円安でこれから宿坊への注目が増す国はどこか?
2022年も残すところ2か月ですが、今年は円安が急激に進みました。2022年1月に1ドル115円だったものが、10月は146円となっています。下の図はこのドル円レートをグラフ化したものですが、上に行くほど円安を表しています。
いやー。右側の上りがえぐいですね。そして「悪い円安」とよく言われるように、この円安が日本に与える影響には危機感を覚えます。20代の自死自殺者が増えるなど、その辺についてまとめた話はこのブログでも何度か書きましたが、今回は円安のプラス面に目を向けてみます。
ほーりー個人の話でいえば、実は私は去年の12月にかなり大きな額をドルに変えていました。いろんな経済指標を見ていた時にこれから円安になる可能性が高いと考えていたので、リスクを下げるために所有通貨の分散を図ったわけです(ただ、こんなに急だとは予想していませんでしたが)。
そしてそれが功を奏し、今年の物価上昇をはるかに超える為替差益を手にしています。アメリカほど高インフレに悩まされず、上がったドルの金利まで手にできてしまうので、日米の良いとこ取りとも言えます。
こうした状況は、海外から日本に来る旅行者にとっても同様です。もともと日本の観光は、海外から高い評価を受けていました。それがコロナによって中断していましたが、円安が進んだことで日本観光への興味がまた大きく増しています。
そんなわけで、今回はこの円安が宿坊にどのような影響を与えるかについてまとめます。
円安はどの通貨で最も進んでいるのか?
まず、ニュースで円安と言われますが、果たしてどの通貨に対して安くなっているのか? 一言でいえば、主要各国のほぼすべてです。
まずは対ユーロ。
続いて、オーストラリアドル。
そして中国人民元。
全部上側(円安側)に向かっているのがわかりますね。
ちなみに去年と今年の9月で比べると、その差は以下のようになっていました。円高になっていたのはハンガリーフォリントと、トルコリラのみですね。
ドル :1.30倍
ユーロ :1.09倍
オーストラリアドル :1.19倍
中国人民元 :1.20倍
韓国ウォン :1.09倍
香港ドル :1.29倍
台湾ドル :1.15倍
シンガポールドル :1.24倍
タイバーツ :1.16倍
マレーシアリンギ :1.19倍
インドネシアルピア :1.25倍
英ポンド :1.07倍
カナダドル :1.24倍
スイスフラン :1.23倍
ロシアルーブル :1.58倍
スウェーデンクローネ :1.03倍
デンマーククローネ :1.09倍
ノルウェークローネ :1.10倍
ニュージーランドドル :1.09倍
南アフリカランド :1.08倍
バーレーンディナール :1.30倍
インドルピー :1.19倍
フィリピンペソ :1.13倍
クウェートディナール :1.26倍
サウジアラビアリアル :1.30倍
UAEディルハム :1.30倍
メキシコペソ :1.30倍
パプアニューギニアキナ:1.30倍
ハンガリーフォリント :0.95倍
チェココロナ :1.13倍
ポーランドズロチ :1.05倍
トルコリラ :0.60倍
円安でこれから日本に来ると考えられる国はどこか?
円安でこれからどこの国の人が日本に来ると思われるか? それは「2019年まで多くの訪日旅行者がいて」「対円で通貨の価値が他より上がった国」が考えられるでしょう。
その2つの観点で見ると、まずは中国が筆頭です。そして香港、台湾、タイなどが続きます。韓国は他国に比べると円安が緩いですが、それでもウォン高が進みましたし地理的にも近いので、こちらもまた多くの方が訪れると思われます。
一方でアジア諸国以外に目を向ければ、アメリカが目につきます。ドルは現在、世界で最も価値の上がった通貨の一つですし、2019年までアジアを抜かせば一番日本に旅行者が訪れていた国でした。
そして、ヨーロッパの国はどうか。アメリカのドルは2022年に入って急激に上がりましたが、ユーロは2020年から徐々に円安ユーロ高方向に伸びています。このためコロナ前と比べれば、だいぶ割安になったと感じる方もいるでしょう。
さらに最後にオーストラリア。こちらもまたユーロと同じく、オーストラリアドルは2020年からだんだん上がってきています。このためオーストラリアの方もまた、日本に来られる方は増えていくはずです。
円安でこれから宿坊への注目が増す国はどこか?
2015年の話ですが、以下の記事を書きました。
宿坊で狙いたいのは中国・韓国ではなく、欧米豪からの旅行者です
この内容をまとめると、以下の通りです。
(1)韓国、中国、台湾は食やテーマパークへの興味は高いが、日本の歴史や文化への興味は他より低い
(2)北米、ヨーロッパ、オーストラリアの方は、「日本の歴史・伝統文化体験」と「美術館・博物館」への興味が強い
(3)宿坊は北米、ヨーロッパ、オーストラリアの方に向くテーマとなる
これまでも日本の旅行は富裕層の需要を満たすものが少ないと言われていましたが、その弱点を埋める方策もコロナ前は出始めていたところでした。
宿坊界隈でいえば、一泊100万円で話題になった仁和寺や、10万円を超えるプレミアム宿坊、そして既存の宿坊でも宿泊価格が上がって話題になっています。
これから日本への訪日旅行が解禁されていく中、円安と相まってこうした宿坊の高級化もまた進んでいくでしょう。
ただ一番の懸念は、日本だけマスクをいつまでも外せないままでいることです。先日、このブログや月間住職での連載などでも書きましたが、海外の旅行者が非日常の楽しさを求める旅行でマスクを強要されてしまったら、それは日本事態を敬遠する要因にもなってしまいます。
お寺や神社でマスクを緩和していくために、必要な3つのステップ
ひとまず2023年は、宿坊にまた新しい波が生まれそうな気配がします。宿坊研究家としては、ワクワクする年になりそうですね!