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浄土真宗の宿坊が、これからどんどん増えそうな件について

01.宿坊
 

民泊が始まって開設のハードルが下がり、ますます盛り上がる宿坊界隈。その中でも一つ、面白い動きがあるのが浄土真宗です。

日本でも一番お寺の数が多い宗派ですが、以前にほーりーが調査したところ、主要宗派の中では宿坊数が最少でした。

宿坊に一番熱心なのは天台宗で、関心薄いのは浄土真宗

上記の記事で紹介したグラフがこちらです。

宗派別宿坊数

なお、数の上では真言宗が一番多いですが、宿坊数/寺院数で計算すると天台宗が最大ポイントです。まあ、この宿坊率でも、浄土真宗は最下位だったわけですが。

しかしこれから浄土真宗の宿坊は、増えていくかもしれない。いろんなお坊さんと話していると、ほーりーにはそんな予感が生じています。そこで今回は浄土真宗の宿坊事情最前線をレポートします。

東本願寺で一般の方を泊めるイベント開始

東本願寺宿泊イベント

まず最初に京都にある真宗大谷派の本山・東本願寺で、誰でも泊まれる宿泊イベントが立ち上がりました。

こちらは常設的に人が泊まれる「宿坊」ではありませんが、『東本願寺に泊まって学ぶ親鸞講座』という企画が作られ、2015年から続いています。

このイベントはもともと同宗派の研修施設だった同朋会館を、もっと広く大勢の方に開きたいという意向から生まれました。

そしてこの親鸞講座が始まる前に、一般の人を受け入れるメリットやリスク、運行に当たって気を付けるべき点の整理役としてほーりーが呼ばれました。

お寺を開くことは本質を磨く力になる。東本願寺でお寺活性講演をさせて頂きました。

その後、この親鸞講座は好評で、京都だけでなく名古屋にある別院(東別院さん)にも飛び火しました。同朋会館の担当者から名古屋のお坊さんも紹介され、こちらの宿泊イベント『おてらいふ』も告知をちょっとお手伝いしています。

宿坊作りのトップランナー・鳥取県の光澤寺

時系列で言えば東本願寺の親鸞講座より先ですが、鳥取県の光澤寺に宿坊が誕生する前、住職から相談を受けたのもほーりーでした。

こちらは2012年にオープンし、ほーりーも宿坊をテーマにした講演では以下の資料で何度も紹介しています。

光澤寺の事例

そしてこの光澤寺は現在、宿坊開設を検討するお坊さんにとって、一つの理想形にもなっています。

過疎の町で小さなお寺が宿坊を開くモデルとして、一般の人が仏教にふれるファーストコンタクトの場として。あるいは人生に悩む人の駆け込み寺や地域活性の拠点としても、浄土真宗のみならず、さまざまなお坊さんが視察に訪れています。

宿泊者が涙した宗元住職の法話は、宿坊で仏教初心者と話し続けた産物

住職が宿泊者と一緒に食事を取る形式は、もはや光澤寺スタイルと言ってよい独自の仏教伝道でしょう。

熊本地震を乗り越えた了廣寺

了廣寺の小林智征住職

今年に入って宿坊を誕生させたのは、熊本県の南阿蘇村にある了廣寺です。

こちらは宿坊作りに着工した途端に熊本地震が発生し、客室に使おうと考えていた庫裏が半壊しながらも立ち直った不死鳥のようなお寺です。

熊本地震で半壊した庫裏を宿坊によみがえらせた、了廣寺の奮闘記

その経緯は上記の記事にまとめましたが、簡単に紹介すると

○宿坊作りに取り掛かり、リフォームのための足場が組まれたところで熊本地震が発生
○宿坊オープンは2年も延期され、予算も200万円から700万円へと大幅に増加
○それでも住職が図面起こしや大工仕事、行政への書類申請などを全て行う奮闘により、宿坊オープン

そしてこれからの方向作りに相談に乗ってほしいとほーりーが呼ばれ、アイディアを一緒に練りこませて頂きました。

さらにその時に小林住職が仰られていたのが、これまでほーりーが書いた宿坊の本やブログを見て、宿坊作りを決意したという嬉しいお話です。

そして、浄土真宗のお寺からは宿坊作り相談が相次ぐ

ほーりーは現在、さまざまなお坊さんから宿坊作りの相談を受けていますが、その中でも浄土真宗のお寺は多いです。名前を出せるところだと、大分県中津市の長仁寺さんですね。

こちらにも昨年お呼び頂いたので、宿坊作りを中心に様々な相談を受けてきました。

大分の長仁寺で、家族の対話にほーりーが飛び込みました

また先日には、宿坊を開設する前に実際に誰かに泊まって頂きたいというお話があり、モニター募集もお手伝いしています。

大分の長仁寺が宿坊モニター募集中! お寺に無料で泊まれるよ

こちらもほーりーのブログを見た方の中で手を挙げられた方がいたと、江本副住職からご連絡頂きました。

他にもちょっと前にネットミーティングで相談に乗ったお坊さんも、浄土真宗の方でした。ほーりーの画像処理が下手で、右側の魔界から迫る使者みたいになってしまった方がそのお坊さんです。

ほーりーとお坊さんのネット会議

浄土真宗の僧侶研修会では、お寺に泊めて頂くことが多い

お坊さんにとって面倒くさい講師ナンバーワンのほーりーですが、日帰りできない距離で講演を引き受けた時は、可能ならお寺に泊めてくださいといつもお願いしています。

だってその辺のホテルに泊まっても、宿坊研究家としては楽しくありませんからね。やはりお寺に泊めて頂くのは、極上の時間です。

そしてそんなアホなお願いを福井、長崎、鹿児島のお寺さんが、それぞれ快く引き受けて下さいました。以下の記事は西本願寺鹿児島別院に泊めて頂いた時のものですが、めちゃくちゃ贅沢な空間でしたよ。

ほーりー呼ぶなら立派なホテルは不要です。お寺や神社に泊めてください

さらにこうして気が付いたことですが、日本各地から布教師さんを呼んで法話会を行うことの多い浄土真宗のお寺は、宿泊できる部屋が備わっていることも多いです。

浄土真宗のお寺の客室

でも、最近はホテルに泊まることが多くてあんまり使ってないね~という意見を聞いたりもして、それならぜひ宿坊に生かしていく手があるのではと強く思いました。

浄土真宗系のメディアにも声をかけられる

こうした流れを受けてか、浄土真宗関連のメディアからお声がけ頂くこともあります。『浄土真宗の法話案内』というサイトでは、この真宗と宿坊の可能性についてがっつり書かせて頂きました。

初心者と熟練者が混ざりにくい浄土真宗の教えの特性

こちらの内容をまとめると、以下の通りです。

○浄土真宗は他宗より、宿坊が少ない
○お聴聞は坐禅と比べて、初心者と熟練者が混ざりにくい
○初心者が教えにふれやすくなる宿坊は、浄土真宗と相性が良い

そして今月から南御堂さんが発行する『南御堂新聞』でも、ほーりーは連載を持たせて頂くことになりました。

南御堂新聞の連載

南御堂は大阪の中心部にあり、山門一体型ホテルの開発に着手して注目を集めているお寺です。こちらでは以前に講演もさせて頂きました。また今回の連載は「お寺のコミュニティ作り」が主要なテーマですが、宿坊についても書かせて頂こうと考えています。

ということで、、、

その他、宿坊作りの勉強会『宿坊スタートアップミーティング』にも浄土真宗の方は来られましたし、宿坊開設に興味を持たれている方は他宗派と比べても増えている印象です。

また、以前に浄土真宗は仏前結婚式を広げていくと良いのではという記事も書きましたが、リゾートウェディング的に宿坊と組み合わせることも可能かなと感じています。

浄土真宗が仏前結婚式で他宗派よりリードしている点まとめ

そんなわけでいろんな未来が開けていきそうな、浄土真宗の宿坊事情。これからの展開は注視していきたいです。

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浄土真宗のお寺の客室

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