健康に寄与することは、これからお寺が生き残る一つの道
2018年9月8~9日は、面白い日でした。鎌倉・建長寺で『Zen2.0』、東京・金剛院で『ココロとカラダの健康塾』というイベントが、両方とも2日間かけて開催されました。
そしてそれぞれの関係者から遊びにおいでと誘われて、ムムムと悩む。ついでに言うと『寺社コン』も8日に企画しており、残念ながらほーりーの身体は一つしかないので全部行くことにしました。
鎌倉・松戸・豊島区と移動しながら、ついでに先日新たに建立されてニュースになった池袋大仏もお参りしてみたり。
そしてこの寺社旅ツアーから見えてきたものがあったので、紹介します。
Zen2.0とココロとカラダの健康塾
それぞれのイベントから見えてきたもの。それは『石垣型のお寺設計』で新たなパーツと成り得るモデルです。
石垣型とはお寺を大小様々なパーツで成り立たせる分散型の方策。お城の石垣になぞらえ、檀家さんからのお布施以外にも経済&布教両面で支える仕組みを持つことで、お寺は安定していくとほーりーは考えています。
詳細は以下をどうぞ。
それで今回の『Zen2.0』と『ココロとカラダの健康塾』。それぞれ共通しているのは、健康をテーマにしていることです。
Zen2.0とは
『Zen2.0』は「一般社団法人Zen2.0」によって運営されているマインドフルネスの国際フォーラムです。
鎌倉の建長寺で行われ、お坊さんやマインドフルネスの活動家、各分野の著名人などが講師となり、2日間で37のプログラムが用意されていました。
主な内容は坐禅や瞑想などの実践といくつかのテーマを設けたトークセッションです。脳科学、幸福學、人工知能など、マインドフルネス周りで語られるテーマが多数並んでいました。そしてタイムテーブルに組まれたプログラムの中から好きなものを選んで参加する形式です。
お寺界隈の人だと、寺社フェス『向源』みたいな感じと言えば、伝わる方もいるでしょうか。
そしてほーりーが驚いたのは、チケット料です。初日は15000円、2日目は17000円。2日券だと22000円となっていました。
鎌倉五山の第一位である建長寺を会場とし、多くの講師が集まっているとはいえ、ものすっごい強気な価格です。ちなみにAKBの総選挙はチケット17600円なので、金銭面で言えばこのくらい熱狂的な人を惹きつけているということですね。
ちなみに会場は超満員でしたよ。ほーりーが参加できたのはオープニングセレモニーと最初のパネルディスカッションだけですが、200人くらいは集まっていたんじゃないでしょうか。
ココロとカラダの健康塾とは
一方の『ココロとカラダの健康塾』。こちらは先日、ブログでも紹介しましたが、「一般社団法人寺子屋ブッダ」が主催するお坊さんと医師がタッグを組んだコラボレーションイベントです。
こちらはZen2.0ほど大掛かりではありませんが、2日間で6人の講師が順番にお話していく形式でした。
ココロのパートでは「自分を認める」「他者を認める」「良きつながり」を、カラダのパートでは「食」「運動」「休息」がレクチャーされます。
そして、最後に茶話会(シェアリング)もありました。
なお、参加費は1日4000円。2日だと8000円です。こちらもそこそこ良い金額ではないでしょうか。
ワンコインからの脱却には、普遍テーマとの連携が鍵
『Zen2.0』にしろ、『ココロとカラダの健康塾』にしろ、コスト面も考慮すれば大もうけとはいかないでしょう。
ですがそれでもほーりーがお寺を消耗させる一つの原因と考えている、収益性を度外視したワンコインイベントからは脱却しています。
で、あれば繰り返しながらブラッシュアップすることにより、収益性を高めることも期待できます。
そして両者に共通していたのは、普遍テーマとうまくつながっていることです。この『普遍テーマ』とは何か。それはほーりーが勝手にそう呼んでいるだけですが、人間ならほぼ誰もが悩みを持つ3つのテーマです。
ほーりーは宿坊研究会を始めたばかりの頃、取材を受けるたびに「こんなに若い人が来るとは思わなかった」と言われました。
まあ、まだ20代の頃の話でそこは差し引く必要がありますが、それでも寺社巡りは年配の趣味と思われていたわけです。
そこで普遍テーマの一つとして、私は愛情に目を向けて寺社コンを始めました。まだお寺で婚活なんて罰当たりと言われた時代から、参加費を4000円にしても多くの方が参加されています。
しかしこれからの長寿・高齢化社会においては、健康こそ多くの人が関心を持たざるを得ないキーワードです。
そこにしっかりとアプローチできるものを作れば、お寺にとっては布教にも収入にもつながるものになっていくでしょう。
ということで、、、
ちなみに普遍テーマの最後の一つ「お金」については、宿坊が最先端で進んでいますね。
これまであくまで趣味の一つと思われていたものが、インバウンド(訪日外国人旅行者)需要の高まりによってビジネス面にも目が向けられたことで、経済界はもちろん政治分野まで大きく動き始めました。
参考:『産宗官』の重要性。これからの寺社が押さえるべきキーワード
また、年間参拝者数3000人から15万人にまで増えた長福寿寺は、金運を全面に掲げて注目されたお寺です。
参考:檀家さんからのお布施は8%、過疎のお寺を救う長福寿寺モデル
ということで、『Zen2.0』や『ココロとカラダの健康塾』がどのように展開していくか。これからの動きには要注目ですよ。