば、宿坊のオープンが相次いでいます。それもこれまでほとんどなかった一泊2~3万円以上の宿坊が増え始めたのが大きな変化です。
ということで、今回は2017年に誕生した高級路線の宿坊を紹介します。
2017年に生まれた一泊2万円以上の宿坊まとめ
和空下寺町
まずはほーりーが顧問を務める『宿坊創生プロジェクト』より生まれた大阪の和空下寺町。こちらは2017年4月にオープンしました。一泊二食、修行体験付きプランで一人19980円から。プレミアムルームだと22140円(時期によって変動あり?)です。
スタート時より少し価格が抑えられましたが、それでも宿坊ではめったに見ない高級路線です。既存ファンよりも、これまでお寺に泊まることに躊躇していた層にアピールする意欲的な宿坊ですね。
宿泊体験記は、こちらからどうぞ。
飛騨高山善光寺
続いて岐阜県高山市にある、飛騨高山善光寺。こちらは以前から一泊3000円の宿坊として運営されていましたが、2017年7月にリニューアルオープンしました。
一泊一部屋、素泊まり20000円(祝日前24000円)からとなっています。特徴的なのは外国人に馴染みやすい部屋貸しスタイルで、2名まではこの料金。3名以上だと1名あたり3000円の布団代だけ追加です。
一人で泊まれば、20000円。最大の5名で泊まると、29000円÷5人=一人5800円となります。
なお、部屋は3つあり、もう二部屋はそれぞれ、25000円から、40000円からとなっています。そんなことをする人はあまりいないでしょうが、一人で4万円の部屋に泊まることもできちゃうわけです。
寳珠寺
こちらは奈良県奈良市にある寳珠寺。今年の3月に運営者からご連絡頂きました。
庫裡を改装して一棟貸しで、素泊まり3万円(休祝日前は1万円増し)の宿泊プランができました。最大で9人まで宿泊できますので、団体で泊まれば一人3000円代にすることも可能です。
京都のラグジュアリー宿坊(5ヶ寺)
主催は日本財団で、共催は京都文化協会。そしてENYSiが予約を受け付ける、一泊10万円を超えるラグジュアリー宿坊。
大慈院(大本山大徳寺)、永明院(大本山天龍寺)、海宝寺、真如寺(大本山相国寺)、光雲寺(大本山南禅寺)と、京都の非公開寺院に泊まることができる宿坊です。
ということで、、、
2017年は宿坊創生元年という感じです。2016年までとは全く異なるステージに突入しました。上記の他にも私の元には宿坊を作りたい、現在準備中など、いろんな情報が送られてきています。
さらに来年になれば民泊の解禁により、宿坊はもっと多様になっていくでしょう。
民泊新法が可決。お寺が宿坊を開くのに、有利な内容になりました
ほーりーはこれまでずっと宿坊を作っていこうと、いろんな寺社や企業に提案し続けていました。しかし10年以上もけんもほろろで、とある企業の新規事業コンテストでプリンターをもらったくらいしか成果がありませんでした。
なのでようやく新しい波が生まれたことに、大げさではなく胸が打ち震えています。
そしてこれからの願いはこの上昇気流が軌道に乗り、もっとたくさんの人が宿坊や寺社で過ごせる環境が作られていくことです。さらに言えば私の旅テーマである「人生を変える寺社巡り」の言葉通りに、人生に良い影響が得られる場として、お寺や神社が広まってほしいと考えています。
一人一人の人生が変わり、それが多くの方に波及すれば、やがて人類だって変わっていきますし。
また、一方でこれからの人口減少時代の中、わずかなりと言えども宿坊が次世代にお寺や神社を残す手段になるように走り回ってもいます。
寺社とビジネスを組み合わせる『寺社ビズ』や、産業・宗教・官公庁を組み合わせた『産宗官連携』も、ほーりーの活動の中では大きなテーマです。
宿坊はまだまだこれから、増えていくでしょう。宿坊研究家のほーりーも、とことんそれを追いかけていきますよ。