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イベント仏教が消耗しやすい時代に考えたい4つの方向性

お寺のコンサート

先日、とあるお坊さんと以下の会話をしていました。

坊:「最近、お坊さんが何かするだけで、目立てる時代じゃなくなってきましたね」
ほ:「分かります。仏教系イベント、ガンガン増えていますし」
坊:「少なくとも都心部では、イベントのレベル差がはっきり現れてきました」
ほ:「何をするか、今後にどうつなげるかが戦略的に問われてきますよね~」

この分野で最先端を行く寺社フェス『向源』も、今年は大きな方向転換をしていました。

参考:成長戦略を手放した向源は、これからどこに向かうのか?

ということで、この傾向。ものすごく実感があったのでまとめてみます。

最近、イベント仏教が増えてきた

「イベント仏教」なんて言うと口の悪いお坊さんが、最近のちゃらちゃらした(ように見える)お坊さんを非難する時に使う常套句ですが。

私は割とポジティブな意味で使っています。宿坊研究家として巡礼参拝の歴史や風俗も研究しているほーりーとしては、特に江戸時代以降のお寺イベントには注目しています。

寺社のご縁日や仏像の出開帳が盛んに行われなかったら、今に至るまでこんなにも仏教が広まることはなかったでしょう。成田不動などの歌舞伎は江戸っ子を熱狂させましたし、地方の農村部でも宿坊の御師や遊行僧が出向いて絵解きを行いました。これらは社会基盤としての檀家制度とは別観点で、神仏を身近に感じる機会となったはずです。

そしてもちろん、イベントは現代でもお寺と縁のない人が仏教にふれるきっかけです。「イベント仏教」は揶揄されるものではなく、もっと積極的に推進してよいというのがほーりーの考えです。

が、これは私の意見の大前提ですが、最近は冒頭の会話の通り、イベント仏教がだいぶ充実してきました。

先日取材してきた『向源』でも、参加団体には「フリースタイルな僧侶たち」「茶房えにし」「イムイム」など、イベント作りに積極的な団体が揃っていましたし。

修行体験会はどんどん増え、お坊さんと話す会もあちこちで行われています。お寺での音楽コンサートやライトアップ、ヨガ、トークイベント、モノ作り体験、期間限定のお寺カフェや坊主バーも各地で広がっています。

私が主催している寺社好き男女の縁結び企画『寺社コン』も、すでに9年目に入りました。この分野はだいぶ牽引したと、勝手に自負しています。

イベント仏教が消耗しやすい時代になってきた

そしてこれまではお坊さんが何かすれば、珍しさからそれだけで人やメディアが集まる状態でした。今でもまだその傾向は見られますが、少しずつ効果が薄れ始めてきています。

私はイベント仏教の先駆者とは、これまでかなり濃密に語り合ってきました。そこでどなたにも共通していたのは「お寺でこんなことしても怒られないだろうか」という精神ハードルを「それでもやるべき」と乗り越えた開拓者魂です。

そしてそれがあったからこそ、ギャップが生まれて世間の注目を集めた側面があります。

が、だんだんと「怒られないだろうか」というハードルは下がってきました。お寺でカフェをやっても婚活しても、あるいはレゲエやデスメタルのバンドが来ても、もはやそれほど驚くことではないでしょう。

つまり、考えなしにイベントを開くだけでは成果の得にくい時代に突入したのです。

これからのイベント仏教に必要なこと

では、今後のイベント仏教が目指すべき方向にはどのようなものがあるか。ほーりーなりに考えているのは以下の4つです。

より、エッジの効いた方向へ

一番簡単で、一番安易で、そして一番危うい方法です。ギャップが効きにくくなってきたのであれば、より過激なことをすればよいというものです。

例えば先日、私のもとにお寺で既婚者のみの出会いパーティを行えないかというメールが来ました。うん、思わず3度見しましたよ。そして、返事は書けなかった。

まあ、これは極端すぎるとしても、今までになければ良い、意外性があれば良いというだけでは、いずれ手痛い目に遭います。

ただ振り切れた企画であっても、それを支えるだけの想いや理論、大義が(自分の中で)持てるものであれば、覚悟を持ってやってみるのはよいでしょう。

お寺にAV女優やコンドームの達人を呼んだ古川潤哉さんとか、まさにこれを地で行っています。この企画は簡単に真似できるものではありませんが、考え方には学ぶことが多いです。

参考:コンドームの達人や元AV女優を呼ぶお坊さんが切り開く道

結局、昔も今も不安を感じた企画を押し出せる人でないと、とがったものは作れないということです。

ステップアップ仏教

先日、お坊さんバラエティ『ぶっちゃけ寺』が終了しました。お茶の間に多数のお坊さんが姿を見せたことで人気を博した番組ですが、このテレビ局の判断は時代の変化を反映しています。

ゴールデンタイムのテレビ番組なんて、とんでもないリサーチが行われた上で放送されているものです。つまりここで終了したということは、薄く広く仏教にふれるニーズがひと段落ついたことを示しています。

で、あれば今度は興味を持った人にもう一段階上がってもらう仏教コンテンツも作るべきです。私はお坊さん達の前で話す講演で以下の図をよく使いますが、この最初の一段が増えてきたので二段目を作っていくイメージですね。

神社の階段

「源に向かう」というタイトルを付けた『向源』代表の友光雅臣さんは、この部分をかなり意識的に練り上げています。今年の声明公演が終わった後は、「自分が最後に解説すると、聞いた人が得た気持ちを上書きしてしまうから」と、これまで行っていた最後の挨拶を大きく変えていました。

向源はこのように昔から、持ち帰るものを大切にするメッセージを発し続けています。

また、アップデートする仏教で話題の藤田一照さん・山下良道さんも、こうした分野の先駆者です。とにかくやれじゃなくて、論理的にステップを紹介しながら禅やマインドフルネスへと誘導しています。



 アップデートする仏教

 藤田一照・山下良道 著

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浄土真宗だと、私も以前にコラムを寄稿させて頂いた『浄土真宗の法話案内』が、敷居の高い法話会の間口を広げています。

私が顧問を務める『宿坊創生プロジェクト』も、宿泊することで滞在時間を増やし、仏教に一歩深く接してみようという観点で文脈に沿っています。

イベント仏教での収益化

ほーりーは昨年、7年続けたカルチャーセンターでの講師業を終了させました。いくつか理由はありますが、一言で言えばお金にならなかったからです。

私は寺社巡りをしながら解説する野外講座がメインでしたが、企画で半日、資料作りで半日、そして実際の講座で半日と、ひとコマで大体1.5日かかります。これに対して講師料が1万円を切ったりと、時給換算でもその辺のバイトを下回ることがありました。昔はもうちょっと良かったのですが、カルチャーセンターと言う業態自体も苦しくなってきているようです。

寺社旅研究家として初期の頃から続けた活動ですし、熱心に参加して下さるリピーターの方もいたので、採算度外視でかなり粘ってはいたんですけどね。他がどんどん忙しくなる中、限界が来てしまいました。

まあ、ほーりーがもっと人気講師だったなら違っていたでしょうが。

翻って寺社コンは、寺社巡りに婚活という要素を絡めています。参加者にとってはこちらの方が圧倒的に付加価値が高く、私としても黒字で続けられる水準です(苦労も多いけど)。

イベントを収益化できるか。これは継続性を左右します。しかしお坊さんの企画したイベントを見ると、参加費が3000円を超えるものは稀です。

そう言えば浦上哲也さんが作った人気イベント『死の体験旅行』は、最初2000円で設定されていましたが、ある時から3000円になっていました。こうした値上げは短期的には参加者にとって不利益ですが、主催者が意欲的に続けられる価格まで上げることは全体に還元します。

お布施の精神、誰にでも開かれたお寺は素晴らしいのですが、何でもかんでも無料~ワンコインで設定していると、イベント仏教は消耗の代名詞になっていきます。

檀家・信徒獲得につながるイベント仏教

「イベント開いても、檀家さんが増えるわけじゃないからね」というセリフはよく聞きます。が、私はそろそろこの点についても真剣に精査していくべきと感じています。

以下は私が顧問を務める霊園会社・アンカレッジのセミナーでよく出る図ですが、第4層はお寺に全く馴染みのない層。第3層は少しお寺に出入りしている層です。そして、1・2層はお寺の中核。檀家さんや信徒さんが該当します。

樹木葬の組織作り

そして私が考えるお寺の問題点はこの3~4層と1~2層が、完全に分断されている点です。イベントで言えばお寺に人を呼ぶことが、檀家さんが増える設計になっていないことです。

これについてもアンカレッジモデルは参考になります。アンカレッジがお墓においては素人のほーりーを顧問に据えたのは、コミュニティ作りがお墓の販売に好影響をもたらすためです。

しかもアンカレッジのお墓は「人とお寺をつなぐこと」をコンセプトにしています。宗旨不問で販売してもコミュニケーションを密に取ることで8割以上の方がそのお寺で葬儀法要を依頼しており、実質的に檀家さん(もしくはそれ以上に活発な存在)になっています。

この辺の詳細は語ると長いので、以下の記事でどうぞ。

参考:お寺と人をつなぐ樹木葬セミナーが、京都で行われますよ!

(ちなみに「京都でセミナーが行われます」と書いていますが、東京・札幌でも行っています)

あとは夫婦でお寺を作り、檀家さんゼロから500軒まで増えたみんなの寺の事例も参考になりますね。こちらは仙台の新興住宅地での新寺事例で一般のお寺とは少し状況が異なりますが、熱心にイベント作りに取り組みながら地域と溶け合い、求められるお寺になっていく様子は学ぶべき点が多いです。



 みんなの寺の作り方―檀家ゼロからでもお寺ができた!

 天野和公 著

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ということで、、、

ほーりーが一番危惧しているのは、せっかくいろんなお坊さんや仏教組織がやる気になって、様々なイベントを作り始めたのに「イベントは疲れる」「やる意義が見いだせない」と、一過性のブームで終わってしまうことです。

これまではスタートまでのハードルが高かった分、とにかくやれば参加者も集まったし、メディアからもちやほやされたし、継続はしやすい状況でした。

が、精神ハードルが下がって参入者が増えると、今度はイベント自体の質が求められていきます。そこで劣化コピーばかりが作られると、イベント仏教は急速に冷え込むことも予想されます。

イベントのレベルを上げるために、これから何をしていけばよいのか。このフィールドに繰り出していくお坊さんの意識は、これまでとは違った形でこれから問われていくでしょう。

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