コロナ不況で日本の治安が悪くなると予測できる基礎データ
コロナ(病気)で亡くなる方よりコロナ不況で自死自殺される方のほうが増えるという話は、これまでこのブログや月刊住職、中外日報の連載などで何度も述べてきました。
そしてもう一つ、ほーりーが懸念している事象に治安の悪化があります。今回はその基礎データをまとめたので紹介します。
ちなみに上の写真は、盗難除けにご利益がある三峯神社の狛狼です。
緊急事態宣言の再発令で、経済はどの程度ダメージを受けるのか
まず、東京を中心とした一都三県に緊急事態宣言が発令され、これによる経済損失は様々な場所で論じられています。
1ヶ月で3~5兆円ほど。なんかもう、数字が莫大すぎてピンとこないですね。
そんなわけで、東日本大震災の被害額と比べてみましょう。以下の記事によると、17兆円近くとなっていました。
ということで、今回の再発令だけでも東日本大震災の1/4くらいの規模で、経済損失は起こるようです(計算対象の違いもあるため、おおざっぱな規模感の認識としてですが)。1カ月で終わるか分かりませんし、また他の府県でも緊急事態宣言が発令されると発表されています。これらも含めたら損失額はどんどん膨らんでいくでしょう。
なお、上で紹介した記事(4兆8900億円消失の恐れ)の中には、昨年4~5月に全国で宣言が発令された時は計約22兆円の消費が消失とありました。最終的にこのくらいになったら、経済的には東日本大震災と阪神淡路大震災(経済損失9.6兆円)と熊本地震(同4.6兆円)が同時に発生した以上のダメージになりますね。
緊急事態宣言で、倒産や失業はどのくらい増えるのか
去年も企業倒産や失業者数は増えていましたが、以下の記事によれば半年後には失業者が約15万人と見積もられています。
緊急事態宣言で家計消費「3兆円」消失 半年後には失業者15万人、倒産“第1波”も
そしてこれは以前、バブル崩壊後の状況を調査した時に作ったグラフですが、自己破産者が急増するのはバブルが崩壊してから数年経ってからであることが読み取れます。
この事象は現在に照らし合わせてみても、想像しやすいのではないでしょうか。現時点でも生活が行き詰っている方はたくさんいますが、それでもまだ大多数の方は会社が内部留保で持ちこたえていたり、蓄えていた預金でしのいでいます。
ほーりー(が、社長を務める株式会社寺社旅)が1万円弱稼いだためにもらうことができなかった、持続化給付金(200万円)とかもありましたし。
しかしそれが数年続けば、これまで貧困とは無縁だった人でさえ、経済的に追い込まれます。
その意味で言えばコロナ不況は、まだ入り口に入ったばかりです。そして国も財源が無限にあるわけではありませんし、支援の手は徐々に縮小していきます。と、いうよりこれまでの財政出動を穴埋めすべく、どこかで増税に舵が切られるはずです。
(ちなみに2011年に起きた東日本大震災の復興特別所得税は、2037年まで徴収されることが予定されています。震災増税もまだ終わっていません)
これからは贅沢はできないけどささやかに暮らしていけると思っていた人でさえ、その「ささやかな暮らし」が失われていきます。それは現時点で目に見える観光や飲食業だけにとどまらず、もっと多様な業界に波及するでしょう。
なのでコロナ失業で路頭に迷うことは、年金世代以外のほとんどの方には無関係ではありません。このため今のうちからその未来を想像しておかなければ、日本自体が行きつくところまで行ってしまいます。
ほーりーが心配する、これからの治安悪化
こうした状況を予想しているからこそ、ほーりーは自死自殺が増えていくだろうと警鐘を鳴らしてきました。残念ながらこの危惧は現実のものとなってきています。
そして私はもう一つ、心配していることがあります。それが不況に伴う治安の悪化です。これもまたバブル崩壊後からトレース(完全失業率は総務省統計局より、犯罪発生率は犯罪白書から引用して人口比で計算)したところ、以下のグラフが出来上がりました。
これを見ると失業率が上がるにつれて、犯罪発生率も高まっていることが読み取れます。この状況はこれからのコロナ不況にも、きっと当てはまっていくでしょう。
なお、このグラフを見る時、短絡的に「失業者が犯罪を犯す」とならないことにはご注意ください。経済的に追い込まれた方が加害者になることもありますが、逆に騙されやすくもなるので被害者となるケースもあります。その他、社会の雰囲気が悪くなって起きるものもあり、失業率はあくまで景気悪化の指標の一つです。
ということで、、、
今回はコロナによって起こる社会変化を考察するための基礎資料として、まずは寺社に関係なくデータを紐解いてみました。
また、ほーりーの調査だけだと不安なので、念のため類似の研究も紹介しておきます。
大阪大学の大竹文雄教授・小原美紀教授の研究(pdf)によると、 「粗暴犯と窃盗犯については犯罪発生率と失業率の間に正の共和分関係が観察される」とのことです。窃盗は物を盗むことですが、粗暴犯は暴行、傷害、脅迫、恐喝などが該当します。
龍谷大学の津島昌弘教授の研究でも、失業の増加は強盗や窃盗の発生に正の影響をあたえると結論付けられています。
他にも同様の結果が導かれた研究は多く、コロナ不況が治安の悪化を引き起こす可能性はかなり高いと推測できます。嬉しくない未来ですが、こうしたものも真剣に考えなければならない時代と言えますね。