一般の人よりも、お坊さんの方が僧侶に悪印象を持っている
去年、エンディング産業展に登場して話題を集めた、浄土真宗本願寺派総合研究所さん。こちらで配られていたアンケートに驚き、ブログに書いたらいろんな方に読まれていました。
お坊さんの悪い印象を教えてくださいと聞く、西本願寺が攻めている!
内容を簡単に紹介すると
「仏教について、悪い印象を与えているものを教えてください」
「お寺について、悪い印象を与えているものを教えてください」
「お坊さんについて、悪い印象を与えているものを教えてください」
と、ひたすら悪いものについて聞く、ネガティブ系のアンケートです。
そして去年のエンディング産業展が終わった後に、企画されたお坊さんから「そのうちに結果を公表するよ~」と教えて頂いたので、今か今かと毎日チェックしていた(ちょっと、言い過ぎ)のですが、なかなかアップされず。
そして忘れた頃に公開されていたのを大発見! これがやはり面白かったので、ほーりーが考えたことをまとめてみました。
一般の人よりも、お坊さんの方が僧侶に悪印象を持っている
詳細は浄土真宗本願寺派総合研究所さんのサイトにある、『エンディング産業展(ENDEX)におけるアンケート調査報告』を、ご覧ください
そしてこちらでなるほどと思った点は、「仏教について、悪い印象を与えているものを教えてください」という質問です。
まあ、よく言われる「仏教」や「お寺」に悪いイメージを持つ方は少ないけど、「僧侶」に悪印象を持つ人は多いという言葉はこのアンケートにも如実に表れています。
それぞれ悪い印象を与えていると回答された割合は
教義の内容: 4.5%
お寺 : 6.7%
お坊さん :25.3%
と、なっていました。
ただこれはもう一つの見方があって、回答者を「宗教者」「業者」「一般」と3つに区分しています。エンディング産業展で取られたアンケートなので、「業者」は石材店や葬祭業など、普段からお坊さんと仕事で関わられている人が大半でしょう。
そしてこの中でお坊さんが悪い印象を与えていると回答した人の割合を見ると
宗教者:41.1%
業者 :28.3%
一般 :17.2%
でした。
お坊さんが一番、僧侶に悪印象を持っていることが現れていますね(選択肢では「宗教者」となっていますが、エンディング産業展の会場を見る限りでは、ほぼお坊さんと思って問題ないでしょう)。
業者よりもお坊さんの方が数値が悪いのには、少しはっとさせられます。
ついでにふれると、仏教に悪い印象を与えているものは「特にない」と回答した方の割合は
宗教者:24.3%
業者 :41.7%
一般 :56.4%
と、こちらもまた、お坊さんが一番少なかったです。
宿坊はお坊さんの悪い印象を変える仕組みにもなる
自分たちに批判的な目を向けているお坊さん達。これは妄信的に「俺ら、さいこー!」となるよりは、健全であると思います。
しかしそれが本当に健全であるかどうかは、その自己批判がどちらに向かうかによって分かれます。
○こういう問題があるから、少しずつでも良くしていこう
○僧侶なんてしょせんこんなものだから、仕方ないよね
それで改めてこのアンケートを読み進めると、「お坊さんについて、悪い印象を与えているものを教えてください」という項目があります。
ここで特にポイントの高かったワースト3は
○人に対する態度 :22.8%
○金銭感覚 :18.5%
○法話の力量不足 :13.0%
でした。
そしてこのアンケートで悪い数字の出た部分を、一度に改善していけるアプローチが宿坊だと、ほーりーは考えます。
宿坊は日常的に、初めての方と顔を合わせるシステムです。人に対する態度は、間違いなく変わっていきます。そして一回の法要でうん十万円という世界でもありませんので、金銭感覚も社会一般に近づくことになるでしょう。
さらに法話については以下の記事にあるように、強烈に磨かれます。
宿泊者が涙した宗元住職の法話は、宿坊で仏教初心者と話し続けた産物
他にも一般の人が50%以上も、仏教に悪い印象を与えているものは「特にない」と答えています。これは好意的に見れば「お坊さん達は頑張っている」という評価でしょうが、中には(エンディング産業展に来ていても)お寺には無関心なのでという方もいるでしょう。
そこでやはり、こうした方に仏教について考えて頂くためにも宿坊は有効です。お葬式という突発的に起こる受け身の場面ではなく、旅行という自発的・能動的な選択肢の中で「坐禅や写経をしたい」「精進料理を頂きたい」「お坊さんと話がしたい」という声に応えることは、仏教に興味を持って頂く上でも大切です。
そこから仏教書を手に取る人もいるでしょうし、家に帰って近所の法話会に足を運ぶ方も出てくるでしょう。「お葬式ってどんな意味があるんですか?」と、日常的に考えていた疑問をお坊さんに投げかける場面にだって生まれます。
身内がなくなってから始めてお坊さんに近づかれても、大抵の人はお葬式の価値など考える余裕はありません(それどころか、不信感が芽生えても不思議ではないです)。それ以前の人生フィールドに頻繁に出入りして、初めて私たちはお坊さんが唱えるお経を噛みしめます。
エンディング産業展も回数を重ねるごとにお坊さんや仏教団体のブース・セミナーが増えていますが、宿坊を通して供養の心を伝える方法もあるわけです。
ということで、、、
浄土真宗本願寺派総合研究所さんは、今年もエンディング産業展に出られるようです。去年のアンケートは刺激的でしたし、それだけにこの結果を見てほーりーも学ぶところが多くありました。
今年は何をされるか分かりませんが、ぜひ本音で社会とぶつかっていける活動を継続してくださると、お寺の外にいる人間にとってもありがたく思います。
そしてこのアンケート結果を見て、ほーりーが現在あちこちで紹介している民泊制度を活用して宿坊の開設・運営を支援する『テラハク』の意義がまたひとつ見つかった気がしました。
テラハクが大々リリース。宿坊開設の敷居がとんでもなく下がります
宿坊開設に興味がある方。ぜひぜひ、一緒に活動していきましょう!