スター僧侶が講演料を赤字にするのは、稼ぐと周りが叩くから
先日書いた、以下の記事の反響が大きくなりました。
内容を簡単にまとめると
○とある有名なお坊さんが、講演料は(交通費・宿泊代を差し引けば)赤字ですよと話していた
○スター僧侶が自分の価値を投げ売りすると、他の人が価格を下げざるを得なくなる
○トータルで見た時に、それは仏教を伝える目的すらも損なうのではないか
というものです。
特にそれが僧侶としての個人活動で別につながり、トータルとしてプラスになる(あるいはそれを目指している)ならそれは戦略の一つとして納得できます。
しかし自分のお寺が檀家さん多くて困ってないのでお金には無頓着なだけの場合は、そんな補助金ありきで周りを焼き畑にしていく地域活性策みたいなことはやめようと言うのがほーりーの提言です。
私自身、他人から嫌われたり自分を磨くプレッシャーと戦って、歯を食いしばりながらも講演料は10万円ですと公言してます。なので「赤字だけどお金は求めていない」なんて言われてしまうと、やはりそれはのんきすぎると思ってしまいます。
そしてこの提言に対して「私も二束三文で依頼を受けてしまった」と仰られていた方や、「あまりに条件が合わないので断った相手がいたけど、申し訳なく思ってしまっていた」という方もいて、ある程度は共感を得られたのかなと思います。
反発の声は今回はあまり聞かなかったけど、陰ではこっそり言われているかもしれません。
スター僧侶が講演料を赤字にするのは、周りが叩くから
それはそれとして名前を知られたお坊さんが、講演活動を赤字でいいよとしてしまう心情にも、気を配る必要があると考えています。それはお寺やお坊さんが新しい手法でお金を稼ぐことに対して、あまりにも過剰に叩かれすぎるためです。
以下にTwitterで連投してみましたが
先日書いた講演料を赤字にするお坊さんがお寺を苦しめるという話、大きな反響がありました。ただこれは価格を上げれば良いなんて単純な話ではなく、お寺社会や外にいる私たちが、お坊さんが稼ぐことにもっと理解を示す必要があります。赤字でも黒字でも叩かれるのでは、スター僧侶もやってられません。
— ほーりー(寺社旅研究家) (@holy_traveler) 2018年5月10日
必要なことは2つあり、お寺の維持には多額のお金が必要だという認識を広めること、稼ぐこと=仏道から外れているという論調を変えることです。さらに言えば商売の上手いお坊さんを、かっこよく取り上げることなんかもあるといいですね。
— ほーりー(寺社旅研究家) (@holy_traveler) 2018年5月10日
実際に自分で新しい事業を起こして稼いでいるお坊さんは、仏教について語っても説得力が異なります。自分でビジョンを描いて行動を起こし、困難を乗り越えて新たなものを生み出した方は、仏道にも芯が入っているし、人生と向き合う姿勢も感銘を受けることが多いです。
— ほーりー(寺社旅研究家) (@holy_traveler) 2018年5月10日
お布施が高くてもめたとか、墓じまいしようとしたら離檀料を求められたなんて話も、(全てではないにしろ)周りが新しい稼ぎ方を次から次へと叩いて旧来のシステムだけに閉じ込められたところから、起きている部分も多いでしょう。代替策がなければ精神的に追い詰められるのも仕方がありません。
— ほーりー(寺社旅研究家) (@holy_traveler) 2018年5月10日
と、考えています。
まあ、今回話題にしたお坊さんにこの辺の心情まで聞いたわけではありませんが、目立つ存在だけに赤字にするのは周囲の感情からのリスクヘッジでもあるのかなと邪推します。
スター僧侶が講演料を赤字にするのは、周りが叩くから
以前にこんな記事も書きました。
内容を簡単にまとめると
○ほーりーのもとに、「食っていく、生き残ることが目的なら、さっさと仏教やめればいいのに。仏教は僧侶を食わすためにあるもんじゃない」というメッセージが飛んできた
○お金は嫌なことを我慢した対価と定義している人は、好きだからとか使命感を持ち、人生のできる限りの時間をそれで費やせるようにお金を稼ぎたいという人物は理解の範囲外にある
○お坊さんが仏教で食えた方が、私たち一般の人間も仏教にふれやすくなる
というものです。
最近はあまり言われなくなりましたが、以前は宿坊なんて始めるならお寺は畳んだ方が良いという言葉を聞いたこともあります。
え~、宿坊ですよ。平安時代から原型が作られているくらいに伝統的な形式なのに。それすらも認められないほど、お寺社会は見慣れない形での稼ぎには過敏です。
しかしこのような空気(お寺内部のものも、外部のものもありますが)が、檀家さんからのお布施が8割を占めるくらいに、お寺社会の収入を偏らせた原因です。
そしてこの一本柱を人口減少や地方の過疎化が直撃してきたことは、ほーりーが述べるまでもありません。
もちろん檀家さんは大切ですし、むしろこのパーセンテージを下げることは当の檀家さんの負担軽減にもつながるというのがほーりーの考えです。
なのでお坊さんが講演料を上げた時に、周りが「なんだよ、あのがめつい坊主は」という空気を作らないことも、大切ではと思っています。
ということで、、、
様々な問題には、合わせ鏡で二つの原因があります。
例えば世の中が過剰に叩き過ぎるがゆえに、隠蔽体質が強まっていくとか。完璧なサービスを求め過ぎるがゆえに、コストが跳ね上がっていくとか。ミスを許さないがゆえに、サービス完成が遅れて世界に置いてかれていくとか。
一方が正義であればもう一方が悪だなんて、世界はそんなに単純ではないんですよね。これはむしろ因果を説く仏教が得意としているロジックかもしれませんが。
なのでスター僧侶がめちゃくちゃ大もうけしやすい空気も、作ってあげる必要があると思ってこんな記事も書いておきます。
誰かが豊かになることは、自分が貧乏になることではないんですよ。