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お墓参り代行業を無視していると墓じまいが増える3つの社会事象

墓地

 お墓参り代行業。お坊さんなら各地で耳にしたり、直にふれている方も少なくないかもしれません。実際にインターネットで検索しても、企業から個人まで様々なサービス業者がヒットします。しかしそこにどうしても付きまとうのは、大切なお墓の管理を他人に丸投げしてしまうイメージです。

 ほーりーもこの言葉を最初に聞いた時は、「手を合わせることさえ外注するなら、お墓なんて持たない方がよいのでは」と思っていました。ただ、ここ数年、様々な情報にふれたり社会変化を学んでいくうちに、その考えは変化しています。

 お墓参りを他人に依頼される方は、距離や時間の制約、あるいは歳をとって体調が思わしくないなど、気軽に足を運べない何らかの事情があります。そもそもお墓に思い入れがなければ、わざわざお金を払ってまでお参りしてもらおうなんて考えることはないでしょう。世の中には管理者と連絡が取れなくなり、荒れ放題になってしまったお墓なんて無数にあります。

 そんな中で自分にできる形でせめて何とかしたいと動かれた方に、「楽をしている」「心がこもっていない」「自分でやってこそ意味がある」という言葉を投げかけるのは、思いやりがありません。

 お墓参りや清掃の代行業者は、玉石混交な側面があります。中にはてきとうなところもあるでしょうし、そのすべてを肯定するわけではありません。ただこのところ、こうしたサービスについて周りと話す機会があったので、お墓参り代行業が社会的にどんな意義があるかを今回は整理してみました。

お墓参りに行きたくても行けない方は増えていく

 そもそもの前提として、これからお墓参りに行きたいけど(気軽に何度も)いけない方は増えていきます。コロナの影響もありますが、もう少し長期的な視座に立つと、お墓参りへのハードルはどんどん上がっていきます。

 その大きな理由のひとつは、高齢化社会の到来です。日本の世代別人工分布は、国立社会保障・人口問題研究所のレポートによると、以下のように変化しています。

 2020年はこんな形です。

年齢分布(2020年)

 それが2040年になると、こうなります。

年齢分布(2040年)

 一見して、「後期老年人口」が分厚くなっていることが分かるでしょう。

 そしてここ近年、注目が高まる言葉に「健康寿命」があります。こちらは国連の世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間を指します。その推移が厚生労働省のサイトで紹介されていたので、グラフにしてみました。

平均寿命と健康寿命の推移

 このグラフからは平均寿命も健康寿命も右肩上がりであるものの、その差はほとんど変わっていないことが読み取れます。つまり寿命自体は延びていますが、動けなくなる時間はそんなに変わっていないわけです。日本はこの平均寿命と健康寿命の差が欧米各国と比べて高いことが知られていますが、男性で約9年、女性で12.5年ほどとなっています。

 つまりこれからは元気に動けなくなる人が増えていきます。ピンピンコロリは難しく、その分だけお墓参りしたくてもできない方のケアは大切になっていくでしょう。

現在の50代から、墓住分離は加速していく

 アンカレッジの方ともよく話すテーマですが、「お墓を購入する時に考慮する条件」として、家から近いことは金額と並んで上位に選ばれます。

 例えば各都道府県や市町村などお墓に対する意識調査は様々な場所で行われていますが、このお墓へのアクセスについては以下のようになっていました。

 ○北海道石狩市:「交通の利便性や自宅からの距離」が2位
 ○長野県佐久市:「自宅からの距離」が2位
 ○茨城県守谷市:「自宅からの距離」が2位
 ○東京都   :「お墓へのアクセス」が3位
 ○埼玉県さいたま市:「自宅からの距離」が2位、「交通の便」が4位
 ○神奈川県横浜市:「自宅からの距離」が3位、「交通の便」が4位
 ○静岡県浜松市:「墓地までの所要時間」が若者・高齢者では1位、子育て・中高年では2位
 ○兵庫県芦屋市:「自宅からの距離」が2位、「交通の便」が3位
 ○香川県高松市:「自宅からの距離」が2位、「交通の便」が7位

 またすでにお墓を所有している方に不満を聞いた質問では、次のように出ています。

 ○茨城県守谷市:「自宅から遠い」が1位、「交通の便が悪い」が2位
 ○兵庫県芦屋市:「自宅から遠い」が1位、「交通の便が悪い」が2位
 ○香川県高松市:「自宅から遠い」が1位、「交通の便が悪い」「駐車場が狭い」がそれぞれ2位

 そして今後は管理するお墓がお住まいと離れている方が、ますます増えていきます。以下は国立社会保障・人口問題研究所の調査(pdf)にあった年代別の生涯引越し回数をグラフ化したものです。

年代別の生涯引越し回数

 こちらを見ると引っ越し経験は50代が一番多いことが分かります(ちなみにこのデータは2016年のものなので、2021年現在ではグラフのピークは右に一つずれているはずです)。

 引っ越し先まで書かれていないので推測は含まれますが、現在の60代以上は生まれた土地に住み続ける方が多かった一方、50代以下はその土地を離れて暮らすライフスタイルが広まったと考えられます。

 そしてこの50代はこれからまさに、親からお墓を引き継ぐ世代です。そうなると確実に墓住分離が加速していきます。

 まあ、こんなデータをほじくり出さなくても感覚的にも分かる話と思いますが、親と離れて暮らす子どもがお墓を任され、慌てる場面は増えていくでしょう。

気候変動により、豪雨や台風が激化していく

 それと世の中で気になる動きにもう一つ。地球温暖化による気候変動の影響があります。次のグラフは気象庁のサイトにあった北太平洋の海面温度推移(1981~2010年の30年平均値との差)をグラフ化したものです。こちらを見ると、海の温度が徐々に上がっていることが読み取れます。

北太平洋の海面温度推移

 近年、台風や豪雨が激化して大きな被害が出ていることは、ニュースなどで見聞きされた方も多いと思います。台風は海面温度が上昇して低気圧が出来上がり、そこに湿った空気が大量に流れ込むことで発生します。そして地球温暖化により、この台風の勢いが増す可能性はあちこちで指摘されています。

 そうなった時、生活への被害も甚大ですが、お墓にも影響は出てきます。いきなり墓石が倒れるようなことはなくても草葉や枝が舞い飛べば、大風の度に墓地は散らかります。水が流れれば土砂も溜まりますし、台風が過ぎるたびにお墓が荒れていないかと心配になる方もいるでしょう。

 いや~。うちはそういうの、住職が全部きれいに片づけているよと言うところは良いですが、共通の通路などはともかく個人のお墓までは手を出しにくく、放置されてしまうこともあります。

 これからの気候変動により、お墓の管理も負担が増していく。これは無視できなくなっていくかもしれません。

ということで、、、

道往寺の手桶

 家事代行などでもよく聞きますが、日本はプライベートな作業を他者にお金で任せることに、外部からの非難が強い傾向にあります。しかし専業主婦が一般的だったころと異なり、夫婦ともに忙しく働いている時代にこんな言葉を投げかけても、本当に必要な当事者を追い詰めてしまうだけです。

 お墓参りも全部自分で行えるなら、もちろんそれが一番良いことは言うまでもありません。ですがお参りや清掃の代行業はイチかゼロの選択ではなく、いつもは自分で行っているけど今年は入院して体調が悪いからお任せしようとか、お墓が遠くて簡単にはいけないから2回に1回はお願いしたいとか、そんな使われ方もされています。

 お墓を面倒ごととして自分から切り離すためではなく、多様な生活に合わせて無理なくつながっていく手段になれば、お墓参りや清掃の代行業にも大きな意味が出てくると思います。

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