寺社が境内を禁煙にすることは、子育て世代へのメッセージだ!
少し前の話ですが、ほーりーが結婚式を挙げた本光寺さんに、今年の初めに夫婦でお参りに行きました。するとお寺の入り口に新しい看板が立っていたので、思わず写真を撮ってしまいました。
本光寺は千葉県市川市の『子育て応援企業』に、企業より先に第一号として認定されたお寺です。住職も「お寺だけどいいのかな~」と市役所に相談行ったら受け付けられたとのこと。
そんなお寺だからなのかは分かりませんが、2018年に入って境内を全面禁煙化することが宣言されました。タバコの煙がものすごく苦手なほーりーは大歓喜です。
いや、本当にね。隣でタバコを吸われると頭が痛くなることはもちろん、タバコの臭いが付いている人が側にいるだけで気持ち悪くなるくらいダメなんですよ。ワタクシ。
境内全面禁煙を明示している寺社は少ない
それで本光寺の看板を見た後、ここ3ヵ月ほどあちこち改めて観察していました。しかし一部禁煙や喫煙所を設けてスペースの区分けを行っているところはあれど、「全面禁煙」を宣言(誰もが目に付くところに掲示)している寺社はほとんど見かけませんでした。
ようやく見つけたのが、東京都台東区にある観智院です。こちらは幼稚園が併設されているので、やはり子供たちを守るためのものでしょうか。あとは境内に火除不動が祀られているので、タバコなんてけしからんということかもしれません。
仏様だってお線香は好きでも、タバコは嫌いだと思うしな~。
分煙では受動喫煙を防げない by WHO
こうした意見を書くと、以下の様な意見が出てきます。
○俺は人前では吸わないよ
○もう十分に分煙している
○タバコを吸う人間ばかり悪者にするな
が、別にタバコを吸われる方を悪者にするわけでも批判するわけでもなく、単純に日本の分煙はまだまだ不十分だということが今回の記事の趣旨です。
世の中には受動喫煙の他に、「三次喫煙」という言葉があります。
喫煙 ・・・本人がタバコを吸う
受動喫煙 ・・・他人が吐いたタバコの煙を吸わされる
三次喫煙 ・・・タバコを消した後の残留物から有害物質を吸わされる
分煙ではこの三次喫煙は防げません。また飲食店によくある分煙も、壁で仕切られてすらおらず、煙が禁煙席へダダ洩れということはよくあります。
この受動喫煙・三次喫煙に関しては、日本は世界レベルで見てもものすごく対策が遅れています。これはほーりー個人の意見ではなく、世界保健機構(WHO)から言われていることです。
WHOによると、2014年時点で、世界49カ国が、屋内の公共の場所が全面禁煙となっている。一方日本は、法律で喫煙を禁じている屋内の公共の場がなく、受動喫煙政策の普及状況を示したWHOの評価基準で、4段階中で最低ランクに位置付けられている。こうした日本の現状を、ダグラス部長は「時代遅れだ」と指摘した。
(中略)
厚労省が勧める分煙型の受動喫煙対策については、同じくレストランやバーを分煙にしたスペインで、受動喫煙の数値があまり改善されなかったことを挙げ、「部分的禁煙は効果がなく、受動喫煙を防ぐことはできない」と主張した。
厚生労働省が発表した健康増進法改正案も、いろんな圧力を受けて骨抜き状態ですし。この辺は毎日新聞の社説が、ほーりーの意見とおおむね一致です。
今回の案では「既存の小規模店」は「喫煙」や「分煙」の掲示をすれば当面の間は喫煙を認めるという。対象は「150平方メートル以下で、個人経営か資本金5000万円以下」が検討されている。東京都内では100平方メートル以下の飲食店が7割を占める。150平方メートル以下ではほとんどが規制の網から漏れてしまう。
そして自分のタバコで体を壊す方は自己責任ですが、受動喫煙だけで死亡している年1万5千人の被害者は、たまったものではありません。
受動喫煙が原因で死亡する人は、国内で年間約1万5千人に上るとの推計を厚生労働省の研究班が2日までにまとめた。
(中略)
職場では男性3680人、女性は4110人、家庭では男性840人、女性6320人が死亡すると推計した。
特に子どもにタバコの煙を吸わせることは、これまで黙認されすぎでした。乳幼児にアルコール飲ませたら新聞沙汰でもおかしくないのに、タバコの煙は見過ごされているなんてありえない話です。
しかしそこに待ったをかけてきたのが、東京都です。「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」が可決し、国に先行して受動喫煙への対策を取り始めています。
東京都議会で5日、小池百合子知事が実質的に率いる地域政党「都民ファーストの会」と公明党が共同提出した「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」が賛成多数で可決、成立した。家庭内での受動喫煙防止が柱で、施行は来年4月。国に先行して受動喫煙対策に取り組むことで、改革姿勢を示す狙いもありそうだ。
この前見た京都駅前のとあるビルでは、喫煙ルームと授乳室が隣同士で設置されていましたし。うん、正気か? と、思いましたよ。
ぜひここは、東京都から頑張ってほしい。そしてやはり寺社好きのほーりーとしては、世の中がこれだけ遅れている今だからこそ、お寺や神社が率先して受動喫煙防止、境内禁煙の旗振りくらいしてほしいと思っています。
いきなり大きなところは無理でも、町の小さなお寺や神社ならできるところもたくさんあるはずですよ。
ついでですが、電子タバコで言われていること
こういうお店が増えてますね
喫煙可能と変わらず pic.twitter.com/fj1ooItYWz— 稲本望 (@nosmokerider) 2018年1月24日
最近、あちこちで宣伝ポスターを見かける電子タバコ。なんか周りに迷惑かけないし、これならどこでもオーケーだろ的な感じでいきなり目の前で吸い出す人がいますが、日本禁煙学会では
「加熱式電子タバコ」は、普通のタバコと同様に危険です。 受動喫煙で危害を与えることも同様で、認めるわけにはいきません。
と言っています。
また、日本呼吸器学会の見解では
非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用者が呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある。従来の燃焼式タバコと同様に、すべての飲食店やバーを含む公共の場所、公共交通機関での使用は認められない。
と書かれていました。
この辺をめちゃくちゃ分かりやすく解説しているのが、永江一石さんの以下の記事です。
【緊急警報!!】禁煙エリアにタバコ会社が電子タバコで攻め込んできてるのを防衛せよ
電子タバコが行っているのは、
タバコ吸わない奴らがうるさいから
受動喫煙させられていることを
わからなくしてやりました
のだそうです。うん、ものすごく納得できます。世の中、余計に悪くなってるじゃん。
ということで、、、
実際問題、ほーりーはお坊さんの会議に参加することもありますが、お坊さんの喫煙率は肌感覚で高い気がするんですよね。
データないかと思って調べたけど、さすがに僧侶の喫煙率なんてピンポイントなものはありませんでした。しかし、中外日報さんの過去記事で、似たような記事が見つかりました。
「境内を全面禁煙にしたいが難しい」と話すのは、長谷川泰紀・曹洞宗高庵寺(栃木県足利市)住職(64)だ。住職や寺族はたばこは吸わず、檀家の役員も協力的という。だが最大のネックは、同寺に招く僧侶に喫煙者が多いことだ。
これはあれだな。やはりできるお寺や神社から、草の根で禁煙同盟を作っていくことかな。そんなわけで、うちも境内禁煙ですというお寺や神社の方がいたら、ぜひぜひ教えて頂けたら嬉しいです。
「うちには年配者しかいないので、もっと若い人にも来てほしい」なんて相談を受けることもありますが、その辺でスパスパとタバコが吸われていたら、お子さん連れてはやはり行きづらいですよ。むしろ、子どもは全力で遠ざけます。
寺社コンを300回繰り返して感じたことですが、お寺や神社が好きな方ってタバコは吸わない方が多いですしね。さらに言えば結婚相手に求める条件に非喫煙者であることは、アンケート取ったら上位(男性1位、女性5位)にランクインしましたし。
このグラフも超分かりやすいです。日本の非喫煙者率は人口比で82%なので、もはや禁煙化はごく一部の声の大きな人におもねっている場合ではなく、大きなテーマであるわけです。
朝日新聞のn=2130の調査。その場で煙草を吸っていなくても喫煙者の体臭が嫌だ。我慢できないという人をグラフ化するとこんなになる。みんなに嫌がられてることに少しは気づけ。グラフ制作は@lanuvas さん
誤字を直して再投稿。 pic.twitter.com/kE5zoRMHK5
— Isseki Nagae/永江一石 (@Isseki3) 2018年4月11日
もちろんいきなり全面禁煙が難しければ、部分禁煙しながら段階を踏むことも必要でしょうし、子どもを守るという意識やメッセージを伝えていくことも大切でしょう。
しかしそれが、若い家族が安心してお参りできる場作りにもなるとほーりーは考えます。
目指せ、スモークフリー!!