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無償の精神が求められやすいお寺事業で、収益化に必要な3つの要素

 先日、お坊さんに人生相談ができるウェブサービス『hasunoha』の堀下剛司さんをお招きして、お寺の事業をテーマにした勉強会兼食事会を行いました。

 そういえば白熱して、みんなの写真を撮るのを忘れてしまいました。最初に食事の写真だけ雰囲気で撮ったので張り付けておきます。

お寺の勉強会

 こちらにはお坊さんやお寺業界で事業を作っている方が参加されたこともあり、「新規事業のマネタイズ」が会話の中心になりました。

 『hasunoha』は東日本大震災が起こった2011年、閉塞感が高まってきた社会の中で、お寺や仏教が人の心を支える力はものすごく大きいのではと考えた堀下さんが立ち上げたものです。

 そしてほーりー自身も同じ時、津波が押し寄せる映像を見て、会社を辞めて独立しようと決意しました。

 ただしここまでの想いであれば、あの時の震災で(最近であればコロナなどでも)、人生や社会に何かを感じた方はたくさんいるでしょう。

 しかしその想いを形に表し、さらに事業を産んで継続させていくことは並大抵ではありません。堀下さんを持ち上げつつ、半分くらいは私の自画自賛にもなってしまう気がしますが、同じ道を辿っているだけに堀下さんの歩んできた道には敬意を感じます。

 今回はそんな勉強会で議論したことを元にしながら、ほーりーの考えも交えてブログ記事にしてみます。

お寺周りの事業は、ハードルが高い

 ほーりーが常々思っていることの一つに、お寺周りの事業は他の業界より無償の精神が求められやすいというものがあります。

 例えば宿坊は少し前まで、一泊二食で8000円を超えると高いと言われていました。1万円を超えると「お寺なのに金儲けか」と批判の声が上がったものです。

 そしてこうした価格を抑える圧力が、人気が高まりながらも宿坊の数を減らし続けた要因のひとつでした。それがインバウンドによる需要増加で一泊2~3万円の宿坊が珍しくなくなり、宿坊の新規開設も増えてきています。

 以下の記事は2018年に書いたものですが、宿坊=安宿イメージを打破するメリットについて述べています。

宿泊価格が不当に低いと、宿坊自体が消えていく

 しかも『hasunoha』は宿坊などよりはるかに無償の精神が求められやすい、苦しんでいる方の人生相談がテーマです。その意味では事業として行うことは、『宿坊研究会』よりはるかに大変であろうことが察せられます。

無償の精神が求められやすいお寺事業で、収益化に必要な3つの要素

 そんなわけで堀下さんから『hasunoha』ヒストリーを聞きながら、参加者間でお寺関連の事業でマネタイズをするために必要なことを話し合いました。

 話題は多方面に広がりましたが、大きくまとめると以下の3点が要素として挙がっています。

既存の利益を侵さない

 お寺業界は人間関係が濃密なので、新参者は叩かれやすい傾向にあります。なのでできるだけ周りの感情を刺激せず、既存の利益を侵さない分野で事業を行うことは、個人や弱小企業にとっては有効な戦略です。

 そしてここで言う「既存の利益」とぶつかりやすい分野は、葬儀、お墓、檀家制度です。もちろんこれらに全力で立ち向かって大改革を行うことにも意義があるでしょうが、それができるのは鋼のメンタルを持っている方だけでしょう。

 しかしお寺では昔から人生相談が行われていたものの、これを主要な収入手段としているお坊さんは限られています。また私自身を振り返っても、宿坊(個別の地域ではなく全体として)はお坊さんにとって専門外の分野なので、割とすんなり受け入れられました。

 ただし「既存の利益を侵さない=その分野はすぐにお金にならない」ということでもあります。その意味では結果が出ない中でも淡々と続ける別の試練は受けねばなりません。

無料と有料を切り分ける

 無償の精神が求められやすいお寺業界において、最初から「お金、お金」というスタンスは嫌われます。一方でその声を怖れ続けてずっとボランティアを続けていれば、いつまでたっても事業が成立しません。

 そこで一つの有力な方向性は、ここまでは無料でありここからはお金がかかると明示することです。『hasunoha』の場合はテキストベースの人生相談は無料で行えますが、Zoomでの個別相談は有料となっていました。

 これによって「お金儲け」という批判を避けつつ、収益化も図れます。ただしそのためには無料でもしっかりとしたものを作り、さらにそれを超える品質のものを有料サービスとして用意しなければなりません。

 それがどれだけ大変な事かは、言うまでもないでしょう。

中核となる想いを持ち続ける

 堀下さんは最初にも書いた通り、お坊さんは苦しんでいる人を助けてくれると、そのためのプラットフォームを作られました。

 名だたる企業で働いた経歴もある方なので、単にお金が欲しい、儲けたいというだけであれば、他にいくらでも道はあったと思います。

 それでも茨の道を歩きながら『hasunoha』を続けてこられたのは、きっと原点となる想いを持ち続けていたからでしょう。

 結局はハードモードの人生を選んで歩む狂気じみた人間性が、お寺業界で新規事業を起こすためには必要と感じます。

ということで、、、

 この他にもインターネットが広がり始めた頃に社会人となった時流の良さや、いろんな方が共感して助けてくれたご縁のありがたさ、そしてキャッシュレスやAIなど新しいものを取り込み続ける姿勢なども話題に出てきました。

 またこれからはお寺がどんどん失われていく中で、次世代につなげていくための使命感なども原動力になりそうです。お寺とお金についてはタブー化せずに話し続ける環境も必要なので、こうした場はまた設けていきたいところですね。

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