お寺の樹木葬が実践している、5つの導入リスク軽減策
ほーりーが顧問を務める、アンカレッジのお寺の樹木葬。こちらが2018年も広がりを見せています。
このアンカレッジはもともと道往寺というお寺の住職が立ち上げた会社で、「檀家さんが少なく、本堂もボロボロになってきたところで、どうやってお寺を立て直すか」ということを考え抜いた末に作られました。
ちなみに現在は伊藤照男さんが社長を引き継いでおり、アンカレッジの会社説明には創業者として載っています。
社長を差し置いてほーりーが顧問として載っているのも気恥ずかしいですが、柏住職のことを紹介した資料を探したら、これが一番分かりやすかったので(念のため書いておくと、柏住職は今もアンカレッジにしっかり関わられていますよ)。
そしてここは赤線でチェックが必要ですが、お寺の住職が作った会社なのでお寺の状況を上向きにさせることはもちろん、事業失敗した時にいかに破綻させないかにもアンカレッジでは最新の注意が払われています。
当たり前の話ですが、何事もノーリスクで上手くいくなんてものはありません。「絶対に成功する」という話があれば、そこにはとんでもないリスク(というより、悪意?)が隠れていると考えて、逃げ出した方がいいくらいです。
これはほーりーの持論ですが、世の中にはやってはいけない失敗が3つあります。
1.致命的な失敗
2.前と同じ失敗
3.やればよかったという失敗
詳しく知りたい方がいたら、こちらをどうぞ。
これ以外はどんどん失敗しようという話は、僧侶研修会などで時々延べさせて頂いているのですが、今回はこの「1.致命的な失敗」に関する話です。
お寺の樹木葬が実践している、リスク軽減策
繰り返しになりますが、お寺にとって何より怖いのは多額の投資が不振に陥り、事業失敗して破綻することです。
そこで荒っぽいお金の使い方で大もうけを目指すより、石橋を叩いてリスクを限定し、次世代までお寺が続くくらいの収入が上がればそれでよい。数あるお墓の形態から柏住職が樹木葬を選択した理由のひとつはここにあります。
そしてその具体的なリスク軽減策は、以下のものです。
スモールスタート
お寺の樹木葬のキーワードとも言える言葉です。小さな面積、小さな投資でスタートし、改善点を洗い出しながら広げていきます。
先日もとあるお寺の方からご依頼があり、ほーりーと伊藤社長で一緒に訪問してきました。すると墓地として考えていると見せて頂いたのは、予想していたよりはるかに広い敷地でした。
しかし伊藤社長からお話させて頂いたのは、「提案できるとしたらこの敷地のまずは一部に樹木葬庭苑を作ること」という内容です。
これは例えば、自動車3台分の土地(42㎡)にお墓を作るのと、15台分(210㎡)に作るのとでは、一基当たりのコストは変わります。
当然と言えば当然ですが、広い面積に一気に作った方が全体費用は圧縮されます。しかしそれでも小さく区切って造成していくのは、その方が様々なリスクを回避できるからです。
売れ残りダメージの回避はもちろん、想定外のトラブル発生時など、スモールスタートは柔軟な対応が可能です。例えば事前調査では問題なかったものの、実際にお墓を作ってみたら意外と水はけが悪かった土地では、第二区画を作るときに一緒に対処することも可能なわけです。
陳腐化しにくい
これは首都圏で顕著ですが、機械式納骨堂が数を増やしています。なぜかと言えば、利益率がとても高いからなんですよね。
例えば以下は、アンカレッジのセミナーで出てきた概算資料ですが、うまく販売されればお寺の粗利益が14億円になったりします。
しかしもちろんこんな風にいくとは限らず、中には大半が売れ残ることも少なくありません。機械式だけに限定した調査ではありませんが、お寺の納骨堂収蔵可能数に対する申し込みの割合として、1/5も売れなかったところが全体の約半数を占めているというレポートもあるくらいです。
つまり何の工夫もなくデータ通りに推移すると、大きなビルを建てても4/5が空きになってしまうケースは十分考えられます(実際にそれで負債を作り、破産したお寺もあります)
そして機械式の大きな欠点の一つは、オープン後にすぐに売り切らないと、あっという間に陳腐化することです。
この分野の技術革新は日進月歩なこともあり、数年経てば時代遅れとなって、ますます売れにくくなるという現実が待っています。
樹木葬の良いところはこうした莫大なリターンは得られないものの、新しい植物を植えながら見栄えを整えていくことが容易で、長く人の目にとどまりやすいことが挙げられます。
初期投資回収主義
上で述べた「スモールスタート」とも関連しますが、アンカレッジではお寺に樹木葬庭苑を提案する時、6~12カ月以内にお寺が初期投資を回収することを大きな目標に掲げています。
これはやっぱり最低でもマイナスを抜け出せるかは、精神的にも大きな分かれ目でしょう。
機械式納骨堂の事例だと8億円ものコストをかけたのであれば、そこに届くまでは胃がキリキリ痛むと思います。そちらと比べればお寺の樹木葬は1000万円以内(それが小さい額だと言うつもりはありませんが)と、初期投資回収までの到達点はぐっと縮まります。
そして実際にプラスになればそれを元手に第二区画、第三区画と着手できますし、そこまで行ってしまえば金銭的には「ノーリスク」と言えてしまうわけです。
地域によってお墓の販売価格は異なるため、どこでも当てはまる数字ではありませんが、「駐車場3台分の土地から1億円の売上」は一つのキャッチコピーです。
駐車場3台分の土地で1億円以上の大ヒット。お寺の樹木葬を改めて紹介
なのでアンカレッジとしても相談を受けたお寺について、立地や周辺住民の人口・世帯特性、墓地開設に対する行政の方針、競合となる霊園数や価格帯などを調査しながら、この「6~12カ月以内にお寺が初期投資を回収できるか」を判断して、提案の土台にしています。
造成代金はお寺が持つ
エンディング産業展でブースに立っていると、時々確認を受ける項目です。お寺の樹木葬は造成費用を1000万円以内(販売に必要な印刷物やウェブ制作なども含む)に抑えていますが、そのお金はお寺から出して頂いています。
これは業者さんによっては「自分たちで持つので、お寺はリスクを背負わなくていいですよ」と仰られるところもあります。
もちろん他人がお金を出してくださるなら、それはそれで良い話です。ですがそこにはお金とは別のリスクが生まれます。
それはお寺の土地であっても、上にあるお墓が業者のものとなってしまうと、あとでどんなに失敗したと思っても、手を引けなくなってしまうことです。
なので樹木葬の設計や販売ノウハウはアンカレッジ(及び、パートナー会社)が提供しますが、金銭リスクはお寺が持ちます。
代わりにアンカレッジだけが独占して販売するという契約もせず、より良いパートナーがいればお寺は業者を変えることができます。
このように軌道修正を行う余地を残しておくことは、永続的にお寺が続いていく上でのリスクを減らす一つの手段です。
販売は宗旨不問とする
これもまたお寺によっては、首をひねるところかもしれません。ですがお墓を販売する対象を宗旨不問で募集することは、大きなリスク軽減策です。
と、いうよりも、最初からうちの宗派の人間にしかお墓を売らないとなってしまうと、ほとんどの人が逃げていきます。檀家になることを条件とすると、マーケティング調査では9割以上が敬遠するとも出ていますし。
つまり最初から宗派限定にすると、それだけでとんでもなく入り口が狭められてしまうわけです。
一方でアンカレッジが大切にしているコンセプトに「お参りしたくなるお墓」というものがあります。これは何かといえば、
○何度でも足を運びたくなる(従来のお墓と異なり怖くない)樹木葬のデザイン
○お墓購入を一つのきっかけとして、お寺自体と関係を結べることを重視
の2点があります。
特に後者について言えば、私が伊藤社長の話で印象に残っているのは、「石材店に布教をさせてはいけない」というセリフです。
お墓の販売を石材店などにすべて任せて入檀まで義務付けてしまうことは、「お前らが仏教を説いて、教えに帰依した相手だけを連れてこい」と言っているようなものです。石材店の方はお坊さんではないですし、それは無理ってものです。
しかしアンカレッジは、「お墓は布教への入り口であり、購入されたことをきっかけとしてお寺が密なコミュニケーションを取る」という方針を掲げています。
そして住職や僧侶がしっかりと顔を見せることで、最初は宗旨不問でも結果的に8割以上の方が、そのお寺で葬儀法要を依頼されています。
これまた機械式納骨堂と比べるのであれば、価格が多少高くてもこだわりを持ったお墓を求められる方は、最初からお墓参りのモチベーションが高い人ということができます。
宗旨不問=無信心な人ではなく、これは信仰への足掛かりを作る方策です。その意味で「お参りしやすい」というコンセプトには、お寺の聖域性を高める場作りにもなります。
ということで、、、
上で書いたことと共通する部分もありますが、お寺の樹木葬のメリットを箇条書きで10個書くと、
○駐車場3台分ほどのスペースで始める、リスクを抑えた導入計画
○男性に嫌われても女性にターゲットを絞ることで得た需要の広さ
○世界レベルの造園家とコラボして作られたデザインの秀逸性
○安売り競争から脱却して生まれた収益力
○お坊さんがしっかりコミュニケーションを取る布教の足掛かり策
○購入者の8割が葬儀法要を依頼する、新たなお寺サポーター作り
○一定期間で合祀墓に移す土地のサイクル活用
○都心部から離島までお墓を作った経験値
○アンカレッジ独自のマーケティング能力と販売ノウハウ
○ほーりーが顧問を務めることで、なんかいろいろ話題になる
などがあります。
そして現在はこのお墓を導入するお寺を積極募集中であり、そのためのセミナーも東京と京都で行われています。
ほーりーもすでに5回以上聞いていますが、樹木葬のみならずお墓全般の状況や世間一般のニーズ、アンカレッジが工夫してきたことやその事例、そして実際に作られた樹木葬庭苑の見学も可能で、とても分かりやすいお話ですよ。
ご興味ありましたら、よろしければぜひ以下のセミナー概要をご覧頂き、お申し込みくださいませ。ほーりーから直接アンカレッジにおつなぎしていきますよ。
ご住職のための永代供養墓セミナー
永代供養墓でお寺の未来を考える住職のための勉強会です。現在進行形で樹木葬墓に取り組み、挙がった成果を取り上げながら学ぶため、実践的な情報が満載です。
○セミナー内容
1.機械式納骨堂? 樹木葬墓? 散骨? 送骨納骨? データで見る最新のお墓事情
2.檀家離れの時代に寺院墓地は売れないのか? データで見る最新の消費者事情
3.いま売れている永代供養墓! 樹木葬墓の見学
4.永代供養墓でお寺はどう変わる? 先行したお寺の住職との懇談
ご参加いただいたお寺様には「とても面白い!」と好評。参加寺院6割から「うちのお寺にも提案がほしい」と無料提案のご依頼が寄せられる好評のセミナーです。
(無料提案は申込順になっておりますのでご了承ください)
日程 : 下記申込みフォームの参加希望日の欄を参照
会場 : 東京(道往寺)、京都(本昌寺)、札幌(TKP札幌)
参加費 : 3000円(参加してみて「情報が不十分」と感じたら、参加費はいただきません!)
参加資格 : ご住職、副住職ほか寺院関係者
【参加者特典】
セミナーご参加の寺院様には、セミナー資料(PDFデータ)と商圏データをプレゼントいたします。さらに、ご希望の寺院様には交通費のみのご負担で、個別にお寺を訪問させていただき、樹木葬墓の無料提案も行っております。
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