世界潮流となってきた昆虫食が、お寺と相性の良い3つの理由
フェイスブックを見ていたら、大阪の薬師院で行われた昆虫食の体験イベントが流れてきました。これ、私もすごく良いなと思います。
投稿されていたのは薬師院住職の小野剛賢さん。数年前まで一日一食の行者生活を送られていたり、クリスタルボウルの奏者としてCDを出したり、真言宗の阿字観瞑想会を積極的に開催されるなど、骨太の仏道を歩まれているお坊さんです。
先日、ほーりーの月刊住職連載で取材させて頂いたり、薬師院でも宿坊トークライブを一緒に開くなど、昔からお世話になっている方でもあります。
で、そんな小野さんのいる薬師院で開催されたのが、現在世間でも大きな話題となってきている昆虫食イベント。
ほーりーも以前、多摩川でバッタを捕って食べるツアーに参加したことがありますが、あれはめちゃくちゃ奥が深い世界なんですよ。ゴッキーとかも丸かじりしているので、苦手な方は注意して見てね。
そもそもこの昆虫食。馴染みがないので色物とか奇行とか思われそうですが、日本でも古くから行われていることなんですよね。イナゴのつくだ煮やはちのこなんかは有名ですが。
そして現在。国連食糧農業機関(FAO)が「世界的な食糧問題の対策の一つとして有益な食材になり得る」と、昆虫食を推奨する内容の報告書を発表し、以下の理由で研究も進んでいます。
○高タンパクで、ビタミン、ミネラル、食物繊維が多く含まれ、栄養価が高い
○小規模の土地で育てられるので、環境負荷が低い
○世界的な食糧不足への対応策になり得る
で、ほーりーとしては、これはお寺でももっと真剣に取り入れた方が良いんじゃないかと思っています。
いや、むしろ、お寺から積極推進していくべきだ!
ほーりーがお寺が昆虫食を推進すべきと考える3つの理由
昆虫食と仏教って、ほーりー的にはものすごく相性が良いんじゃないかと考えています。それは以下の理由によるものです。
偏りなく物事を見るのに役立つ
仏教では偏りなく物事を見るようにとよく言われますが、昆虫食への世間の目は偏見の塊です。なのであえて身をもって体験することは、仏教思想に肌でふれる機会になると思っています。
実際にほーりーもGさんを食べるのには、かなり勇気が要りました。ここでわざわざ隠語を使っていること自体、そうした世間の目を気にしてのことです。もちろんGはゴキブリのGですよ。
いや、やつら。予想に反して意外とおいしいんですよ。まあ、昆虫食の専門家が、こいつはイチ押しと持ってきて下さったので、当然と言えば当然かもしれませんが。
百聞は一見に如かず。百見は一食に如かずです。自分の常識を真正面から打破する体験は、昆虫食以外でも偏見を崩す材料になっていきます。
食事への感謝につながる
目の前の食事はどこで生まれ、どうやって自分のところにきたのか。それを頂く感謝の気持ちを持ちましょうということは、五観の偈などで唱えられています。
しかしスーパーで買ってきた食事やお店の料理はあまりに日常的になりすぎて、そうした気持ちを起こしづらいのも確かです。
慣れって怖い。
しかし実際にほーりー家では、妻が畑を借りて野菜を育て始めたことで、食べ物ってこうやって生まれているのかということが感覚的に分かってきました(ほんの、さわりのさわりですが)。
時には葉っぱが病気になったり、虫や鳥に食べられたりもしますしね。
またほーりーの経験した中では断食も、食への感謝を育む行為です。
そして昆虫食も、食事への感性ががらりと変わりました。目の前で動き回っていた虫が、そのままの姿で胃袋に入る。時には羽や足の固いところが口の中に刺さったりなど、食感もリアルです。
タガメのフェロモンなんて、洋ナシの香りがするって知ってましたか? タガメを漬けた焼酎はフルーティー過ぎて、度肝を抜かれますよ。
コオロギを粉末にして入れたコオロギラーメンも、コクがあって抜群です。ラーメンイベントでの人気投票なんていうとんでもない猛者ぞろいの激戦で、人気投票2位になった例も出たほどですし。
私が体験したツアーはお寺ではありませんでしたが、多摩川の河川敷で周りがバーベキューでみんなお肉を焼いている横で、自分たちだけが虫取り網を持ってバッタを素揚げしているのです。相当変な集団だったけど。
こうした食事の非日常体験には、強烈なメッセージが詰まっています。なのでただ「命を頂く感謝の気持ちを持ちましょう」というだけより、はるかに自然の恵みに感動します。
命や平和を考える機会になる
世界の食糧事情は深刻です。飢餓のない世界を目指して活動する国連の食糧支援機関WFP(World Food Programme)のサイトによると
世界では、およそ7億9,500万人(9人に1人)が、健康で活動的な生活を送るために必要かつ十分な食糧を得られていません。
地域別の飢餓人口の人数は、アジアが最大(全世界の3分の2)です。近年、南アジアでは、飢餓人口が減少していますが、西アジアではわずかに増加しています。
5歳になる前に命を落とす子どもの半数近く(45%)は栄養不良が原因です。その数は毎年、310万人にのぼります。
などと、報告されています。
しかしこんなことを言われても、日本では実感しづらいということが正直なところではないでしょうか。
そこで昆虫食を体験しながら、世界の食糧事情について考える。さらにそこでお坊さんが仏教と結び付けて語れば、きっとみんな真剣に聞き始めるでしょう。
昆虫食という好奇心を刺激する体験が、世界情勢を考えるきっかけになり、さらにそれが仏教にも結びつく。ほーりーがいつも言っている小さな階段につながる話ですが、昆虫食から仏教へとどうつなげていくかはお坊さんの腕の見せ所です。
堀内の企画術。仏教への道を階段状にすると、お寺とコラボできます。
ということで、、、
昆虫食、きれいごとじゃない面白さがあるというのが、ほーりーが一番魅力を感じているところです。ミシュランの三ツ星だけがグルメではないのですね。
最初に精進料理の思想を知った時の感動にも、ちょっと似ています。
なのでもしも身近でイベントなどがあれば、ぜひ一度お坊さんも試してみることをお勧めします。きっとそこから生まれる気づきはあるでしょうし、仏教を柱にしたお坊さんだから感じることも多いはずです。
最初に紹介した小野さんは、以下のようにコメントされていました。
昆虫食を気持ち悪く言うのは、一つの文化を否定することと同じ。ゴキブリを食すことも、蝉の幼虫を食すことも。偏見で物事をみていたに過ぎないことが解った。蝉の唐揚げは、鶏の唐揚げよりも美味しいし、ゴキブリの素揚げは普通に香ばしく美味いものだった。子供もお年寄りも、皆美味しいと言って昆虫食を食べてくれていた。
ほーりーはお坊さんによる昆虫食トークも、楽しみにしています。