お坊さんのかっこよさが再発見される『回し読み法要』
このところ、千葉県にある本光寺さんと一緒に、月に一度変わった法要を行っています。
○1月19日(いい休暇の日)は「有給休暇取得祈願法要」
○2月14日(二人一緒の日&バレンタインデー)は「告白先延ばし禁止法要」
○3月15日(財布守護の日)は「衝動買い抑制祈願法要」です。
現状維持や周りの空気に乗せられてしまう心と縁を切ろうと、『縁切り寺プロジェクト』の一環として企画しました。
ちなみに4月は「学歴フィルター防止祈願法要」、5月は「連休明け頑張りすぎ防止法要」、6月は「副流煙根絶祈願法要」を行います。まあ、ネタ的なところはありますが、それだけに法要にも様々な実験を加えています。
参列者がお経をソロで唱える『回し読み法要』
そして今回、やってみて面白かったのは、参列者にお経を順番にソロで読み上げて頂く法要です。そもそもほーりーの中では、法要って後ろでお経を聞いているだけだと、退屈しやすいと思う気持ちがありました。
お坊さん方が一生懸命に読経されている中では大変申し訳なく思うのですが、30分くらい座っているだけだと、さすがに待たされ感が強いんですよね。
なので途中でお焼香などのアクションがあったり、一部だけでもお経をみんなで読む法要が個人的には大好きです。そこで今回はその参加要素をさらに発展させてみました。
題して『回し読み法要』。参列者に取っては責任と緊張が強いられる、マゾ型の法要です。
『回し読み法要』には、口パクが通じない
今回、ソロパートとして本光寺の尾藤住職が用意して下さったのは、『妙法蓮華経 陀羅尼品 第二十六』です。こちらはインドから中国に伝わった時、翻訳できずに音写して読まれたものと教わりました。
しかしそれだけに呪文のように唱えられ、悪いものを払う縁切り法要にはぴったりとのこと。そこで配られたプリントを見ながら、みんなで一節ずつ順番に読んでいきます。
そして実際にやってみて感じたのですが、自分の番に回ってくると、思いっきりあたふたします。この感覚はお坊さんには伝わらないかもしれませんが、そもそもどんなスピードで読めばいいのか、区切る場所や抑揚、リズムも素人には分かりません。
お経を読むとき、お坊さんに先導してもらうことがほとんどのほーりーの場合、分からない時は「あー、うー」と唸ったり口パクしながら雰囲気で誤魔化します。
しかーし、ソロで読むとそれができません。とりあえず住職の「下手でも間違ってもいいから気にせず大きな声を出しましょう」という言葉を免罪符に、声を張り上げるしかないわけです。
『回し読み法要』の3つのメリット
しかし不思議なもので、一度こういう体験をすると、お経に対する想い入れも変わってきます。そこで実際にやってみたこの『回し読み法要』の面白さを3つ挙げると、以下の通りです。
法要の緊張感が増す
これはもう何千回もお寺に出入りしている、ほーりーだからかもしれません。お葬式以外で人生で初めて法要に参列したのは宿坊での朝のお勤めだったと思いますが、その時はめちゃくちゃ感動しました。
しかし慣れとは怖いもので、最近はどうしても飽きが出ます。もう純粋なあの頃の私には、戻れないのかもしれません。
そこでソロで読む場面があると、緊張が一気に増します。自分の番が来るときはもちろんですが、それを待つ間もぼーっとしている暇がありませんでした。
お坊さんとのコミュニケーションが深まる
住職と参列者の話が弾んだことも、やって良かったことでした。「この部分はソロで読んで」と言われれば、それがどんなお経なのか参列者は興味を持ちます。
実際に今回も法要が終わった後に、質問が続出していました。陀羅尼品が読まれた背景、中に出てくる登場人物、日蓮宗ではどのような時に読まれているかなど、お経への興味がぐいぐいと促進されます。
そして自分の読経がものすごく下手だと分かると、きれいに読むお坊さんがよりかっこよくも見えました。
能動的に参加することは単純に面白いですし、その楽しさがお経やお寺への入り口につながったようにも感じます。
お経を覚える
今回は日蓮宗でよく読まれる羅尼品でしたが、今まで(多分)何度も聞いていたのに、ほーりーはまったくこのお経を知りませんでした。
それが今回の体験をしたら、別の日蓮宗のお寺で(普通の)法要に参列しても、「あ、あの部分だ!」と、一発で分かるようになりました。
自分でお経を読み上げると、やはり記憶に残ります。お経を覚えてもらう上でも、ソロ読みは効果があります。
ということで、、、
ここまで『回し読み法要』の面白さを挙げてみましたが、ただ今回すごく盛り上がったのは、お寺に慣れている人が集まったからという側面もあります。なのでお寺初心者ばかりの場面でどうなるかは、改めて試してみたいところです。
控えめな人ばかりだと、みんな引いてしまうかもしれませんし、ノリの良いムードメーカーがいれば、すごく楽しく火が付きそうです。
そうしたさじ加減や参列者が怖気づいてしまった時の対応ができたら、この回し読み法要はお寺にスパイスを加えてくれるかもとか、考えています。