宿坊オンライン内覧会で3ヶ寺住職が口にする地方寺院の危機意識
1/27(水)に、去年後半から今年にかけてオープンした宿坊のオンライン内覧会を開催します。
こちらでは福井県・安楽寺、京都府・海蔵寺、山口県・二尊院の住職にご案内頂き、宿坊の設備や開設までの試行錯誤を語ってもらう予定です。
そんなわけで、先日。この3ヶ寺住職&ほーりーで、事前ミーティングを行いました。
住職同士で面識ない方もいたので顔合わせと、当日の進行や話す内容についての確認ですが、これがものすごく面白い話でした。
なので『宿坊オンライン内覧会』の予告的な記事として、今回はこの事前ミーティングの内容を紹介します。
宿坊3ヶ寺住職が口にした地方寺院の危機意識
今回ご登壇頂く安楽寺、海蔵寺、二尊院は、それぞれ以下の点で共通しています。
○日本海側にあり、過疎地や人口減少地域という立地
○都心部から離れていて、アクセス面では便利とは言えない
○檀家さんが少ない(あるいはいない)
○住職やその家族のみの小さなお寺
こうした条件のもとにあるため、今回のミーティングで各住職が声をそろえてお話しされていたことは、お寺を長く存続させるために宿坊を作ったということでした。
もちろん宿坊さえできれば、お寺が安定して存続できるわけではありません。ですがそのための有望な仕組みの一つであると考え、それぞれの地でチャレンジされています。
これはほーりーが様々な講演で話したり、月刊住職などで書いてきたことですが、お寺社会の収入源は檀家さんからのお布施が8割程度と、一つの柱に特化し過ぎてきました。
そこでお城の石垣のように大小様々なパーツを組み合わせてお寺を成り立たせる『石垣型のお寺設計』というものを提唱しています。
これは宿坊だけに限りませんが、仏前結婚式や永代供養、セミナーや祈願祈祷など、布教と経済両面からお寺を支える仕組みを増やしていく取り組みです。
もちろんこれまで通り、お寺を支えて下さっている檀家さんや信徒さんは最大限に大切にしていくべきです。ですが人口が減少していく状況下においては、欠けていく部分を補う新しい仕組みも必要になります。
海蔵寺の天野住職のご意見として「宿坊を運営していくことによって、お寺も護持会も裕福にならないといけない」というものがありました。
宿坊の収益がお寺を支える構造になれば、それは檀家さん達の負担軽減にもなります。
宿坊が生まれることでお寺の関係者みんなにもメリットがあるなら、それは一つの理想形と言えるでしょう。
コロナ時代の宿坊について
それともう一つ。このコロナ禍で宿坊が始まったことを、どのように感じているかも伺ってみました。二尊院は2020年8月、海蔵寺は12月に宿坊開設。安楽寺に至っては2021年1月と緊急事態宣言真っ只中の状況でスタートしています。
ほーりーは2年ほど前から二尊院さんと宿坊開設プロジェクトでご一緒させて頂いていますし、他の二ヶ寺からもそれぞれ準備段階からお話を伺ってきました。そして当初はコロナで世の中がこんな状態になるなど、思ってもいませんでした。
ですが安楽寺の杉本住職のご意見としては「最初の時点でいきなり人がたくさん来るとオペレーションが混乱するので、現在のコロナ禍は宿坊の基礎固めをするのに良い期間」とのことでした。
先に述べた『石垣型のお寺設計』で言えば、宿坊はお寺にとってはあくまで小さな石の一つです。なのでお客さんが少なくても深刻なダメージにはなりません(逆に言えば、そのくらいの余裕があるうちに宿坊を始められたということでもあります)。
そして長期的にはコロナによって、以下の点で宿坊の存在感が増すというのがほーりーの意見でもあります。
○短期的には「三密回避」
○中期的には「宿泊価格の上昇」
○長期的には「平日&長期滞在の需要が増す」
現在は檀家さんの葬儀や法要など本業(と、いう言い方が正しいかは別として)をしっかり行いながら、宿坊の形を整えていくことが未来に向けての布石となるでしょう。
ということで、、、
そんなこんなで現在はあれこれと、宿坊オンライン内覧会の準備を行っています。こちらは宿坊を開きたい寺社や関係者のためのセミナー形式となりますが、もしもご興味ある方いましたらお知らせくださいませ。
【宿坊オンライン内覧会】
日時 :1/27(水)15~17時30分
参加費 :無料
なお、3ヶ寺の紹介や企画詳細は以下の記事にまとめていますので、こちらもご覧ください。