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ほーりーも関わらせて頂いた山口県・二尊院の宿坊が今週末オープン!

01.宿坊
 

二尊院から見る海の風景

 去年、このブログで宿坊作りの過程を紹介した山口県・二尊院。向津具(むかつく)半島という変わった名前の場所にあるお寺ですが、もともとこの地名は「向こう側の國(むかつくに)」という言葉を語源としています。

 そしてその名の通り、地図で見ると本州最西北端。日本海にちょこっと飛び出た立地です。これがまた、すんごく良い場所なんですよ。二尊院の境内からは眼下に漁港が見え、海の向こうに夕日が沈む光景はノスタルジックです。

 そんな二尊院を最初に訪れたのは、2019年8月のことでした。その時はお寺を見学させて頂いた後、住職&奥さんと一緒に宿坊にどのような要素を取り込んでいくか、そのコンセプトを話し合いました。

 山口県・二尊院が宿坊を開くために奮闘中。ほーりーも行ってきました

 宿坊の建物も建設中で、まだ足場が組まれた段階です。現代ではあまり使われなくなった建築技法が使われており、大工さん達にとっても若い職人への技術伝達に役立ったとのこと。

二尊院の宿坊建設

 そして2020年2月。ほーりー、再び向津具の地に降り立つ。半年ぶりに見たら、建物が完成していました~☆

二尊院の宿坊

 客室はこんな感じですよ。青色の壁紙が鮮やかで印象に残りますね。

二尊院の宿坊客室

 この宿坊が、2020年8月29日にいよいよオープンします。そんなわけでこの二尊院の宿坊プロジェクトについて、宿坊を開設する3つのハードルに沿ってまとめてみます。

二尊院の宿坊はどのように誕生したのか?

 宿坊を開設する3つのハードルとは「初期費用」「旅館業の営業許可取得」「宿泊業を営むための技術・ノウハウの習得」です。詳細は以下の記事を見てね。

 宿坊を開設するための3つのハードル。これを超えるために知恵絞っています

 これらを一つずつ、見て行くと以下の通りです。

初期費用

 二尊院は宿坊を作るにあたり、境内に建物を新築しました。この費用は(内装等も含めると)約3500万円となっています。

 まあ、結構なお金がかかっていますね。他で宿坊を開設したお寺で公表して良いよと言われている金額では、青森県・普賢院が1200万円、熊本県・了廣寺は700万円(それぞれ既存の建物をリノベーション)しています。

 ただ二尊院の場合は少し特殊で、この建物は住職家族が住む庫裏を兼ねているため、半額の1750万円ほどが宿坊のための費用と言えます。

 さらに山口県が主催するソーシャルビジネス事業化支援事業『ぶち-CONやまぐち2019』で、この宿坊開設プロジェクトが準グランプリ(創業支援金100万円)を受賞しました。その他に200万円ほどの観光補助金も入っており、地元から地域を活性させる拠点としての援助と期待を背負っています。

 住職夫妻とお話しさせて頂いたのは、これだけのお金がかかっていることもありますし、二尊院まで来るお客さんは観光のついでに寄るような方ではないので、がっつりとお寺体験をして頂き、その分宿泊価格も高めに設定しましょうということでした。

 これもまた以前から言っていることですが、宿坊を安宿にしてしまっては持続性がありませんし。

 宿泊価格が不当に低いと、宿坊自体が消えていく

 そしてそのための方策も、私が作成した『宿坊の宗教性を高める82の提案』という資料を基に、建物の外観や内装、小道具から、修行体験の細かな見せ方、接客方法、食事など、様々な観点でディスカッションしています。

旅館業の営業許可取得

 宿泊業を営むには旅館業法の許可を受けるか、2018年に施行された民泊制度を活用することが一般的です。

 両者の違いを大ざっぱに説明すると、条件は厳しいけど年間通して営業できるのが旅館業法であり、制約は緩いものの営業日数が180日(地域によって変更あり)に制限されるのが民泊です。

 二尊院は旅館業法で定義された「簡易宿所」での登録を目指しましたが浄化槽の要件を満たすことが難しく、民泊として宿坊を運営することになりました。

 ただし夫婦二人(その他に食事などの協力者あり)体制で、住職は宿坊以外でもお寺の仕事が、奥さんは外部の仕事があるため、一年の半分も稼働させられれば十分だろうと判断されています。

 宿坊が思いっきり軌道に乗って、180日営業では足りないよということになれば、(その分、改修などのお金も溜まるでしょうし)新たに旅館業の営業許可取得を考えるという形もあるかもしれません。ただそうすると人的リソースも足りなくなりそうですし、当面は今の形が最良でしょうね。

宿泊業を営むための技術・ノウハウの習得

 こちらは実際に宿泊者と向き合う中で作られる部分も多いでしょうが、地元の方や私自身もプレ宿泊してオペレーションをチェックしました。

 そして一つ幸運だったのは、コロナを経てシーツや枕カバーなどのリネン類が供給多寡になってきており、考えていたより好条件で提供会社と契約が結べたことです。

 まあ、最初はたどたどしい部分もあるとは思いますが、他の宿坊の方からも最初のお客さんにはとんでもなくエネルギーを使って向き合ったという話を聞いています。

 そんなわけでオープン直後は、この時期にしか経験できない住職たちの全力以上のおもてなしを受けられると思いますよ。

ということで、、、

二尊院田立住職夫妻とほーりー

 二尊院とは月に一度のペースでオンラインミーティングもさせて頂いていますが、ウェブサイトもほーりーが制作しています。

 ただ私は枠組みを用意したのみで、写真や文章は住職と奥さんが作られているので、中身は全てお二人からのメッセージです。

 そんなわけで、この新たに生まれた宿坊に泊まってみたい方がいましたら、以下の公式サイトをぜひチェックしてみてください。予約もサイト内から行えますよ。

 二尊院宿坊えんとき

 なお、プレ宿泊したときのものですが、ほーりーの体験記は宿坊研究会に載せていますので、実際の宿泊や仏教体験などのイメージは、こちらもご参照くださいませ。

 お寺で人生やご縁を振り返る二尊院(山口県長門市)の宿坊

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二尊院田立住職夫妻とほーりー

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