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精進ソースのご祈祷で、泰聖寺にはいくらお金が入るのか?

精進ソースプレスリリース

先日、大阪でお坊さんとソース会社が開発した『眼力精進そーす』のプレスリリースイベントに参加してきました。開催日の11/7はソースの日。日本ソース工業会のサイトによると

日本ソース工業会が任意団体として設立されたのが、昭和22年11月7日であったこと、また、日本に最初に伝来したソースである「ウスターソース」のエネルギー量が100g当たり117キロカロリー(日本食品標準成分五訂において)であったことから、平成25年、日本ソース工業会は、11月7日を「ソースの日」と制定致しました。

11月7日は、「イ・イ・ナ」とも読めますので、「ソースの日」にはぴったりの日と考えています。

とのことです。

そっか。11/7は父親の誕生日としてほーりー家では有名でした(大阪行く前には、家族集まってケーキ食べてました)が、世間的にはソースの日だったのか。いいな。

それで今回のテーマ『眼力精進そーす』ですが、こちらは大阪にある泰聖寺とお寺紹介メディアのお寺の窓口、そして株式会社金紋ソース本舗が開発したものです。

役割分担的には金紋ソース本舗がソースを作り、泰聖寺がご祈祷してお寺の窓口(株式会社AVENIL)が販売開拓という形でしょうか。

そしてこのソースの特徴は、動物性の脂を一切使用していないので、精進料理にも使えること。プレスリリースではこのソースを使ったおしゃれな創作精進料理として、「蕪豆乳豆腐 柚子ソースおろし」「秋の焼き茄子」「グリーンサラダ」「大根の天婦羅」「そーす御飯海苔巻風」の5品が出ました。

精進ソースと創作料理

泰聖寺の純空壮宏住職による、開発背景のお話

そんなわけで大阪ではソースを使ったおいしい食事を楽しんできたわけですが、せっかくなので泰聖寺の純空壮宏住職に、この『眼力精進そーす』を開発された想いをお聞きしました。

泰聖寺の純空壮宏住職

まずポイントとなることは、ソースをご祈祷していることです。泰聖寺は「眼の観音様」「眼力稲荷大明神」といった、”目にまつわる神仏”が祀られています。

さらにソースの成分には目に良いと言われるポリフェノールも含まれているので、「先見の明、心眼が身に付く」ご利益を頂けるソースとして考案されたとのことでした。

そしてもう一つは大阪=粉もの=ソースと言った、地域との相性の良さ。地元に根付いたお寺だからこそのチョイスでもあります。

これは先日、香川県の善通寺で見つけた「精進だし醤油」に通じるかもしれません。こちらはご祈祷はされていないと思いますが、家でうどんを作って食べたらおいしかったです。

善通寺の精進だし醤油

また純空さんの想いとしては、さらにもう一歩進んだステップがあるようです。これは頂いた言葉をそのまま載せてしまいますが

このソース開発の背景には、戦後の核家族化、現代の少子高齢多死社会における檀家制度崩壊と云う原因があり、過疎地から始まっている寺院の無住化、廃寺化に少しでも歯止めをかける為の取組で、仏教興隆、寺院再生が将来的目的です。

全国の各地方には特有の名産が必ずあり、そして寺社仏閣も点在します。商品を売りたい企業と参拝者を少しでも増やしたい寺院、その両者がコラボレーションすることにより、ネームバリュー向上、もしかしたら地方創生の大プロジェクトが生まれ、地産地消の地域活性化にも繋がるのではないかと無限の可能性を期待しています。

神仏の御加護と云う付加価値を付けた泰聖寺の『眼力精進そーす』は、日本初のモデルケースです。全国の寺社は日本文化継承の役割を担っていく為、地域との様々な融合を検討していく必要があります。

とのことでした。

精進ソースはお寺を救うモデルとなるのか?

上で紹介させて頂いた「過疎地から始まっている寺院の無住化、廃寺化に少しでも歯止めをかける為の取組」という言葉。お寺大好きほーりーが、最近日本中を血眼で探し回っているテーマです。

が、意地悪な言い方をすれば、大阪のような人が集まる場所なら「ご祈祷付きソースを開発した」という話題性で、お寺に人が来るかもしれません。ですがそれだけで、特に過疎地のお寺に参考モデルとなりえるのかは未知数です。

いや、私が意地悪なんじゃなくて、いろんな方からよく言われるんですよ。「その事例は、どうせ都会だからできることだろ」って。

ですが商品開発って上手くいくなら、確かに過疎地でも成り立つモデルなんですよね。

ほーりーは総務省が後援に入った「地域おこし協力隊の研修会」で、講師をしたことがあります。地域おこし協力隊は過疎地に3年限定で移住する公務員のような制度で、任期終了後は自分で事業を起こして定住することが求められます。

地域おこし協力隊の皆様

そこで受講者は希望に合わせてAコース(飲食業・宿泊業など)とBコース(産品加工・販売など)に分かれて研修を受けたのですが、このBコースが設定されたように商品開発は飲食・宿泊と同様に過疎地でも成り立つテーマとして語られたわけです。

(ちなみにほーりーは、Aコースの講師でしたが)

過疎地での商品開発によるメリットは

○実店舗を持たなくても良いし、持っても都心部より安い
○インターネットを活用することで、販路を広げられる
○食品は自然豊かな場所の方がおいしい

などがあります。

また上記の研修会では、道の駅には「ドレッシングとジャムばかり置いてある」とBコースの先生がおっしゃっていました。要するにみんな、簡単なモノばかり作ろうとする。そこからいかに抜け出すかがヒットの鍵という話です。

なので、生産者や加工業者も、他とは異なる商品の色付けを求めています。そこでもしかしたらこのソースモデルも、多くのお寺の参考になるのではないか。そんなことを考えていつもの図々しさを発揮し、「実際のところ、お寺にはどのくらい入ってくるの?」と聞いてしまいました。

精進ソースのご祈祷で、泰聖寺にはいくらお金が入るのか?

眼力精進そーす

そして、超オープンに語って頂きました。

一本の販売価格は1000円で、原価は500円。残り500円のうち、泰聖寺には一本あたり100円の御祈祷代が入るそうです。

そして年間販売予測は3000本とのこと。とりあえずこの数字を根拠とすると、お寺には一年に30万円入ることになります。

一方でソースに関係なくお勤めは毎日行われているため、そこでご祈祷することでお寺の追加負担はなしだそうです。

最初の商品開発ではいろいろ苦労もあったでしょうが、一度動き出してしまえばコスト不要。それで一年に30万円であれば、お寺にとってはありがたい話ではないでしょうか。

ということで、、、

眼力精進そーすチーム&ほーりー

一年で30万円に可能性を見るか、大したことないと思うか。実際に30万円でお寺が成り立つわけもありません。

ただ先日、私が浄土宗兵庫教区の研修会で講演させて頂いたときも、まさにこうした小さな収入モデルをたくさん作る「石垣型のお寺設計」が提案の核でした。

檀家数減少時代に収入を支える、石垣型のお寺設計

檀家さんからのお布施だけでお寺が成り立たなくなっていくときに、代わりになるものを探しても簡単には見つかりません。

ですがお城の石垣のように様々な部品を組み合わせることで、強固な基盤は作られます。もちろん商品数が増えたり横展開が始まれば、スケールアップしていくことも可能でしょう。

うーん。これはあと2か月早く知っていれば、講演にも使えそうな事例でしたね。

また泰聖寺さんが「過疎地のお寺」に言及していたので辛口になった部分はありますが、大阪とまでは言わずとも地方都市などであれば、お寺への導線作りの参考にもなります。

実際にこの精進ソースはTwiiterで97万人のフォロワーがいるNONSTYLEの井上裕介さんがつぶやいて、話題になっていました。広告費に予算をかけられないお寺にとって一つの告知戦略と考えれば、年間30万円以上と捉えることも可能です。

泰聖寺さんも目の神様・仏様としてお寺のことを知って頂くことも、大きな目的にされていますし。

まだまだ始まったばかりの『眼力精進そーす』の挑戦。これからどうなっていくのか。今後の飛躍をお祈りしています。

あ、あと。お土産にもこのソースを頂いたので、ほーりー家では『精進たこ焼き』を作ってみましたよ。

眼力精進そーすと精進たこ焼き

「精進」なので中身はこんにゃくと、うちの妻が畑で育てたサツマイモです(スタンダードに、タコを入れたものもありますが)。

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