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日本人以外を寺社に呼ぶのは布教につながるか問題に答える3つの事例

 いろんなお坊さんに宿坊を開きませんかと話していると、よく返ってくる言葉の一つに「海外の方が来ても、仏教にはつながらない」というものがあります。

 この言葉を掘り下げて聞くと、理由は大きく3つにまとまるようです。

 ○宿坊は一日限りの体験なので、仏教にふれても消費されて終わってしまう
 ○日本人じゃない人が、日本の仏教に興味を持つとは思えない
 ○海外の人がどれだけ来ても、檀家さんになるわけではない

 日本人ですらイベント仏教を楽しむだけで終わるのに、海外の方なんて何をか言わんやというわけですね。しかしほーりー的に見れば、これはだいぶもったいない考えではと思っています。

 私はお坊さんと話をしている時、布教という言葉には二種類の意味があると感じています。

 一つは仏様の教えにふれ、それがその方の人生に影響を及ぼすこと。そしてもう一つは、檀家さん(お寺を支えるメンバー)になることです。

 そして私は両者の意味で、海外の方をお寺に呼び込むことは布教になると感じています。

京都・東本願寺の事例

東本願寺宿泊イベント

 まず、「宿坊は一日限りの体験なので、仏教にふれても消費されて終わってしまう」という問題について。これは当然ながら、ほとんどの人がちょっと坐禅や写経をやってみるとか、お坊さんと話をして楽しかったというレベルで終わります。

 しかし100人いれば1人くらいは、ハマる人が出てきます。実際にほーりーは20年前、貧乏旅行&ちょっと変わった体験のつもりで京都の宿坊に泊まりました。

 それも泊まった日は、クリスマスイブです。宿坊初体験はそんな思い付き程度でしたが、そこから火が付き今では株式会社寺社旅なんてものも立ち上げています。

 こうした人は、他にもいるようです。ほーりーは京都の東本願寺境内にある研修施設・同朋会館を一般の人に開いていくかという議論が出た時、検討委員の方に呼ばれて講演しました。

 そして初心者を受け入れて素朴な疑問に答えまくることが、宗教性を高める要素になるという話をさせて頂いています。そこから生まれたのが、一般の人にお寺での生活を体験して頂く『東本願寺に泊まって学ぶ親鸞講座』です。

お寺を開くことは本質を磨く力になる。東本願寺でお寺活性講演をさせて頂きました。

 ここに参加された方の大半も、お寺での生活は一過性のものだったでしょう。しかし中にはそれが機会となって、お坊さんにまでなられた方がいたそうです。

 これまでの檀家制度のように、出入りが極端に少ないコミュニティに慣れていると、99人が消える場は消費されて終わるだけと考えがちです。しかし門戸を開くことで、時々ぐいぐい進む人は出てきます。

マレーシア・一念寺の事例

 続いて、「日本人じゃない人が、日本の仏教に興味を持つとは思えない」という意見について。

 3年前ですが、ほーりーはマレーシア(ペナン)へと旅行に出かけました。その時にfacebookでつながっていたお坊さんとのご縁もあり、お参りに出かけたお寺に一念寺があります。

マレーシア・一念寺

 この一念寺は日蓮宗のお寺ですが、お参りに来られている方はほとんど現地の方(日本人以外)です。

 法華経は当然ながら日本以外でも信仰されていますが、それでもほーりーは実際にお寺に行くまで日本のお寺だから集まっているのも日本人だと考えていました。

 当時、この一念寺から車で5分のところにはほーりー弟が住んでいたので、そうした海外赴任されている方のためのお寺なのかと、漠然と思っていたのです。

 そしたらお寺での法話は英語だし、お経もアルファベットで読みがふってあるし、お勤め後には周りからにこやかに食事を渡されるしで、英語苦手なほーりーは大ピンチです。単語と身振り手振りと笑顔で何とか乗り切りましたよ。

もちろん近くにはマレーシアのお寺もありますし、仏教を学びたい方が日本のお寺以外を選ぶことも可能だったでしょう。それでも一念寺は多くの方でにぎわっていました。

 また日本での事例を見ても、去年宿坊を作られた青森県の大間(下北半島の先端!)にある普賢院さんは、初めての宿泊者がスペインの方だったと仰られていました。ジェスチャーで坐禅を指導しながら、日本人より早くどうやってこの宿坊情報を知ったのだろうと、首をひねられたそうです。

 こうした状況を見ても、海外の方は日本のお寺や仏教に積極的な興味を持つ方が少なくないと感じます。

戸隠・越志旅館の事例

 最後に、「海外の人がどれだけ来ても、檀家さんになるわけではない」という件について。

 これは従来ながらの檀家さん達に溶け込むかという意味では、ハードルの高い話です。しかし個別のお寺と密接につながり、お寺を支えるサポーター的存在に成り得るかという意味では、可能性皆無なことでもないと考えています。

 そんなことを思わせて頂いたのは、長野県の戸隠にある宿坊・越志旅館でした。こちらは神社の宿坊ですが、海外の方が多く泊まりに来られています。

 そして下の写真はその越志旅館に貼られている、宿泊者の出身国を示した世界地図(ピンの指された位置が出身地)です。

越志旅館の世界地図

 こちらを見るとアジア、北南米、ヨーロッパ、オセアニア、アフリカ大陸など、世界中の人が訪れていることが伝わってきます。戸隠って長野駅からバスで一時間も山を登ったところにある、けっして気軽なアクセスとは言えない場所ですよ。

 そして話をお聞きして面白かったのは、海外の方でも少なからず神道に興味を持たれる方がいるとのことでした。

 越志旅館に泊まられた方の中には神道に感銘を受け、お札を毎年送ってほしいと依頼する方や、定期的に参拝旅行に訪れる方、神前での結婚式を希望する方もいるとのこと。こうした方は新しい時代の戸隠講と呼べるものかもしれません。

 信徒、ファンクラブ、サポーターなど、呼び名はいろいろあるでしょうが、これからお寺はご近所さん以外からの支持をどのように得ていくかという観点も大切になるでしょう。

檀家さん以上にお寺を支える信徒さんの存在は、真剣に考えるべき

ということで、、、

 海外の方が来ると日本語は通じないし、日本人が持つ常識も通じないので面倒くさいと言う意見もあります。

 ほーりーも英語は苦手ですし、その気持ちはよく分かります。しかし一方でこれから日本の人口が減っていき、世界的には土地に縛られずに人間が動く時代になっていくので、日本人のみ来いという意見は誰も来るなに等しいとも思っています。

 そして越志旅館さんの話でもう一つ面白かったのは、慣れれば日本人より海外の人の方がよっぽど接しやすいという話でした。

 越志旅館はけっして最新設備を備えた、なにもかもが整った宿ではありません。ぼろぼろというわけではありませんが、古くからある建物だけあり、やはり多少の痛みは見受けられます。

 ですがそうしたものに不満を述べるのは日本人の方が多く、海外の方はむしろ風情を感じて下さるとのことです。

 言語の壁もポケトークとか便利なものが増えてきていますし、これから徐々に乗り越えやすくなっていくでしょう。

 おみくじの英語バージョンは以前からありますが、そろそろ英語御朱印とかを作っていくのも面白いかもしれません。

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越志旅館の世界地図

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