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仏教を伝えるために、妥協は必要ですかという質問

先日、宇都宮で栃木県仏教会の講習会に、講師として参加させて頂きました。駅前に餃子のキャラが立つ、あの素敵な街ですよ。

宇都宮の餃子

今回お話させて頂いたのは『お寺を盛り上げる7つのアクション』です。こちらの詳細は先日、記事にしましたのでよろしければ以下をご覧下さい。

参考:ほーりーの十八番『お寺を盛り上げる7つのアクション』とは何か?

そして、終わった後の質疑応答。お坊さんからむむっとうなる面白い質問があったので紹介します。

仏教を伝えるために、妥協は必要ですかという質問

栃木県仏教会の講習会

お坊さんから聞かれた質問。それは「仏教を伝えるために、妥協は必要ですか?」というものです。

本当はもうちょっと突っ込んだ話でしたが、いろんなケースに応用できそうなので、ここでは汎用的に「仏教」としておきます。

ほーりーは何かを人に伝えたいとき、ステージ的には2つの段階があると考えています。

(1)興味を持ってもらう
(2)学んでもらう

この辺については以下に詳しくまとめたので、ご興味あればあわせてどうぞ。

テレビに「布教」までさせようと思うこと自体、間違ってます

読むのが面倒くさいという方のために3行でまとめると

○テレビ番組『ぶっちゃけ寺』に出たら、言いたかったことが全部カットされた
○テレビに布教までさせるのは酷であり、それはお寺の役割
○テレビにできるのは楽しい番組を作って、世間にお寺への好意を持ってもらうこと

というものです。

それで話を戻して今回頂いたご質問の「妥協」ですが、ニュアンス的にはこんな感じです。

「今までのやり方では興味を持ってもらえないので、大衆受けするものに変えた方が良いのだろうか?」

ですがこれって分解すると、ふたつの妥協が隠れています。

○形を曲げて、相手におもねる(本質を下げる妥協)
○相手のことは考えず、無理やり押し通す(相手の理解を諦める妥協)

それでこれは(1)興味を持ってもらう (2)学んでもらう という2つの段階で言えば、どちらかだけをやろうとしていることに気がつきます。

本当に妥協せずに伝えようとするのなら、(1)(2)の両方をしないといけないわけです。さらに言えば(2)につながるような(1)を作らなければいけません。

これはつまり、ほーりーがいつも語っている「小さな階段をたくさん作る」という話に通じるものですが、一番下から上の段まで妥協なく作ることが、これから求められていきます。

どっちかだけじゃ、ダメなわけです。

小さな階段をたくさん作る

小さな階段については、こちらもどうぞ。

参考:堀内の企画術。仏教への道を階段状にすると、お寺とコラボできます。

プロセス作りは妥協せず、結果には妥協する

一方で階段を作ったとしても、それを登るかどうかは相手次第です。絶対に階段を登らせるんだと息巻いてしまうと、それが人を遠ざけます。

下も私が講演でよく使う図ですが、マラソンの競技人口を表したものです。

マラソンの競技人口

この三角形の頂点にいるオリンピックで走るようなアスリートと、麓にいる健康目的でジョギングする人では、走ることに求めるものが異なります。

しかしここで麓の層に「ダイエット目的なんて邪道だ! 42.195kmを3時間切ることを目指さないなら、そもそも走るな!!」なんて言い出したら、大半の方は逃げていくでしょう。

(余談ですがフルマラソンを3時間以内に走る人を「サブスリー」と呼び、市民ランナーの大きな目標になっています)

するとランニングウェアやシューズは売れないし、大会が行われてもスポンサーはつかないし、ひいてはアスリートが生まれる育成システムも作れなくなります。

なので目立つのは頂点の理論ですが、実は麓の理論は頂点を支えるためにも大切なわけです。

仏教も同じでそれぞれの段階に合わせた満足ポイントを用意しておかないと、初心者には途端に窮屈なものになっていきます。そしてそうした人は立場が弱いので、不満の声も上げずにただ去っていきます。

下から上まで階段は妥協せずに作りながら、それを登らなくても満足できるポイントも設計すること。プロセス作りは手を抜かず、結果は求めないという難しい境地ですが、それがより多くの人を上へ上へと導いていきます。

ということで、、、

今回講演した『お寺を盛り上げる7つのアクション』は、こうしたお寺の外にいる人とつながっていくための、具体的な方法論でした。

まずは一人でやっても良いし、難しそうであればいろんな人を巻き込んでみても良い。そんなやり方もたくさん語っています。

本質を伝えることと大衆性は、トレードオフではありません。「伝えたいことを伝えたい形だけで伝えることも妥協」という、さらに高いステージの話です。

今回お話した「7つのアクション」が、そんなお寺を作る部品になればと願っております。

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