20代は他の年代より、コロナ(自粛・不況)で追いつめられている
コロナ対策は病気から救う命以上に、経済の落ち込みで失う命を増やすことになりかねないという危惧を、ほーりーはこれまで述べてきました。バブル崩壊の時も経済死は5年以上遅れてやってきましたが、現在はそれに似た予兆があると感じています。
以下はコロナが広がり始めたばかりのころに書いた記事です。
これから自死自殺者が3万人に戻るので、お坊さんにお願いしたいこと
このため警察庁が発表している「自殺者数」は、社会の変化を調べる上で注視しています。そして令和3年のデータが発表され、これはまずい方向に進んでいるように見えたので、その状況をまとめてみました。
コロナ禍が始まった後、自死自殺者が突出して増えた20代
まず、これまでの自殺者数推移をグラフで紹介します。これを見ると、コロナが広まった2020年から自殺された方が反転して増え始めています。
ただ、増えたとは言え、2019年と比べて微増程度です。もちろん人が自ら命を落とすことは痛ましいことですし、その事実を軽んじる気はありませんが、ここではマクロな視点で社会の変化を見ています。
この微増でしかないことは、ほーりー的には予想通りです。実際にコロナが始まったばかりの頃は、自死自殺される方が減少してもいました。その背景をまとめたのは以下の記事です。
自粛で自死自殺が約20%減ったのは、社会全体が不幸になったから
経済問題に関して言えば、現在は補助金や無利子の貸し出しなどで、影響を大きく受けた業界でもなんとか経営が成り立っています。ですがこれがいつまでも続くわけではなく、これから借金の返済や増税などで、倒産件数は一気に増える可能性があります。そして失業率と自殺率には相関関係があります。
しかしこの近未来は置いといて。データを見ながら強烈に怖さを感じたのは、20代の自死自殺が現在進行形で激増していたことでした。今回の警察庁の発表では亡くなった方の総数だけでなく、どのような方が亡くなったのか細かな分析も載っています。その概要を一言で表すと、「若い人間の自殺が増え、年配者の自殺は減った」というものでした。
次のグラフは、20代自殺者数の推移を表したものです。コロナを境に、一気に増えていることが分かります。
ちなみに20代は年々人口が減少している世代です。それでも自死自殺された方は増えていたわけです。
20代の自死自殺はなぜ増えたのか?
警察庁の資料では、「自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている」と書かれています。つまり例えば就活で失敗したり、雇い止めなどで職を失ってもそれだけで死を選ぶことは少なく、金銭的に苦しくなったり周りとの人間関係が悪化し、うつ病などを患うといった段階を経て追い詰められていきます。これは実際に私が自死自殺問題に取り組む団体の方に取材をしたときにも、同じ話を伺いました。
なので自死自殺の根本的な原因を探ることは難しいものですが、それでも同資料には遺書等により明らかに推定できる原因・動機の累計値を公表しています。それを2018~2019年と2020~2021年の変化率でまとめたものが以下のグラフです。
これを見ると、コロナ禍前後で最も増えたのは「経済・生活問題」「健康問題」「家庭問題」です。この調査では死を選んだ理由を一人につき3つまで計上しているため、この3要素で複合的に追い詰められた方もいるでしょう。
そしてこれは推測ですがコロナが重症化する20代は少ないため、感染拡大したことで増えた分の健康問題は「うつ病」が多いのではないでしょうか。
株式会社ジャパンイノベーションの調査によれば、20~50代では20代が最もうつ病になる可能性が高い傾向にあり、「コロナ禍においては職業を問わず、若年層ほど危険な状態であることが分かります」と記載されていました。
その意味では20代の自死自殺が増えた理由は、やはり自粛や不況が中心と考えられます。
ということで、、、
今回は自死自殺者の人数で調べましたが、当然ながらその手前で追いつめられている方は、この何百倍もいるでしょう。また今回は詳細を述べませんが、実は10代の自死自殺もコロナ禍後に増えています。
そして前回の記事で、これから戦争や円安の影響でも苦しんでいく人が増えると述べました。
若い世代がここまで苦しんでいる現状は本当に深刻なものですし、それは日本の未来をも暗いものにしていきます。お寺や神社がこうした方にもよりどころとなるようなら、嬉しく思います。