コロナで大ダメージ受けたのに、予約が前年比1.5倍の宿坊普賢院
コロナによって旅行者がぱったり途絶え、頼みの『Go To Travelキャンペーン』も二転三転して今一つ実態がつかめずに初日を迎えました。
ほーりーも6月に福井県・永平寺、7月に島根県・出雲大社をお参りしてきましたが、まだまだ旅行環境の復活は遠いなと感じています。
ちなみに出雲で見たお土産屋さんのポップがこちらです。
やはりこの数カ月、お土産もほとんど売れなかったんでしょうね。あまりに悲壮感が漂っているので、ほーりーも思わず爆買いしてしまいました。
まあ、人のことは言えません。寺社コンも今月から再開させましたが、まだ以前の関東で月2回、関西で月1回ペースは難しい状況です。様子を見ながら徐々に進めていこうと考えています。
本州最北端・おおま宿坊普賢院が大フィーバー!
なのですが、うらやましい話を聞きました。青森県・下北半島にある『おおま宿坊普賢院』で、宿坊への宿泊予約が7月は前年比1.5倍と言うではありませんか。しかもこちらは4月から宿泊料を12000円から18000円へと引き上げてもいます。
ほーりーが連載している月刊住職には来月号の原稿として、海外からの旅行者と国外へ出ていた日本人の消費額を差し引きして、9割くらいはいずれ戻ると取らぬ狸を書いて出したのですが、そんな予測もぶっちぎって普賢院が大躍進を遂げています。
そんなわけで、そもそも普賢院とはどのようなお寺か。詳細は以下のリンク先をご覧ください。
ほーりーのブログが、普賢院宿坊の両親や金融公庫説得に役立った件
概要をまとめると、次の通りです。
○本州最北端、過疎地にある秘境のお寺
○檀家さんはゼロ軒、放置された空き寺を菊池雄大院代が宿坊へと改装
○お坊さんを貸し切りできる宿として、坐禅や人生相談を求めて宿泊者が訪れる
○お父さん(近くにある福蔵寺住職)は、とてもお茶目
Google地図も載せておきます。
いや~。紹介記事を書いたのは半年前ですが、その後にまさかここまで世の中激変するとは思いもしませんでした。菊池さんを撮影した写真を見ると、雪が積もっていますし。
順調にスタートして3年目の宿坊が、コロナ禍で大ダメージを受けた今年の3月。一時期はキャンセル者が続出してほぼ壊滅状態となったそうです。
しかしそこで負けじと2か月間の休業期間を設けて、普賢院はリニューアル工事に入ります。新たに150万円かけて宿坊棟にシャワールームを設置し、洗面台も信楽焼きに。食堂は足を楽にする椅子スタイルに変更。サンルームには珈琲を飲みながら読書ができる環境を用意するなど、施設の充実化を図っています。
そして6月以降、再オープンをしたところ、青森県や近隣道県を中心に客足が戻ってきました。というか、戻る以上に人が来ています。
さらに私がこの話を改めてお聞きしようと、ZOOMを活用して取材させて頂いたところ、ちょうどその日にNHKの番組で(こちらは主に樹木葬がテーマとのことですが)取り上げられ、朝からひっきりなしに電話がかかっている状態とのことです。
東京から新幹線や電車、バスを乗り継いで約7時間、同じ県内の青森駅からスタートしても4時間30分はかかる怖ろしい立地です。しかしこんなハンデだらけの過酷な条件でも、お寺には盛り上がる要素があることを、普賢院は示してくれています。
ということで、、、
普賢院にはこれまでシャワーが(もちろん、お風呂も)なかった。これ自体も示唆的です。
近くに温泉施設があるものの、歩いていくにはちょっと面倒な距離があります。もしも温泉目当てであれば、青森県にも浅虫温泉や不老ふ死温泉など秘湯・名湯はそろっていますし、わざわざ普賢院を選ぶ理由はありません。
つまり宿坊はお参り自体が価値であり、仏教体験やお坊さんとの語らいこそが魅力なわけです。清潔感や安心感など最低限の環境は必要ですが、他のホテルや旅館と最新設備を競う必要もありません。
そしてそれが金額としても受け入れられていることを、普賢院は示しています。菊池さんは「宿坊=安いという概念を壊したい」とも仰られていますが、リピーターの方に言わせれば一日一組、一棟貸しで、お坊さんと一日過ごせる時間まであって18000円はまだまだ安いとのことです。
コロナを機に東京や京都・大阪よりも人口の少ない地域への旅にも目が向き始めてきましたが、これでもかというほどアクセス不便な普賢院の挑戦は、お寺社会全体の勇気にもなるとほーりーは思っています。