地球温暖化防止展で寺社に活用可能なものを探してきました
先日、東京ビッグサイトで行われた『NEW環境展』&『地球温暖化防止展』に興味をひかれたので出かけてきました。
ここ数年、台風の巨大化やゲリラ豪雨の増加、夏の気温上昇など、明らかに地球環境が変わってきました。またそれに合わせて地球温暖化対策の国際的な枠組みを定めた『パリ協定』や国連サミットで採択された持続可能な開発目標『SDGs』、あるいはスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの演説などにも注目が集まっています。
実際問題アラフォーのほーりーは、あと60年くらいは生きるつもりです。なのでその間に地球が人類の住めない星になっては困ります。そして当然ながらその後の世代のためにも、地球環境の悪化は防ぐ必要があるわけです。
まあ、私個人にできることは限られているので、「俺が地球を守ってやるぜ!」みたいなことまでは考えていませんが。
ただお寺や神社が環境問題に取り得るアプローチもあるでしょうし、一般的な知識の底上げとしても学んでおいて良い分野かなと思っています。
そこで今回はふらふら展示を眺めつつ、目に付いたものを備忘録的にまとめてみます。
地球温暖化防止展で寺社に活用可能なものを探してきました
節水システム
一通り回ってみて、まずは最も簡単に取り入れられそうだったのは、水道の節水機器です。似たようなものはたくさんあるので、既に使っている寺社もあるとは思います。
ブースで見せて頂いたこちらはアースアンドウォーターという会社の商品で、節水コマを蛇口に装着して少量の水でも勢いよく出すことができるようになっています。
上の写真だと、右側の蛇口ですね。水が白っぽいのは気泡が含まれているためで、その分使用する水の量は減っています。そして実際に触ってみても、手を洗う使用感に違いはあまり感じられませんでした。
またこちらは蛇口に設置したまま吐水量の調整可能なところに特徴があり、手軽に使い勝手を変えられることが類似製品との違いとのことです。
そして水道代が月に10万円する飲食店の例であれば、8万円くらいに落とせるそうです。水場の使用が多いお寺であれば、コストカットと環境への配慮が同時に行えそうです。
コケによる屋上や壁面の緑化
屋上や壁面をコケで覆うモス山形さんのコケによる緑化です。これにより、室内の温度上昇を和らげることができ、冷房の空調負荷低減が期待できます。
また個人的に良いと思う点は、お寺や神社の景観が良くなることです。境内に武骨なコンクリートの建物が目立つと、どうしてもお参り気分は削がれます。そこで以前、木造建築の技術革新をこのブログでも紹介しましたが、タイミングよく新築できるわけでもありません。
そこですでにある建物でも屋上や壁面を緑化していくことで、寺社の景観を整えることができます。またスナゴケは乾燥しても仮死状態になるだけで、雨が降れば再生するのでメンテナンスも簡単とのことでした(ただ壁面緑化は灌水が必要になることもあるようです)。
なお、ブースで話を伺ったら、コケで覆うコストは一平方メートル辺り1万円弱とのことでした。
使用済み天ぷら油で作るチェーンソーオイル
会場をぐるぐる回って、少し異色と思ったのが、使用済みの天ぷら油を買い取り、チェーンソー用オイルに変える中部エコバイオ合同会社です。
日頃からチェーンソーを振り回しているお坊さんは少数派でしょうが、このところほーりーは過疎地のお坊さんとばかり話しているので、使っている方もちょいちょいいます。
そして先日、刃の部分が足に触れ、ポケットに入れていたスマホのおかげで怪我せずにすんだという知り合いの住職の話を聞いていたので、なんか気になってしまいました。
こちらは愛知環境賞で優秀賞も受賞されています。
温水で草を枯らす
境内が広くて管理が行き届かず、雑草が伸び放題で困っている寺社もいると思います。そんなときのおすすめとして、以前レンタル除草ヤギの事例を紹介させて頂きました。
ただ生き物でもあり、なかなか難しい場合もあるでしょう。そこで除草剤を使うより、温水で根本から草を枯らすケルヒャーさんの機器があったのでお知らせです。
まあ、正直に言って、こちらは値段的に高い(190万円)もするので、ぱぱっと導入できるものではなさそうですが。ブースの方はいずれレンタルにも対応できたらと仰っていたので、期待したいところです。
防犯用の玉砂利
廃ガラスを軽石のようにに加工した、スーパーソルという商品がありました。こちらの特徴は超軽量、保水性、多孔質などがあり、緑化のための土壌づくりや水槽のろ過材、脱臭など様々な用途に使用されます。
そしてお寺や神社で使いやすそうなのは、防犯目的の敷石でした。この石は踏むとぎゅぎゅっと音が鳴るため、心理的に侵入しにくくなります。
値段も深さ5センチで一平方メートル(40リットル)辺り約2000円とのことなので、無人のお堂などに使うのも良さそうです。
ゴミの固形燃料化
香川県三豊市では、家庭や事業所の燃やせるごみを発酵.乾燥させ、「固形燃料」の原料としてリサイクルする日本初の工場「バイオマス資源化センターみとよ」の稼動が始まりました。
こちらはお寺や神社単体で行える取り組みではなさそうですが、環境意識の高まりとともにこれから各地にこうした設備も増えていくだろうと考えられます。
今回の環境展でも、様々なゴミや廃棄物からエネルギーや建築・土木素材などに作る技術がたくさん紹介されていました。
寺社でもいろんなゴミは出ますので、地元でこうした動きがあれば、積極的に取り組んでいっても良いと思います。
環境移送技術
今回の企画展で、ある意味でも最も未来的かなと感じたのがイノカさんの環境移送です。こちらは珊瑚が生育する海の環境を水槽内に再現したもので、様々な商品(例えば化粧品が海にとけこんだりなど)が自然環境に与える影響を実験したり、子どもたちの教育・啓蒙として展示する事業などが行われています。
お寺でもこうした企業と組んで、イベントなどで自然環境について学ぶ場を設けたりといったことも、行っていけたら有意義になりそうですね。
ということで、、、
他にもたくさんの商品・サービスがあり、一口に「環境問題」「温暖化防止」と言っても、多様な切り口があります。
まあ、産業展なのでビジネスチャンスと捉えた企業PRの場ではありますが、逆に言えば環境問題への取り組みがしっかりお金につながらないと、いくら自然は大切ですねと言っても動かないのが人間です。
例えば温暖化防止と言っても、ロシアなど極北地域の国では農業が可能になる土地が増えたり、北極海の航路が使いやすくなるため、「温暖化はむしろウェルカム」と発言していたりもします。
なので環境保全の取り組みはコストカットにつながりやすかったり、参拝者に訴えかける者が大きいなど、分かりやすいメリットを探しながらお寺や神社に取り入れていけば、全体として地球環境を守ることにつながっていくでしょう。
そのための商品はたくさんありますし、今回はそんなものを実際に目で見ることができ、有意義な一日になりました。