オンライン相談で人を救い、お寺の収入にもなる『お寺で相談の窓口』
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、社会には様々なストレスが生まれています。ほーりーも2月は19日外出していたのが、3月は9日、4月は2日のみと激減(近所への買い物や散歩は除く)。こんなにお寺や神社に出かけなかったのは、ここ10年で初めてかもしれません。
なんか、もーね。肺の中から、よどんだ空気が出ていかない気がするよ。
そして外出できない程度なら良いですが、現在は以下の悩みが広がっています。
○コロナウイルスに自分や家族が感染してしまうのではという不安
○収入が減ったり、職を失ってしまう恐怖
○ずっと家にいることによる、家族同士のいざこざ
○自粛警察や近所の視線などと言った、ぎすぎすとした対人不審
○それらがいつ終わるとも分からぬ、ゴールの見えない不安定な未来
これまでこのブログでも、コロナ肺炎よりコロナ不況によって、うつや自死自殺が増えていく危惧を取り上げてきました。
これから自死自殺者が3万人に戻るので、お坊さんにお願いしたいこと
そんなわけで今回は、生活環境の変化によるストレスやコロナ疲れなど、誰かに相談したいとお悩みの方に向けて、お坊さんとオンラインで話ができる『お寺で相談の窓口』を企画した株式会社なか道の青江覚峰さん(緑泉寺住職)、株式会社AVENILの遠島光顕さん(教願寺副住職)の二人にお話を伺いました。
出張版『お寺で相談の窓口』とは
『お寺で相談の窓口』は、上記2人のお坊さんが立ち上げた2社と、メンタルヘルス業界1位の株式会社HRデータラボさんが連携して作られているサービスです。
もともとは契約した企業への福利厚生として、お坊さんと相談する場が提供されていたものですが、今回はその出張版として個人相談が可能になりました。
その背景にあるのは、高ストレス社会です。『お寺で相談の窓口』はコロナウイルスが広がる前から企画されていたものですが、超過労働による自殺などから社員のストレスチェックが義務化され、この問題への注目は集まっていました。
しかし大きなストレスを抱えている方も、いきなり病院に行くのは抵抗があります(実際に、そうした方は1000人のうち25人しかお医者さんに診てもらっていないそうです)。このため、もう少し気軽に相談できる場所はないか。そこで生まれたのが、お坊さんに悩みを聞いてもらう場だったということです。
まあ、お坊さんへの悩み相談自体は、昔から行われていたことでした。それが福利厚生に導入されたり、インターネットを介して遠隔で会話するところに、現代性があるわけですね。
そして今回の出張版『お寺で相談の窓口』。大まかな流れは以下の通りです。
1.ウェブサイトで申し込み
2.お寺の窓口が相談者とお坊さんのスケジュールを調整
3.オンラインにてお坊さんに相談(最大40分)
4.終了後に料金支払い
先日、自死自殺対策を行っているお坊さん組織にも取材してきましたが、ひとまず話を聞いてもらうことで落ち着いたり、自分を客観視できる方は大勢います。第三者として、かつ生き方を説くスペシャリストとして認識されているお坊さんと会話できることは、お医者さんや行政による支援などとは異なる安心を提供できるでしょう。
お坊さんが人生相談を受けることで得られるもの
『お寺で相談の窓口』は一般の方には悩みを吐露する場作りが目的ですが、お坊さんには新たな収入源となることも期待されています。
ほーりーの元には地方(特に過疎地)のお坊さんから、宿坊開設相談が来ることがよくあります。檀家離れが叫ばれる昨今、お寺も新しい経済モデルを生み出さないとどんどん潰れる社会がやってきますが、実際に宿坊を開くことは簡単ではありません。
しかしこのオンラインで相談を受けることは、場所に関わらず(事前準備や初期コストなどがかからないという意味で)手軽に行うことができます。もちろんこれ一つでお寺が支えられるほど、(今は)規模の大きなものではありませんが、いろんなモデルを組み合わせることでお寺を維持するコンセプトは、このブログで何度も書いていることです。
そして加えて言えば、多くの方から人生相談を受けることは、お坊さんにとってとんでもない仏道実践にもなるのではと思います。
苦しんでいる人に手を差し伸べることは仏教で大切にされていますし、いろんな角度から千本ノックのように悩みをぶつけられていくことも、自分の中で大きな蓄積となっていきます。
寺社好き男女の縁結び企画『寺社コン』を12年続けて500人以上を結婚に導いたほーりーは、これまで多数の恋愛相談も対面やメールで受けてきました(あと、先日からZOOMなどを活用したオンライン相談も始めています)。
私の場合は恋愛に特化したものですが、人生の悩みそのものというフィールドであれば、もっと広範囲の知見を得ることもできるでしょう。
『お寺で相談の窓口』を作る3社の役割
『お寺で相談の窓口』は先にも述べた通り、なか道・AVENIL・HRデータラボの3社で協力して作られています。
この役割分担をまとめると、以下の通りです。
なか道 :お坊さんへの研修
AVENIL :お坊さんの紹介
HRデータラボ :企業の紹介
「なか道」は東京・緑泉寺の青江覚峰住職が立ち上げた会社で、料理僧として様々な書籍を出版したり、真っ暗な中で食事することで命と向き合う暗闇ごはんを企画されています。
こちらにはお寺と人を結び付けてきた様々な知見があり、お坊さんがお寺の外にいる人に接する心構えやテクニックなどを教えてくださいます。
「AVENIL」は北海道・教願寺の遠島光顕副住職が作った会社で、お寺を紹介するポータルサイト『お寺の窓口』を制作されています。こちらに登録されたお寺やお坊さんの勉強会などを通して集まった方に向けて、この『お寺で相談の窓口』を紹介する役割を担っています。
また、『HRデータラボ』はメンタルヘルス業界でトップの会社で、多数の企業と接点があります。主に福利厚生としてこのサービスを導入する会社を探されています。
このように3社がそれぞれの特徴を生かした協力体制を敷いており、実際に参加を検討されるお坊さんにも安心感はあるのではないでしょうか。
『お寺で相談の窓口』に実際に来ている相談内容
『お寺で相談の窓口』はまだスタートしたばかりですが、これまで受けた相談の傾向をお聞きしてみると以下の通りです。
○性別は女性が8割
○年代は30~50代が中心
○地域・職業はバラバラ
目を引くのは女性比率が高いことですが、やはりまず話を聞いてほしいというのは女性が多いということなのでしょう(逆にそれができないから、男性は自殺率が高くなってしまう面があるのかもしれませんが)。
また、相談内容も多岐にわたります。仕事関連、人間関係、恋愛相談などなど。
医療従事者や学校関係者がコロナ問題に振り回されて、国の制度などと患者さんや保護者の方との間で板挟みになったり、収入がなくなった彼氏との関係に悩まれたり、漠然とした将来不安が高まって話を聞いてほしかったり。
そしてコロナ疲弊とでもいうべきか、日が経つことに悩みがディープになっていることも感じられているとのこと。まだコロナ問題が広まって2か月ほどですが、現時点でこれだと今後が怖ろしくもあります。
青江さん、遠島さんの話では、「社会のセーフティネット」は多い方が良いとのこと。これはほーりーも感じますし、さらに言えば単純な数だけではなく種類が多いことも大切です。
その意味でこれまであまりなかった、お坊さんとのオンライン相談が広まっていくことも、助けになる人が大勢出てくる話なのではないでしょうか。
ということで、、、
お寺で相談の窓口。現在は相談を受けるお坊さん参加者も募集されています。上にも書きましたが、実際に相談を受ける前に研修もありますし、まだまだリリースして間もないサービスでもあるので、一緒に成長していく充実感も味わえるかもしれません。
ご興味ある方は以下のリンク先に詳細がありますので、ご覧になってみてください。