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宿坊研究会が25周年を迎えたので、四半世紀の活動を振り返りました

宿坊研究会25周年

 2000年5月5日に『宿坊研究会』を開設してから、今月で25周年(26年目)となりました。いや~。いつの間にか、四半世紀も経っていたのですね。当初はこんなに続くと思っていませんでしたが、感慨深い気持ちです。

 最初は趣味から始まった宿坊巡りが、副業になって脱サラもし、さらに会社も作って今に至っています。またその活動の中でいろんな社会問題に直面し、様々なビジネスにも携わるようになったりと、人生は考えてもいない方向へ進みました。

 そんなわけで今回は改めて、これまでのほーりーの活動を振り返ってみることにしました。

2000年 『宿坊研究会』の立ち上げ

宿坊研究会トップページ

 宿坊研究会がスタートしたのは、まだ大学生の頃でした。古都愛好会に入会し、お寺や神社の建築巡りが趣味になり、そして仲間と最初に京都の宿坊に泊まったことが、ほーりーの人生を変えた出発点です。

 あの頃は本当に何も分からず、宿坊って面白い! というだけで突っ走っていました。ガイドブックに一言だけ書かれていた「このお寺には泊まれます」という言葉を拾い集めたり、ひたすら検索してはちょこっと情報が書かれたページをブックマークしまくったり。

 そうこうしているうちに断片情報だけが溜まってわけがわからなくなってきたので、自分のメモ代わりに宿坊研究会を作りました。当時はものすごーく地味な趣味だったので、ほぼ自己満足の世界です。インターネット自体も現在のように社会に必須のインフラではなく、趣味人の集まりのような場でしたしね。

 宿坊研究会が最初に根を下ろした場所はジオシティーズだったと言えば、インターネットに潜む古老たちには雰囲気が伝わると思います。

 ただ、そんな何となく始めたウェブサイトでも、多くの方に見て頂けたのは嬉しい事でした。地道にページを増やすモチベーションになったのは、やっぱり反響があったためです。できたばかりの宿坊一覧を参考に旅行されたり、「あそこの宿坊はこんなだったよ」と情報を下さった方はとてもありがたい存在でした(もちろん、今もですが)。

2003年 『宿坊に泊まる』の出版

ほーりーの著書

 大学時代に始めた宿坊研究会ですが、ウェブサイトとして形が出来上がり、実際に多くの宿坊に泊まるようになったのは社会人になってからでした。給料が入ってきたのでそちらをつぎ込みながら、週末ごとに各地の宿坊を泊まり歩くようになります。

 そしてそんなこんなで宿坊研究会の情報を増やしていると、宿坊の本を書いてくれないかと某出版社から依頼を受けました。この時はまだ私の宿泊経験が少なかったので流れてしまいましたが、その後すぐにまた別で連絡を頂いて出版したのが小学館さんから出た『宿坊に泊まる』です。

 ほーりーは小説を書いて受賞したことがあり、人生で一度は本を出してみたいと思っていたので、これはうれしい出来事でした。そしてその後も宿坊や縁結びなどをテーマに続けて本を出させて頂き、一つの夢を叶えることができました。

2005年 寺社巡りサークル『宿坊散策会』

宿坊散策会

 大学時代にサークルで寺社巡りをしていましたが、卒業してからは一人旅が多くなりました。ただインターネット上で連絡を取り合う方は増えてきたので、直接会える場も作ってみようと2005年に寺社巡りサークル『宿坊散策会』を立ち上げました。

 当時はまだSNSもなかったのでメーリングリストを活用していたのが、懐かしい思い出です。こちらは最盛期には1000人以上が登録して年間で50回以上も企画が作られるなど、管理人としては目が回りそうなほど活発な活動になりました。

 そして精進料理のように一人では予約しにくいものや、特別な伝手がないと参加できない行事など、仲間がいたからこそできた体験もたくさんあります。さらにお寺や神社が好きな方と趣味の話を思う存分できたことは、本当に楽しい思い出ですね。

2009年 活動の転換点となった『寺社コン』

寺社コン風景

 こんな感じで平日はサラリーマンとして働きながら、週末は宿坊に泊まったり、みんなで一緒に寺社巡りに出かける日々を送っていました。しかし一方で20代後半くらいになってくると、大学時代の友人や会社の同期などから結婚式に招かれることが増えてきました。

 そして、あれ? と思うわけです。ほーりーはもともと高校は男子校、大学は機械工学科と多感な時期をあまり異性と知り合うことなく過ごしてしまったので、恋愛に対してかなり無頓着でした。

 異性との付き合い方が分からず20代後半には黒歴史を量産し、これではまずいと思って始めたのが寺社好き男女の縁結び企画『寺社コン』です。そんなわけで、そこで出会った相手と結婚することができました☆

 またその後、これからどうしようと思っていたら、いろんな方から続けてほしいと言われて今に至っています。現在では800人以上の方を結婚に導き、結婚相談所と提携したり恋愛セミナーで講師を務めるなど、若き日のほーりーが見たら「こいつは絶対、俺じゃねぇ」と思うような変化を遂げてしまいました。

2012年 会社を辞める & 2017年 会社を作る

ほーりーの登壇

 最初は趣味で始まった宿坊巡りが副業になっていき、そしていよいよ勤めていた会社を辞めて独立しました。この時は多分、人生の中で最も悩んだ時期だったのではと思います。

 実際には2010年頃から、寺社旅活動を仕事にすることは考えていました。しかし親から会社を辞めるなら縁を切ると言われていたので、サラリーマンとしてそのまま過ごすか思い切って独立するかで、迷いに迷って迷いまくっていました。

 ただその中でも覚悟を決める一つのきっかけになったのは、2011年に起きた東日本大震災です。多くの建物が津波に飲み込まれていく映像は目に焼き付いて離れませんでしたし、私にとってそれ以上に怖かったのは住んでいた街が空間放射線量が異常に高くなるホットスポットと呼ばれた地域に該当したことです。

 自分が生きられなくなるかもと思ったことはあの時が初めてでしたし、事態が落ち着いてからは人生の決断は先延ばしにできないと思うようにもなりました。

 幸いにしていろんな話しを重ねながら親にも納得してもらい、2012年に会社を辞めて独立。そして2017年には株式会社寺社旅を立ち上げ、仕事を続けています。 

2012年 お坊さん研修会で講師を務める

日蓮宗の研修会

 会社を辞めて少しした頃、日蓮宗さんから僧侶研修会で講演をしてほしいという依頼がありました。それまでトークライブやカルチャーセンターでの講師は行っていましたが、お坊さんの前で何を話せばいいのだろうと最初はかなり焦ったことを覚えています。

 ただこの時点で今後のお寺にとって、新たなコミュニティ作りはとても大切と考えていました。そこでほーりー自身があちこちのお寺で見聞きしたり、実際に自分が宿坊散策会や寺社コンを生み出した経験からまとめたのが『お寺を盛り上げる7つのアクション』です。

 この講演がきっかけとなり、日本で寺院数の多い7つの宗すべての研修会では講師をさせて頂くことができました。またお寺の奥さんや檀家さん・門徒さんが集まる会にも登壇したり、神主さんの研修会やキリスト教の教会、政治家、経営者、大学の研究者といった幅広い分野の方にも呼んで頂くことができました。

 そんなわけで最初にどこの馬の骨とも知れぬほーりーを読んで下さった日蓮宗さんには、特に感謝しています。

2014年~ 樹木葬を開発する『アンカレッジ』の顧問に就任

円通寺の樹木葬開眼法要

 ここまで述べてきた通り、宿坊研究会は私の趣味から始まった活動です。ただそれを広げられたのは、いろんな方が声をかけて下さったためでもあります。

 その一つにお寺の樹木葬を開発する株式会社アンカレッジがあります。こちらはこのブログで何度も紹介していますが、そもそも私だけではお墓を仕事にするなんて考えもしていなかったことなので、顧問という立場で迎えて下さったのはありがたい事でした。

 またお墓と関わることで、お寺についての理解も急速に深まった部分があります。宿坊を開いているお寺は、寺院全体の中では珍しい存在です。ただお墓があるお寺はたくさんありますし、お寺社会の収入全体を見ても非常に大きなウェイトを占めます。

 なのでお墓と関われたことはお坊さんと話す上でも、一つの共通言語を取得したようなものでした。

2017年~ 『月刊住職』での連載開始

月刊住職

 名前と内容のインパクトから、様々なところで話題になる月刊住職。ほーりーはこちらで2017年から連載を始めています。2025年5月号で、第90回目が掲載されました。目指せ、100回!

 こちらではお寺を取り巻く様々な社会変化やお坊さんの取り組みを、取材したり考察したりしています。AIやキャッシュレス、木造建築、昆虫食など様々な新技術や、経済的困窮者、若者の自死率増加、気候変動、パンデミック、犯罪の多様化などといった社会問題、そして尊厳死や手元供養、ペット供養といった死生観に関することなど多様なテーマで書いてきました。

 文章量が多いので頭を絞りながら毎回書いていますが、それだけに私の知識や思考領域を広げる場になっています。また紙媒体なのでインターネットとは別の形で、お寺社会の人脈形成にも助けになっています。

2020年~ 山口県の宿坊『二尊院えんとき』がオープン

二尊院田立住職夫妻とほーりー

 趣味としても仕事としても宿坊巡りを続けていたほーりーですが、山口県にある二尊院さんとは宿坊を作る側としても関わるようになりました。2019年に最初に訪問して以降、オンラインで毎月ミーティングを実施し、そして2020年にいよいよオープンします。

 この年はコロナ禍が始まったばかりという、宿泊業にとってはまさに最悪(というのも生ぬるい)タイミング。しかしそれでもあれこれ頑張りながら、2024年末には宿坊二号棟が誕生しました。

 二尊院は本州最西北端、本当に先っぽの先っぽにあるような、ほぼ秘境のお寺です。そんな場所で宿坊を開いた田立住職達の挑戦に関われるのは幸せなことでもあります。

 他にも宿坊を開きたい方が集まるフェイスブックグループ『宿坊開設ネットワーク』も運営しており、こちらの参加者からもいくつか宿坊を開いた方が現れました。

 宿坊がもっと多くの方に楽しまれ、そしてお寺社会にとっても一つの希望になるようにしていけたらと考えています。

ということで、、、

 先日、妻と精神年齢について話をしていました。身体は少しずつ歳を取っていますが、心の部分は今のところ、20代の頃とあまり変わっていないというものです。

 例えば他の趣味だと、昔は思いっきり情熱を傾けたサッカーは、今では日本代表でさえ知らない選手が増えてきました。なのに寺社に関してはあそこに行きたいとか宿坊に泊まりたいといった、最初の衝動みたいなものが消えていません。これは改めて振り返ると、自分でも驚きです。

 そして深く関われば関わるほど、これから苦境に陥っていくと予想される寺社を少しでも未来に伝えていきたいという想いは強くなっていきます。

 幸いにして宿坊研究会を通して、これまで多くの方との出会いに恵まれました。私がひっくり返っても敵わない技術を持っている方、思いもしなかった観点から物事を見ている方、独自の道に突き進んでいる方など、たくさんの刺激も受けています。

 大きな問題を前にほーりーにできることなど限られていますが、それでも皆様と一歩ずつ前に進めたらと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。

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