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100年後に過疎寺院が盛り上がる未来を夢想してみた

このところ、ほーりーの周りでは「過疎地にある寺社は潰れていくしかないのだろうか」という悲観論をよく聞きます。

お坊さんや神主さんからは

○将来の見通しがまったく立たない
○寺社の収入が激減してきた
○子供には継がせられない

という声も、ちらほら耳にします。

やはり大きな原因は、地方から目に見えて人がいなくなっていることです。そこで総務省のデータを見てみたら、2017年から2018年にかけて人口が増加している都道府県は、東京、愛知、埼玉、神奈川、千葉、沖縄、福岡のみでした。

都道府県別人口増減数

上のグラフは、人口増減数のトップ10です。一目で分かる通り、増加の大半は東京とその近郊です。その他にちょこっと、愛知(名古屋)や福岡(博多)も増えています。

ちなみに人口増加7都県のうち、沖縄だけが自然増(出生数-死亡数)プラスです。その他は全て社会増(他県からの転入数-転出数)によります。

お坊さん方も当然ながらこうした数値は把握していて、私のところには「うちの市町村は人口減少率が全国でもワースト○位なんですよ」なんて話も飛び込んできます。

東京はこのままブラックホールであり続けるのか?

地方ほど檀家さんの流出や墓じまいが多く、苦境に陥っている。これはある程度、お寺社会の共通認識でしょう。

そして上のグラフで見た通り、この流れは終わりそうもありません。なので直近で過疎地域の寺社に対してほーりーが提案できるのは、やはり宿坊です。

昨年は熊本県の南阿蘇にある了廣寺さんや、青森県の大間にある普賢院さんが宿坊をオープンしました。この二ヶ寺はどちらも過疎中の過疎にあるようなお寺ですが、それぞれのお坊さんにお会いしたところ、どちらも手ごたえをつかまれているようでした。

熊本地震で半壊した庫裏を宿坊によみがえらせた、了廣寺の奮闘記

また宿坊ではありませんが、氏子さんが1/300まで減ったところから立て直した、奈良の葛木御歳神社のような場所もあります。

過疎にある荒廃した神社をよみがえらせた東川優子宮司の挑戦

しかし宿坊やスター僧侶・神主さんだけで、全ての寺社を成り立たせることは不可能です。やはり周りに人がいない場所ほど、寺社の存続という観点ではハードル高くなりますし。

ですが未来への希望がないと、やる気はどんどん失われていきます。そこで今回は100年後には、東京が日本一の人口を誇る時代は終わっているのではという話をしてみます。

これから東京を地方が飛び越える、リープフロッグ現象

木造の恐竜

ほーりーは諸行無常を強く信じています。それは現在の東京一極集中においても、例外ではありません。

例えばほんの150年前、日本で最も人口が多かったのは新潟県です。その要因は当時の主産業である稲作に適した土地であったことと、太平洋より日本海の方が穏やかで海運輸送に適していたためです。

しかし工業化が進んで道路や鉄道も発達すると、新潟のアドバンテージは消えていきます。これは日本という国の中で起こったリープフロッグ現象です。

「リープフロッグ(直訳すると、蛙飛び)」とは、社会インフラが整備されていなかった国において、先進国が新技術導入に調整を要している間にそれを飛び越えて一気に発展してしまうことです。

戦後の焼け野原から日本が急速に発展したことや、その後ある程度社会基盤が整ってしまったら、アジア諸国に追い抜かれているのもこうした事象です。

そのミニマム版とも言えるのが、新潟から東京への人口移動です。新潟も北前船が最強の輸送手段であったため、それを飛び越えた発展にはついていけませんでした。同様に東京もいずれ、地方のリープフロッグに追い抜かれていきます。

そしてその萌芽を、ほーりーは木造建築の技術革新に見ています。

木造技術の発達は、東京から地方への人口逆移動につながる

先日、ブログに以下の記事を書きました。

技術革新が進む木造建築の普及で、寺社の聖域性は増していく!

内容を簡単にまとめると、

○CLT(直交集成板)が生まれたことで、木造建築の強度が飛躍的に高まった
○木材は環境への負荷が少なく、人体に優しく、コスト低下も進んでいる
○寺社は積極的に木造建築を取り入れてみてはどうか?

というものです。

さらにこうした流れを見ていると、近未来においては東京よりも住みやすい街が地方にバンバン生まれるのではという予感もしています。

住友林業の木造建築

住友林業株式会社は2041年を目標に、高さ350mの木造超高層建築物を実現する『W350計画』をまとめました。

これから数十年かけて、都心部のビルは木造建築が増えていくでしょう。実際に東京オリンピックの会場となる新国立競技場も、木材を多用する計画が示されました。

そしてこうした流れで培われた技術は、ビルだけでなく都市全体の木造化へと進みます。

株式会社大林組はあくまで構想案的な話ですが、『LOOP50』という街全体を木造化する都市計画に近いものを発表しています。

直径650~800m、高さ80~120mの巨大な木造建築を建て、5500世帯、約1万5000人が暮らす集合住宅を中心に、オフィスや商業施設、学校、病院、ホテルなどの機能を備えた都市機能を有します。

そして私が面白いと感じているのは、それを森林に囲まれた中山間地域に建設するという、立地の選択でした。

都心部のビルを街ごと建て替えるのは、技術うんぬんよりも利権者との調整の方が時間がかかります。

しかし周辺に木材がふんだんにあり、もともと人が住んでいない場所であれば、木造都市を丸ごと作ってもへたな人口密集地よりも手がかかりません。

そこに遠隔地をつなぐバーチャルオフィスの発達や、自動運転・ドローンなどの活用により、輸送コストも下がるなど、未来の技術がフル活用されれば、現在は東京に来ないと得られない利便性や経済性も確保可能でしょう。

すると快適な住空間を突き詰めた場合に、自然豊かな広い土地が選ばれる可能性は、それほど突飛だとも思いません。

現時点ではSF的だとしても、東京から山間部への人口逆移動は歴史の繰り返しとすら言えるわけです。

まあ、仕事があるから東京に来る人はたくさんいても、満員電車に魅力を感じて東京に住む人は、そんなにいないだろうという話です。

ということで、、、

こうした木造都市が地方や過疎地域に生まれていった場合、私はそれまで地元に根を張っていたお寺や神社は、新しいコミュニティ拠点になっていくと考えています。

もちろん無条件に檀家さんになってくれるわけではなく、そこから先は寺社の力が試されますが、今よりずっと存続しやすい環境が生まれる可能性はあるわけです。

特に現時点で林業のイノベーションが盛んな地域は、将来的に可能性がありそうです。ほーりー的には北海道・福島・群馬・岡山・高知辺りは推したいところです。

まあ、あまりに先の話なので、答え合わせができる頃にはほーりーも(こちらを読んでくださっている方も)、この世にいないかもしれませんが。それでもお寺の住職であるならば、3年、5年先はもちろんのこと、100年単位で先を見据えることも必要でしょう。

自分の時代ではないかもしれないけど、またこのお寺に新たな役割が生まれると思ってもらえれば、今は虚しさでいっぱいの方も少しは希望が湧くかもしれません。

そんなことを願いながら、今回はほーりーが夢想している過疎寺院周辺に人が集まる未来を語ってみました。

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