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テラハクが大々リリース。宿坊開設の敷居がとんでもなく下がります

01.宿坊
 

全国寺社観光協会が進めている宿坊創生プロジェクト。先日、こちらが様々な賞を頂いていることを記事にしました。

和空下寺町と宿坊創生プロジェクトが、いろんな賞を連続受賞!

記事内では

○楽天トラベル 『宿泊者が選んだ厳選5つ星』
○Booking.com 『クチコミアワード2017』
○はなやかKANSAI魅力アップアワード~関西インバウンド大賞~ 『特別賞』
○All About 『専門家が選ぶベスト宿TOP5』

を、紹介しましたが、その他にもじゃらんnetのユーザーが選んだクチコミ宿ランキングで「部屋部門2位」「総合3位」も獲得していたようです。記事を読まれた全国寺社観光協会の方から教えて頂きました。

じゃらんネットクチコミ宿ランキング

うーん。快進撃は続きそうですね。

しかし一方、こちらの和空下寺町は数億円レベルで新しい建物を建てたプロジェクト。これから奈良の法隆寺近くでも第2弾が計画されていますが、全国どこでも生み出していくには巨大すぎます。

2016年12月に宿坊開設を検討している寺社の方が集まった『宿坊スタートアップミーティング』を開催した時も、宿坊創生プロジェクトの説明に対して参加されたお寺の方から「もっと個別寺院が参入しやすい、小規模な取り組みはできないものか?」という質問が出ていました。

宿坊スタートアップミーティング開催。熱い質問が飛び交いました!

ブログ内の該当箇所を抜粋すると

ただし現状、一日一組など小さな宿坊への対応が難しいのはお伝えしておかなければならない項目です。これは旅館業法との絡みによりますが、人口密集地などではたとえ一部屋だけ宿泊施設にしたいと考えても、防火設備だけで数千万円かかることがあります。

そうすると小さな規模では初期投資を回収できず、ある程度の宿泊人数&それが埋まる立地でなければ宿坊が建てられません。

特に現在はまだ来年3月でようやく一軒目がオープンと、冒険のできない(というか、建てるだけで十分冒険)段階です。これが数年経ってノウハウやブランドが確立し、地方にも宿坊が建てられるようになれば状況は変わってくるでしょう。

そしてこの時から何より大きく変わったのは、民泊新法のスタートです。2018年6月の解禁を前に、先日から事業者の登録受付が開始されました。

Yahooニュースに掲載されていた朝日新聞の記事によると

昨年成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づき、民泊を営みたい人は、氏名や住宅の所在地などを都道府県などの窓口か専用のサイトで届け出る。東京都新宿区の窓口には13組が訪れ、必要書類や申請方法の確認をした。

とのことです。

そして宿坊創生プロジェクトでもビッグニュースが飛び出します。民泊仲介サイトとして大きなシェアを誇るエアビーアンドビーの提携が発表されました。

こちらは日経新聞の記事ですが、以下のように書かれています。

宿坊情報サイトを運営する和空(大阪市)は13日、米エアビーアンドビーと宿坊の予約で協力すると発表した。和空は予約サイト「テラハク」を近く立ち上げる予定で、宿坊の情報をエアビーのサイトにも載せて集客する。

(中略)

テラハクは民泊法や旅館業法などで運営が認められた宿坊を載せ、宿泊者から手数料をとる。民泊法の施行に向け自治体が物件管理者などの届け出の受け付けを始める15日から、サイトに掲載する。東京海上日動火災保険と組み、仏像などを壊した場合に使える「テラハク保険」も提供する。

和空下寺町のようにドドンと建てるのではなく、既存の建物や部屋を活用し、小規模な民泊型の宿坊開設をサポートする。

これが広まって日本各地のお寺に泊まれるようになったら、宿坊研究家としてはパラダイス状態ですね。今でさえ行きたい場所がたくさんあるのに、100人くらいに分裂しないと追い付かなさそうです。

テラハクとはいったいどのようなものか?

テラハクについては、先日発行されたばかりの『寺社Now Vol.18』が圧倒的に詳しいです。こちらの説明によると「民泊の準備から運営面に至るまでフルサポートする」と書かれています。

概要を箇条書きで抜き出すと

○テラハクのシステムは、宿泊施設に関わる企業の集合体
○行政への届け出、保険加入、宿泊前対応、人の雇用などもサポート
○一般住宅を前提とした民泊支援サービスと異なり、全て寺院に特化した内容

というものになっています。

テラハクのシステム

オープン前と後に分けると、こんな感じです。

テラハクの対応図

そして、なんと。このテラハクには滋賀県の園城寺(三井寺)が参加することも発表されました~。天台寺門宗の総本山、琵琶湖を見下ろす山の中腹にあり、多くの国宝や重要文化財を有する名刹。

天智・天武・持統天皇誕生の際に 御産湯に用いられたという霊泉があることから「御井の寺=三井寺」と呼ばれるようになったお寺です。ほーりーもお参りしたことがありますが、めちゃくちゃ荘厳な境内ですよ。

園城寺(三井寺)

うぉ~、こんな場所に宿泊できたら、これはちょっとやばすぎですね。考えるだけでワクワクが暴走します。寺社Nowはネット上でもダウンロードできるので、ご興味ある方はこちらからどうぞ。

寺社Now Vol.18

改めて述べてみる、お寺の宿坊開設メリット

お寺が宿泊業を営む。宿坊自体は平安時代に原型が生まれ、江戸時代に大きく花開いた形態です。しかし現在のスタンダードなお寺やお坊さんで、不特定多数の人を宿泊させるとなったら戸惑われる方も多いでしょう。

というよりも、お坊さんが持つ知識やスキルと宿泊運営のノウハウは、実際に宿坊に務められていたとか、典座寮で料理を作られていた方などを除けば別物です。

ほーりーがこのブログで何度も書いている、埼玉県の大陽寺や鳥取県の光澤寺の住職などマルチタレントな方もいます。ですがこうした手に入れなければならない技術の多様さが、ブームと言われながらも宿坊の数が少しずつ減っていた要因でもありました。

しかし宿泊運営を手軽にプロに任せられるようになったら。これは状況が一変します。

大陽寺の法話

まずは何よりわざわざ宿坊を選んで泊まりたいという方は、仏教を伝える上でも親和性の高い方です。坐禅や写経に関心があったり、お坊さんの話を聞いてみたい、生きる上でヒントになるものを探していると言った、お寺と相性の良い方が集まります。

参考:宿泊者が涙した宗元住職の法話は、宿坊で仏教初心者と話し続けた産物

そしてこうした方と向き合うことは、お坊さんにとっては本領発揮です。宗教と宿泊の役割を分担することは、宿坊を開設する上ではとても合理的な選択肢と言えるのではないでしょうか。

さらに現在はお寺がこれからどんどん放置・あるいは消滅していくとも言われています。特に人口流出している地方寺院ではそれが顕著ですが、宿坊はこうした流れへの(すべてのお寺を救うなどという大それたものではありませんが)対抗策に成り得ます。

特に民泊は地域によって日数は変わりますが、最大で年間180日までと制限が設けられています。これはお寺にはむしろ有利な話で、お盆やお彼岸など忙しい時期は宿坊を停止し、時間の空いているオフシーズンにのみ宿泊者を受け入れることが可能です。

テラハクでは一年に一日だけ宿泊を受け入れることも可能と書かれていますし、お寺にとってもいきなりフル稼働させるよりは、最初はお試しで徐々に日数を増やした方がスムーズに動き出せるでしょう。

そして究極的には宿坊は、お葬式を補完する仕組みにもなっていきます。ほーりーもお坊さんの前で講演させて頂くと、「お寺としてやりたいことは、やはり法要なんだよ~」などと言われることもありますが、宿坊がお寺へのファーストコンタクトの場になれば、家に帰ってから地元のお寺に足を運ぶ方も出るはずです。

テラハクはまず全国300カ所の登録を目指しているので、これは数字だけで考えれば日本にある宿坊数が2倍くらいに増えることを意味します。

今ある宿坊って高野山や善光寺など、大きなお寺に固まっていることが多いので、県によっては一つもないところだって少なくありません。

そこに宿坊が広がり、お寺に足を踏み入れる経験やお坊さんと話す機会が生まれれば、日々のお参りはもちろん、仏前結婚式やお葬式の意義見直しも進みます。宿坊と言うと新しいものに捉えらえるかもしれませんが、大きな流れになればお寺本来が大切にしていた価値観や伝えたいことにも反映されていく。ほーりーはそのように予想しています。

ということで、、、

テラハクは民泊が解禁される6月からスタートしますが、現在は宿坊開設を検討しているお寺の事前登録を受け付けられています。

もちろん事前登録したからと言って必ず宿坊を作らなければならないわけではありませんし、そもそもテラハク側の話も聞かなければ動くことは難しいでしょう。

そこでまずご興味ある方は、情報収集の意味も兼ねてテラハクのサイトをご覧いただき、事前登録を行われてみてはいかがでしょうか?

テラハク(事前登録受付中)

2018年はお寺にとって、とんでもないターニングポイントになるかもしれませんよ。

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園城寺(三井寺)

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