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ワンコイン祈祷は、ご祈祷の価値を下げるのか?

愛媛県教師の会講演

先日、愛媛県今治市で行われた日蓮宗教師の会で、『お寺を盛り上げる7つのアクション』と『檀家数減少時代のお寺の方策』を講演させて頂きました。

なんと今回は持ち時間を3時間も頂いたので、2コマ続けてほーりー登場です。それぞれの内容は以下の記事に書いていますので、よろしければご覧ください。

ほーりーの十八番『お寺を盛り上げる7つのアクション』とは何か?

檀家さんからのお布施以外で、お寺に収入を増やす5つの方策

いやー、これだけ話すと、カロリーも限界まで消費しますね。聴講されていた方々も、へとへとだったかもしれません。

それはともかく今回、講演後の懇親会で盛り上がったテーマの一つが『ワンコイン祈祷』でした。こちらは以前に神主さん達の研修会でお話させて頂いた「ワンコイン神楽」の祈祷版です。詳細は以下の記事に書いておりますので、ご興味あればご覧ください。

神社に年4672万円をもたらす、ワンコイン神楽の可能性

このコンセプトを簡単に紹介すると、以下の通りです。

ワンコイン祈祷

大勢が集まる繁華街やお祭りなどに限定される手法ですが、1分間のご祈祷を500円で受けられるとしたら、これまでご祈祷を受けるなんて発想をまったく持ったことがない人にも興味を持って頂けます。

そして低価格でも回転率が高まると、収入は大きくなります。ほーりー的な捕らぬ狸の皮算用では、1分間のご祈祷で入れ替え30秒、稼働率80%で8時間行うと、一日で12.8万円になります。

こうしたことを、例えば御会式などで行ってみたら面白いのではという話をさせて頂きました。

ワンコイン祈祷は、ご祈祷の価値を下げるのか?

この話をしたところ、さっそくあの行事に取り入れようとか、意外に乗り気なお坊さんが多くて驚きました。ご祈祷をそんな大衆化させるようなアレンジは難しいとか、怒られることも考えていたのですが。

ただ意見交換しながら一つ生まれた論点は、安価なご祈祷を作るとこれまでのご祈祷を受ける人がいなくなってしまうのではないか?(安い方に流れてしまうのでは)というものでした。

しかしこれについてほーりーはむしろ、通常のご祈祷を受ける方も増えるのではと考えています。

少し参考になりそうなのは、ドイツの自動車メーカー『ダイムラー』のカーシェアサービスです。高級車の代名詞「メルセデス・ベンツ」で知られる会社ですが、こちらは「Car2go(カーツーゴー)」が世界最大規模で成長を続けて、ウーバーやリフトといった先行者を猛追しています。

自動車を作る会社は基本的にこれまで、シェアリングサービスに消極的なところがありました。それはまあ、そうだろうと思います。みんなが車を買わずに借りればいいよねとなったら、自動車販売数は激減する恐れもあるわけですから。

しかしダイムラーはカーシェアを進めた結果、「むしろ自動車販売も伸びている」と発言しています。これは実際に最初はシェアで良いと思っていた人も、乗ってみたら買いたくなったという心理が働いているようです。

カーツーゴーで成功したダイムラーは、ベンツのシェアリングサービスもスタートさせています。安ければよいという大衆車志向の方はまた別かもしれませんが、ベンツなどの高級車をわざわざレンタルする人は、試乗体験を経ることで次のステップへと進みやすくもなるのでしょう。

しまなみ海道

そう言えば、懇親会のお店からは、夕日に照らされたしまなみ海道が見渡せました。しまなみ海道は自転車乗りの聖地になっていますが、こちらではレンタサイクル屋にもロードバイクがありました。

ロードバイクもエントリーモデルで5~10万円はするみたいですし、乗ったことないのにいきなり買うぜ! って方は少ないかもしれません。ですがしまなみ海道みたいなめちゃくちゃ景色のいいところで、風を切って走る体験を一度したら、財布が緩む方もいるんじゃないかな~。

ワンコイン祈祷は、ご祈祷の価値を下げるのか?

ワンコイン祈祷に話を戻すと、ダイムラーと同じことが起こるかどうかは、はっきり言えば未知数です。しかし私は設計次第で、十分にあり得る方向性ではないかと思っています。

そもそもご祈祷は、慣れない人にとってはとんでもなく敷居の高いものです。ほーりーも以前、ご祈祷研究家を育てるべきという提言を書きましたが、お寺に馴染みのない人でも入りやすい環境作りは必須ではないかと考えています。

プロの寺社旅研究家を目指す人に、ご祈祷をお勧めする7つの理由

ご祈祷研究家志望の若者に伝授した5つの心得

そして特に日蓮宗のご祈祷は、他宗派と比べても特殊です。木剣を打ち鳴らした荒々しさの際立つ姿は、初めて目にする方には強烈なインパクトを残すでしょう。

本昌寺のご祈祷

それを1分間・500円にして「これは簡易的なものですよ」と明確に示すことで、「こんなすごいものだったら、ぜひ本格バージョンも受けてみたい」と思う方も出るはずです。

そのタイミングでパンフレットを配っても良いでしょうし、質問を受け付けるのもありでしょう。

するとほーりーがいつも図示する階段の絵のような、「なんか、すごいのやってる」→「これが日蓮宗のご祈祷なのか」→「ぜひ、一度受けてみたい」→「人生の節目に受けにいく」というステップは生まれていきます。

小さな階段

生活必需品であれば、安いものが出れば出るほど、そちらにニーズは傾くでしょう。ですがもともとご祈祷は、プレミアムで特別なものでもあります。

ワンコインご祈祷が呼び水となり、通常のご祈祷も広まっていく。そんな未来が描けると、このご祈祷にもさらに意義が出てくるのではないでしょうか。

ということで、、、

お坊さんにとって面倒くさい講師ナンバーワンのほーりーは、今回もまた「ホテルはいらないから、お寺に泊めてくれ」とリクエストして、会場となった法華寺さんに宿泊させて頂きました。

そしたら部屋の中には、なんと蚊帳が用意されているではないですか! 蚊帳なんて、生まれて初めての体験です。もう、これだけでテンション上がりまくりですよね。

法華寺の蚊帳

そんなわけで、アドレナリンがドバドバと流れ続けているほーりーの血液を守ってもらいながら、お寺での夜が更けていきました。

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