みんな、革新性とか柔軟性って大嫌いだよね
ソニー生命が発表した『子どもの教育資金に関する調査2017』が話題になっています。
この中に「子どもに就いてほしい職業ランキング」と「子どもに目指して欲しい理想の大人ランキング」があるのですが、これがとても面白かったので考察してみました。
まず、子どもに就いてほしい職業ランキング。1位・公務員、2位・医師、3位会社員と看護師(同率)です。残念ながら寺社旅研究家はトップ10には見当たりませんでした(当たり前か)。
そしてナンバーワンに輝いた公務員に就いてほしい理由ですが、社会の役に立ってほしいとかではなく、安定しているからという理由が多かったとのことです。
また、子どもに目指して欲しい理想の大人ランキング。一位はイチロー。二位はタモリ、3位は天海祐希と所ジョージ(同率)です。
うーん。この人達を理想としたら、公務員には進まないと思うんですけどね。また同アンケートには、理想の歴史上の人物を聞く項目もありました。一位は坂本龍馬。脱藩して故郷を飛び出した坂本龍馬を目指したら、公務員には(以下、略)。
みんな、革新性とか柔軟性って大嫌いだよね
坂本龍馬が理想とされる理由は、革新性や柔軟性が評価されてとのこと。一方、公務員を求める理由は安定です。これって簡単に言えば、革新性や柔軟性なんて、本当はみんな大っ嫌いということですよね。
もちろん一口に公務員と言ってもいろいろあります。私も自民党観光立国調査会や地域おこし協力隊の研修で講演したりと、様々な方とお会いする機会がありました。
なので公務員であれば将来安泰、定時帰りで安穏とした生活なんて思っているわけではありません(むしろこれからの公務員は、どんどん厳しくなるとすら考えているので)。しかし少なくともこのアンケートで選択された理由に「安定」が選ばれている以上、回答者には大きなものに子どもを寄りかからせておきたい気持ちが強いのでしょう。
公的な身分を捨てた坂本龍馬を理想としながら公務員を求める。本音と建前がこのくらい清々しく同居したアンケートも、珍しいと思います。
ちなみに坂本龍馬時代の脱藩って会社を辞めるとかそんなことじゃなく、イメージ的には抜け忍みたいな命がけのものですからね。
そしてこれだけならブラックジョークですが、こうした空気が日本の教育や進路指導で(ギャグとも思わず)大真面目に語られているのは問題ではとほーりーは感じています。
責任のない場では「夢は大切だ」「未来は輝いている」「人の個性は尊重されるべき」と格好の良いことを言い、具体的な行動選択の場になると途端に「失敗があってはいけない」「大きな組織に入れば安心」「人と同じ道を歩むべき」となってしまいます。
歴史上の人物、1位の坂本龍馬。「新しいことを柔軟に取り入れた人物だから」といった、革新性や柔軟性に関する理由が多かったとのこと。「安定しているから」と言う理由で公務員になってほしいと言う大人たちが、どの口で革新性や柔軟性を説くのかが見ものです。
— ほーりー(寺社旅研究家) (@holy_traveler) 2017年3月18日
まあ、ほーりーも会社を辞めるにあたり、親から勘当されかけています。なので子どもに安定を求める親心もよく分かります(いや、分かっているつもりかも)。とりあえず親とは2年かけて話し合い理解が得られたので、今は良好な関係ですが。
これから子どもに伝えることは、上手なリスクの取り方だ
リスクを取らないことが最大のリスクなんて言葉も、手あかがべったべたにつくほど使われてきました。が、それでも言われ続けるのは、やはりリスクを極端に忌避する風潮が蔓延しているからでしょう。
まあ、公務員や大企業が安定を約束した時代があったのは事実なので、自分たちが職業選択した20~30年くらい前の感覚で子どもに接してしまうのは仕方ないことかもしれません。
ですがお見合いがなくなり、未婚率がガンガン上がって親世代の結婚観が通じなくなっているのと同様、この変化の早すぎる時代においては進路指導も親の希望を押し付けすぎると死亡フラグです。
そこで親や学校がこれから教えるべきことは、人生において破たんまで追い込まれないリスクの取り方でしょう。そのためには自分自身がリスクを経験しないといけないので、これまたハードル高いかもしれませんが。
参考までに、ほーりーの失敗論はこちらをどうぞ。
1.致命的な失敗
2.前と同じ失敗
3.やればよかったという失敗
この3つを避け、後はどんどん失敗しよう。これはもはやこれからの生存戦略です。
まずは自分が身の回りで少しずつリスクを取り、そこから得た経験値を子どもに伝える。可愛い子には旅をさせよです。そうすればきっと、しぶとくたくましい子が育ちますよ。